二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.41 )
日時: 2013/02/09 16:54
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

27話「想イ唄」


「二人、歩んできた、道は二つに分かれ・・・夢を、追ってきた、この手は弌になって・・・此処に居るからと、我が居場所を示す道標は、星空に消えていく・・・儚く・・・・・・♪」

夕餉が終わり、ある程度まったりした時間帯。
真琴は三味線を取り出して、即興で言葉を並べていく。
まだ完全に真っ暗訳では無く、夕焼け空に瞬く星がぽつぽつと出始めている。
真琴は一回三味線を掻き鳴らすと、すうっと息を吸って、次の言葉を歌おうとする。

「あの、真琴さん?」
「そ・・・っわぁぁあああ!!!??」

声を掛けられたことに驚き、ついつい驚いた声を上げる。
声を掛けた千鶴本人も、流石にそれには驚き、一歩二歩後ずさる。
数秒の沈黙があったあと、真琴がぱっと千鶴に謝った。

「わ、悪い、千鶴!!俺とした事がつい驚いて・・・!!」
「いえ、私こそすみません!」

二人同時に頭を下げる。
千鶴は申し訳無さそうに真琴の隣に座る。
そして、少し空を見上げて星を数える。
まだ数えられる程しか星は無かった。
暫くして、真琴のほうに首を動かす。

「以前から思っていたのですが・・・真琴さんの唄って、誰かを恋しく思っているような歌詞が多いですよね」
「え?そうかなぁ・・・。あ、でもまあ、俺が歌ってるときには確かにアイツのことばっか考えてる、かも」
「何方か大切な方なのですか?」
「ん。俺の、唯一無二の家族、だからさ」
「素敵ですね。きっと・・その方にもその歌声は届いてますよ」
「だといーけどねえ。あはは」

真琴が明るく笑い飛ばしてみせる。
が、千鶴はそれが半ば虚勢だということは、薄々分かっていたようだ。