二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.39 )
- 日時: 2013/01/27 22:40
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
25話「行方知れず」
千姫が土方と近藤と話している間、真琴は自分の部屋に居るよう言われていた。
其の間、真琴はどうやって千姫に事情を伝えようか迷っていたが、頭の固い真琴には「整理」程難しいことはなかった。
諦めて畳の上にごろんと横になる。
天井を見つめてどれ位たっただろうか。
多分然程時間は経っていないのだろうが、真琴には二刻程に感じられた。
「真琴、失礼するわね」
「千様っ!?」
唐突に言い放たれた言葉に我に返った真琴は、慌てて正座をした。
すっと障子を開けた千姫は、部屋に入ってきて真琴の前に座る。
その隣には、君菊が座った。
「えーと、その、ですねぇ・・・?茜音を探して京まできたら、その晩に、何ていうか、爺さんの作った羅刹に遭遇、というか」
「で、軟禁されてるわけね。だったら初めから私のところに来れば良かったのに」
「いえいえいえ・・・。流石に千様にお世話になるわけには」
「全く律儀ねぇ。貴方の持ってた領地が無くなってから、随分長く私の所に来れば、と声掛けたのに」
「・・・あの、茜音を見掛けませんでした?」
領地が無くなって、という言葉を聴いてから、真琴が妙に深刻な顔で問う。
真琴にとって、茜音という存在は大きいのだろう。
その話に移って、千姫がはっと眼を見開いた。
そして君菊と視線を通わせる。
「茜音のこと、まだ探してるのね?」
「は、はい!あいつは俺にとって唯一の家族なんです!!あいつまで失ったら俺は、死ぬかもしれない・・・!」
「・・・落ち着いて聴いて頂戴」
千姫の目つきが真剣な眼差しに変わる。
落ち着きのなくなった真琴を平常心に戻すには之くらいが良かったのだろう。
真琴は、荒げた息をゆっくりと元の呼吸に戻していく。
「茜音が、京に来ているというのは聞いているわ。・・・確かな情報ではないけど、もしかしたらもう、貴方の近くに居るかもしれないわね」
「・・・!本当ですか、それ!!」
「あくまで噂程度よ。また、何か分かったら連絡するわ」
千姫は立ち上がると、ぽんと真琴の頭を撫でた。
真琴が心配そうな眼で千姫を見上げる。
千姫はそれに答えるようににっこりと笑って見せると、庭に出て行った。
「あ、くれぐれも千鶴ちゃんや土方さん達に迷惑かけないで頂戴ね!」
「はい、気をつけます」
「じゃあ、また今度ね。元気で」
「千様もお体にはお気をつけて」
ひゅうっっと真琴の髪を靡かせて、千姫達は去っていった。