二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン ◇置き去りのポケモンと声を聞く者◆ ( No.14 )
日時: 2012/11/25 15:07
名前: ライ ◆64PzB9jtgM (ID: /kqYaBvn)

第二ページ【シルクお父さん<カノンお母さん】


「すごいじゃなーいのぉ〜!」

家に帰ってまずはじめに言われたのがこの言葉。

カノンはアノンとルイが手にしている図鑑を見ると目をキラキラさせながら二人に抱きつく。

「ぐえ…ッ」

「……うッ」

唸り声をあげる二人。それを無視してカノンは続ける。



「お母さん、いつかあなたたちを旅にだそうと思ってたのよ。アノン、ルイ旅に出たがってたでしょ? シルクから聞いてたわ〜」


部屋の奥からシルクが「何事?」というように、やってきて二人に抱きついているカノンを見て、苦笑する。

先に帰っていたのだろうか。シルクの腕にはポチエナ、頭にはチュリネがいた。その後ろにはエンペルト。


「お、おとう…さッ。たすけ……ぐ」

ルイがカノンの腕の中で少し照れながらも嫌そうにシルクに助けを求める。

「ポチエナあああ、たすけてー…」

アノンも、普段なら嫌じゃない。むしろ嬉しそうに抱きつかれているのに流石に今は力強かったのだろうか。苦しそうに手を伸ばしポチエナに助けを求める。


ポチエナは無言でそれを見て少し馬鹿にしたように「エナッ」と鳴くとその光景を楽しんでいるように助けようとはしない。


「ポチエナのばかあああああ」

アノンの叫びは虚しく消えた。(え)



「ほら、カノン。そろそろ離したら? ルイとアノンがかわいそうだよ」


やっとシルクが助け舟を出す。カノンは振り返りながら「えぇ〜」と残念そうな声をだし、笑顔で離す。


「た、すかった……ありがと、お父さん」

「………はぁはぁ。疲れた……」


「んもぅ。そんなに嫌そうにしなくてもいいのにー…」

少し悲しそうにいうカノン。でもすぐに嬉しそうな表情になり手を合わせながら言う。


「ここじゃ、アレだし。リビングに行きましょ? あなたたちの゛これから"に影響する大切なことだからね」


それから、カノンはご機嫌に一人先にリビングへ向かう。

シルクは少しため息をつき、二人の背中をおす。その表情は幸せそうだった。










「……。アノンとルイは旅に出たい?」

リビングのテーブルをはさんで、アノンとルイ。その手前にシルクとカノンが座る。

ポケモンたちはどうやら森に行ったらしくどこにも見当たらない。


アノンとルイは顔を見合わせるとすぐにアノンが返事をする。

「私は出たい!」

自分の手元にある図鑑を握り締めながら。

ルイも、静かにうなずきながら小さな声で言う。

「……僕も」

それを聞き、カノンは少し真剣な顔になった。


「…旅に出ることはいい事よ。でも…怪我もあると思うし、辛いこともたくさんある。それでも……行きたい?」


しばらくの沈黙。

アノンは決心するようにコクンとうなずく。ルイも決まっているかのように小さく笑う。



それを見てカノンとシルクは、さみしそうに。それでも嬉しそうに顔を見合わせて言う。


「寂しくなるけど…。決まりね! 出発は一週間後でいいわよね」

「カノン…また勝手に決めて…まぁ、いいか。それじゃあ、お祝いしよう? キミたち二人の旅立ちを祝って」

微笑むカノンとシルク。大切な子供が旅に出ると言うんだから、盛大にやりたいそうだ。

ルイは、優しい笑顔で「ありがとう、お母さん。お父さん」と言い残してその場を離れる。

「ありがとうね。ママ! パパ!」

アノンも嬉しそうに立ち上がるとその場を離れる。

遠くなっていくアノンの声。

「ポチエナあああああ」言っているのは、はっきりと聞こえた。





「お兄ちゃんや、ラルとかにも連絡しようかしら」

「いいね。じゃあ、プレゼントとかも買わないとね」

「いい考えじゃないの!」

残された夫婦二人。幸せそうにお祝いの話しをする。


「ねぇ、シルク…。あの子たちなら大丈夫よね」

カノンがしんみりと言う。シルクは当たり前。というようにカノンの頭を撫でる。

「大丈夫に決まってる。だってカノンの子だぞ?」

「ふふ、そうね。ありがとう」