二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.36 )
日時: 2013/01/22 18:39
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

22話「その少女の名は」

千鶴は杏音のおかげで他の災難もなく、買い物を終え屯所に戻った。
さっそく、幹部達全員に買ってきたお茶菓子をお茶と共に出す。勿論の
こと、真琴と千鶴も同席だ。

「うーんっ!やっぱり千鶴のお茶は男共の入れるお茶と一味も二味も
 違うなぁーっ!!」
「あ、ありがとう…」
「……………。」

苦笑いする千鶴の周りから、真琴に向かって『どういう意味だ』という
視線(殺気入)が突撃してくる。しかし当の本人は素知らぬ顔であり、
美味そうに茶を啜っていた。
その時。そういえば、と沖田が千鶴に笑いかけてきた。恐らく真琴への
睨み合戦に飽きたのだろう。

「この金平糖買う時大丈夫だった?あそこの店員、東人を嫌ってるん
 だったと思うけど。」
「えぇ…最初は門前払いも同然だったんですけど、ある人がその店員
 さんに、友人だと言って下さって。」

千鶴は幹部達に事のいきさつを説明した。親切な人間もいるものだ、と
原田や永倉が感心した。

「でも、よかったじゃん」
「はい!…あ、そういえば。その方も、真琴さんと同じ髪の色をして
 いましたよ。綺麗だったな…」

その千鶴の一言に、真琴は勿論原田までも表情を曇らせた。そんな顔の
二人に斎藤が尋ねる。

「どうした。二人とも、何か思う所でもあるのか?」
「……ねぇ、千鶴。その子さ、俺にものすごく似てた…?」
「え、どうでしょう…髪の色の印象が強かったので」
「でも、浅黄色だったんだよな?」
「えぇ…」

二人の矢継ぎ早の質問に、千鶴も少しばかり戸惑いながら答えていく。
最後に、真琴が青白い顔で。消えそうな声で問いかけた。

「ねぇ、その子の……その少女の名前は…?」