二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.40 )
日時: 2013/02/01 17:58
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

26話「鬼の目にも…」

その日、真琴は自室にこもり考え事をしていた。

「はぁ……千姫様にも情報を確かな掴ませないなんて…。我が妹ながら
 何者だよ、あいつ…?」

悪態をつき妹—茜音の事を罵りながらも、その瞳には優しげな光が
映っている。兄として、素直に喜んでいるのかもしれない。

「本当、何処にいるのかなぁ…」

真琴が顔を伏せたその時、ドタドタと廊下を走る声が聞こえた。

「真琴!飯ができたぜ、来いよ。」
「あ!あぁ、今行くよ平助」

急いで真琴は起き上がり、障子をあけて廊下へ出る。

「……茜音」

その時微かに、真琴の目元が光った気がしたのは、きっと気のせい。


一方京の町では、河原に一人の少女が座り込んでいた。
その少女は川に映る自分に向かって、ぽちゃん…と石を投げる。

「はぁ……どうしよう…宿代」

どうやら懐が尽きてしまったようだった。半泣きに石を投げ続け、
ついには投げる石もなくなり、その場で膝を抱え込む。
しばらく思案し続け、ふと顔を持ち上げて呟く。

「そうだわ…前に和菓子店で会ったあの人…千鶴さんといった。
 あの人なら一日くらい泊めてくれるかも……?」

茜音はおもむろに立ち上がり、千鶴が何処にいるかも分らぬままに、
足を進め始めた。