二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.38 )
日時: 2013/01/26 16:16
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

24話「鬼姫、来訪ス」

その場に佇む凛とした瞳を持つ少女—千は、真琴を見て微笑んだ。

「覚えてる?真琴。」
「貴方は…まさか、鈴鹿様…っ鈴鹿千様!!?」
「その通りですよ、宵明真琴。姫の御前です…」

さらに隣から颯爽と現れた忍び装束の女性—君菊の台詞により、真琴は
慌てた様に跪いた。

「いいのよ真琴、堅苦しさは要らないわ。…でも、何故ここに?」
「いやあの…その。……実はですね——」

真琴が『羅刹を目撃したため軟禁されている』と千姫に説明しようと
した時、声が聞こえた。

「そこに、どなたかいらっしゃいますか!?」

当然だろう。まだ日中だとは言え、屯所内から女性の声がするのだから
誰でも不審に思う。
不幸中の幸いは、その人物が新選組監察方、山崎だったという事だ。

「ん?貴方方は……」
「こんにちは。正門から入るわけにいかない事情がありまして…局長
 さん、もしくは土方さんはいらっしゃいますか?」

一礼した千と忍装束姿の君菊を見て事情を理解したのか、すぐに頷き、
こちらです、と案内する。
廊下を静々と歩きながら、千はくいっと真琴の袖を掴んだ。

「で?どういう事なの?」
「あー、えー…と。あのですね…」

意味不明な声を出し、前を歩く山崎をちらちらと見ている事により、
千も状況を理解したらしい。
小さな声で『なるほどね』と呟いた。

「貴方も関わったわけね。」
「まぁそういう事です…」
「じゃあ、その辺りの説明も、ちゃんとしてね?」

言ったっきり千は前を向き、問いかける事もなかった。