二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鳥籠であり人形で、【DIABOLIK LOVERSオリ募集中 ( No.4 )
日時: 2012/11/22 19:42
名前: 月城 琉那 ◆XuuscjqfhY (ID: iEMeE8vl)

——第一話*壊れるモノ——

 晩餐会なんて面倒臭いものなくなってしまえばいいのに。アリサは自身の懐中時計を見つめ、小さく目を細める。
 今日は満月で、兄弟はそろって食事をしなくてはならない。しかし、アヤト・レイジ・スバルの三人は用があるとかで今はいない。ライトとカナトは何やら仲良さげに喋っているのだが、シュウは半分寝ている様子だし、ユイも明らかに怯えている様子が目に見えため息をついた。確かにアヤトがいればユイは確実に狙われるだろうが、今はアヤトがいないからそんなに怯えなくてもいいのに。アリサは、まあ無理か、と小さく呟く。

 今日は食事が喉を通る気がしない。今日だけじゃない、彼女——ユイが来た日からだ。懐かしい、大好きなでも大嫌いな匂いが屋敷に充満している。他の兄弟達はまだ気づいていないようだが、これは——。

「アリサ? どうかしましたか?」


「……ん? ちょっとムカついただけ」
 
 カナトが珍しく声をかけてきた。そんなカナトにアリサは、にっこりと笑みを作りぎゅっと持っていたフォークを握って言葉と同時にフォークを懐中時計に突き刺した。
 ぱりん、と硝子の割れる音が響き、時を刻む音が聞こえなくなる。茫然とするユイにも小さく笑みを見せ、壊れた懐中時計を机の上に置きっぱなしにしてかたん、と音を立て席を立った。

「学校、先行ってるね。……ここにいると気分が悪い」

 アリサは部屋を出る前に、ぽつりとそう呟き、静かに部屋を出て行った。






 領帝学院高校は所謂、お金持ちや芸能人などの集まるセレブ校。ただし夜間学校というだけあって悪い噂も多くあったり無かったり。まあ噂の中で実在しているのは【吸血鬼ヴァンパイア】くらいなのだろう。

 アリサは自分の教室の自分の席に座る。隣はなぜかスバルだということは言うまでもない。歩きできたアリサより、リムジンできた彼らの方が速くついていたらしく、スバルの席には既に鞄が置いてあった。が、スバル本人は見当たらない。小さく首を傾げると、バンッ、と大きく机を叩く音が聞こえてきて、そちらの方向へと目をやる。

「ねぇ!! あんた聞いてんの!? 早くあんたのおにーさん達に会わせろって言ってんの!!」
「スバルくんにいつも会ってるじゃないですか。というか私、【月城】なんで。【逆巻】じゃないんですけど。まず自分で会いにいくのが常識じゃないですか? 八つ当たりはやめてください」
「っ……いつも同じリムジンから降りてくるうえに、仲良くしゃべってるくせによく言うわね!! ムカつくのよ、あんたって!!」

 声を荒げて 色々と罵倒してくる彼女は、女優かなんかやってるという人だ。最近やたら声を掛けてきては、『友達でしょ』とか言ってくる女。そうか、そういう裏があって友達とか言う奴を演じてたのか。

「ねぇ、聞いてるの!? いっつもそうやって澄まし顔でさ、いっつも一人で逆巻くんと一緒にいて。友達のいないかわいそーな子だと思ったから一緒にいてあげただけなのに、調子に乗って!!」
「……っさいなぁ。迷惑考えてください。私は貴女と一緒にいた記憶なんてありませんし、私は【友達】なんて脆い、壊れるものなんて必要ないから一人でいたんです。逆巻先輩方に会いたいのなら自分で行ってください。いい加減迷惑です」
「っ、あんたねぇ!!」

 ずっとつっかかてくる女にいい加減呆れてきた。そう言いたげな顔でアリサは立ち上がり、思いっきり机を蹴飛ばした後、女に近づいていき思いっきり殴る。蹴る。
 元からアリサに近づく者はいない。これで余計に突っかかってくる面倒な奴がいなくなるだけだ、そう思って思いっきり力を込めて蹴ろうとし——。

「おい、何してる」
「ん……スバル、くん?」

 蹴る前に、誰かの手によって目を塞がれ、蹴ろうとしていた足を下ろす。一応確認してみるアリサだったがスバルだという確信はあった。

「おい、そこの女。あいつらに会いたいのなら外にいるぜ? ただ“さっきの話”は全部聞かせてもらったけどな。こいつが可哀相だかなんかってやつ」

 びくり、と女の肩が震え、バッと起き上がる。しかしスバルはアリサを軽々と抱き上げ教室から出て行った。




















【壊れるモノ】












(だからこそ必要ない)