二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.4 )
- 日時: 2012/11/08 21:29
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
1話「京の都に出る鬼」
「夜のうちに都へ着いたのは失敗だったな。宿屋が何処だか分からないじゃないか」
「否、探すのも面倒だが」と呟く。
やれやれ、と溜息を吐きながら三味線を片手でぶらりと持った。
取り敢えず寝床を探す為、ぶらぶらと京の道を歩いていた。
道を照らす物もない京の道は、ほぼ真っ暗だ。
「野宿で良いかな…。どうせ、今一人だし…」
等と言いつつも、建築物が多い場所に入っていった。
より細い道へと入っていくと、どんどん道は入り組んでいく。
次は右に曲がろう…と思った曲がり角で、ぴたりと立ち止まった。
頭に疑問符が浮かぶ。
何だろう、と後ろを振り返っても何も無いし、何も居ない。
何も無いことを確認すると、右に曲がって進んだ。
が、やはり立ち止まる。
くるりと半回転すると、予感通り、白髪赤眼の`武士`が立っていた。
「…人、なのか?」
眼を凝らしてみる。
と其の瞬間、その武士が雄叫びを上げて襲い掛かってくる。
男は急いで抜刀し、腹に真一文字に刀を振る。
叫び声がこだまするが、一向に死ぬ気配がない。
「…何故死なない…?まさかこいつ、あの爺さんが作った羅刹なのか!?」
`羅刹`だと決めた瞬間、心臓の真ん中に刀を突き刺した。
その`羅刹`は、どさりと崩れ落ち、絶命した。
「ふぅん…。京の都にゃ鬼が出るって、よく言ったもんだな。
だが…宵明家長男の鬼、真琴をなめるべからず!!」
刀を鞘に納めてから、ガッツポーズの様な形をとる。
そして高らかに「はっはっは」と笑った。
が、真琴と名乗った男の頬にも、返り血が一筋ついていた。
そう、彼も`鬼`という類の生き物だ。
傷口は早く治るし、人間以上の力を持つ。
純血に近い「宵明」という一族の、今や頭領だ。
「おい!こっちであいつ等の声がしたぞ!!」
「まさか、もう死んでないよね?僕が殺したいんだけど」
「物騒なこと言ってんじゃねぇ!」
「…!!?」
遠くから、声がする。
はっとなって振り返ると、其処には真琴と同じ髪色の羽織を着た、何人かの男が呆然と此方を向いていた。