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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.37 )
- 日時: 2013/01/25 20:50
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
23話「不安を願う矢先」
「杏音さん、だったと思います」
「・・・杏音・・・?あ!!」
真琴は暫く深く考えて居たが、今度は困った、という顔で頭を抑えた。
その隣で原田が驚いたような顔をしている。
千鶴は二人を交互に見比べて、控えめに声を出した。
「えっと・・・お二人共、どうかしたんですか?」
「「俺、そいつの事知ってる(ぜ)」」
二人の声が見事にかぶる。
真琴は少し落ち込んだ様な、原田は少し上ずった声だった。
「そうなんですか?偶然ですね・・・。どうしてまた」
「此間真琴に団子買った帰りに俺とぶつかってよ。女だったのに俺の事怖がりもしない凄い女だったな・・・」
向かい側で沖田が関心したように「へえ」と声を漏らした。
顔が緩んでおり、からかいがいのある少女がいたもんだ、とでも言いたげな顔をしていた。
真琴は隣で飲んでいたお茶を置くと、千鶴に「ご馳走様」と声を掛けて出て行こうとした。
そこに、斎藤が声をかける。
「どうかしたのか」
「ん、いや、何でもない」
ぱたん、と音を立てて障子が閉じる。
障子越しにみた真琴の背中は、やけに猫背になっているように思えた。
全員頭の上に疑問符を浮かべたような顔で首を傾げる。
暫くの沈黙の後、千鶴が
「どうしたんでしょうね・・・?」
と口から零した。
「やっと、やっと見つけた。茜音。源氏名使ってるなんて、律儀だなぁ・・・。俺忘れてたよ。会ったら怒られちゃうかな。まだ、もう少しこの不安を味わっていたい気もするけど・・・。嬉しいよ、茜音」
真琴は部屋でふふ、と笑った。
微かに願ったこの不安は、まだ少し感じていなければならないことになる。
「真琴?何でまた、こんな所に・・・」
後ろをぱっと振り向くと、千姫が庭に立っていた。
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