二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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涼宮ハルヒの嫉妬 
日時: 2009/11/14 22:31
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

小説『涼宮ハルヒの嫉妬』消えました。

 ……と言うわけで、立て直します。

—登場人物—

・キョン
 本作の主人公。全作品を通しての語り手でありツッコミ役も兼ねる。涼宮ハルヒ絡みの厄介ごとを背負い込む苦労人で「やれやれ」としばしば口にする。性格は事なかれ主義。理屈っぽくよく愚痴をこぼすが、文句を言いつつも人付き合いはよく、お人好し。

・涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ)
 ヒロイン。黄色いリボン付きカチューシャを着けている。美少女ではあるが、性格は唯我独尊・傍若無人・猪突猛進で感情の起伏が激しく、情緒不安定になりやすい。実は「どんな非常識なことでも思ったことを実現させる」という、神にもなぞらえられるほどの力を持っている。
 
・長門 有希(ながと ゆき)
 いつも無口で無表情だが、知識欲、食欲は旺盛。谷口曰く容姿はAランク-(マイナー)。読書を好み、いつも何かしらの本を読んでいる。正体は、情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。平たく言えば人造『宇宙人』。

・朝比奈 みくる(あさひな みくる)
真面目で気が弱い性格。キョンに「朝比奈さんより可愛い生物はいない」と言われるほどの超美少女。正体は、はるか未来から来た『未来人』でハルヒの監視係だが、まだ研修生以下の見習いレベルでほとんど権限が無い。

・古泉 一樹(こいずみ いつき)
 いつも微笑を浮かべ穏和な物腰をしており、学校でも女子からの人気は高い様子。正体は『超能力者』であり、その集団である組織・「機関」に所属する。現在の性格や表情などは「ハルヒの願望」に沿った演技であるらしく、そうした演技を強いられる不満をキョンに漏らしたこともある。


お客様

 刹那 様
 みやっさん('・ω・` 様
 ヒヨ 様
 工場長 様
 mim 様
 ヾ(=・ω・=)o☆Lunsrot 様
 いしいみゆ 様
 健心 様
 ユキタバ 様
 虎徹 様

 第一話 スパイラル ジェラシー
 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 

 第二話 デステニー デイ
 >>8 >>9 >>10 >>11

 第三話 ウェザー コンディション
 >>12 >>13 >>14 >>15

 第四話 ミステリック サイン
 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

 第五話 クリスマス クリスマス
 >>21 >>22 >>23 >>24 >>29

 第六話 SOS meetig
 >>33 >>35

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Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.17 )
日時: 2009/10/31 09:43
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

「綺麗ー……」
 私は妹ちゃんの相手をしながらテレビに映るイルミネーションにうっとりしていた。
「これ近所ね。あの子達も近くにいるかも」
 キョン母はテレビを台所から眺めて言う。
「え? キョンが……? 」
 とたんに私はテレビをまじまじと見つめた。
 見ると、ナレーションが所々イルミネーションの解説をしているらしく、BGMも相まって、その景色は一段と魅力的に感じた。
「兵庫県は神戸からご紹介するのは『神戸ルミナリエ』です。ここは、阪神・淡路大震災によって——……」
 ここは私も見たことがある。光に揺らめく、まるで神殿のような祭典を家族で見に行ってたのを覚えてる。
「……………」
 すぅっと息を吸い込み、私は言葉を失った。
 今日は私ちょっと悲観的になりすぎている。
「ひよりん、どうしたの……? 」
 すると妹ちゃんが私をなだめた。
「ううん。何でもない」
 私は目の縁にこぼれそうな涙をすそで拭き、ムリヤリ笑顔を作る。
「……? 」
 それでも妹ちゃんのリアクションは薄かった。
「大丈夫」
 と、私が空回りを続けていると……——

『みくるちゃーん!!! 有希ー!!! 古泉くーん!!! 観てるー?!! 』
 
 突然、テレビから女性の大声が聞こえた。
「な、ななな何?! 」
 驚愕する私。恐る恐るテレビを観ると、そこには同い年ほどの女の子がアナウンサーのマイクをひったくってテンション高く盛り上がっていた。
「すげー……よくこんなことが出来るな……こんな娘の彼氏は苦労しそうねー」
 嬉々と私はテレビに映る女の子を見て言う。
「あれ? この女の人……」
「知ってるの? 妹ちゃん」
 すると、テレビからまた別の声が割って入った。

『おいハルヒ! 何やってんだお前! 』

『バカキョン! アンタも、家族に手ぇ振りなさいっ! 』

 非常に聞き憶えのある声が聞こえる。
「え? ウソ……えぇぇえ!? 」
 ついさっき、自分でキョンに『尻に敷かれた彼氏』と言ったのを私は即座に思い出した。
「あっ やっぱりだ! お母ーさーん! キョンくんとハルにゃんがテレビ映ってるーっ! 」
「ホントに? あらあら……」
 苦笑いを浮かべるキョン母。
 対して私は今までに無い経験をしたことに、ちょっと疲れた。
「仲が良いのは結構だけど……なーんか釈然としないわね……」
 テレビに映るキョンとハルヒさんが切り取られた一枚絵のようにはしゃぐ姿は、ほほえましくもどこか引っかかりがあった。

「キョン……」

Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.18 )
日時: 2009/10/31 09:44
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

 午後10時……キョン帰宅

「ただいまー」
 誰がどう見ても、俺は疲れたと見えるだろう。実際疲れたのだから。
「おかえりなさい。テレビ観たわよ」
 すると、ひよりがひょいとリビングから現れて、にこやかに出迎えてくれた。
「テ、テレビって? 」
「うん。ハルヒさんでしょ? 一緒に大騒ぎしてたわね」
 またもひよりはクスッと笑う。
「あんまり他言しないでくれよ? 特に妹や母さんには……」
「残念……もうみんな知ってるわよ? 」
 何と言うことだ。俺達はあのテレビが生放送であったにも関らず、全国区・ゴールデンタイムの視聴率ボンボン番組に乱入していたのだ。明日は終業式だというのに、これではクラスメイトに顔向けが利かん。
「ご愁傷さま」
 他人事のようにひよりは茶化した。
「あら、おさえりなさい」
 と、今度は母さんも登場だ。
「寒かったでしょ? コーヒー飲む? 」
 優しい言葉だが、母さんの顔も半笑い状態でちっともありがたみが無かった。
「いいよ。疲れたから、もう寝る」
 俺はそう言うと、階段を上り始める。すると……——

「あーちょっと待って」
「何? 」
「ひよりちゃんの部屋なんだけどさ、まだ片付いてなくて……悪いんだけど、大掃除まで、同じ部屋で寝てくれるかい? 」
 ちょ、ちょっと待ってぇ! 何か? 今ハルヒと図らずもデート状態で帰ってきたにも関らず、同じ部屋で他の女子と寝ろってか! 
「おいおい、母さん。俺の今の状況くらいわかるだろ……? 」
「でもねぇ、他に寝れそうな床なんて無いしねぇ」
 そう言えばそうだ。ウチは外観ほど実は広くない。部屋は上下合わせて俺の部屋、父さんの書斎、両親・妹の寝室、洗濯場そして物置状態の開かずの間の五室。女の子をソファーで寝かせるのも難だ。
「分かったよ……せいぜいハルヒにバレないようにしないとな。アイツは俺の説明なんか聞きゃしねぇし」
「ご、ごめんなさい」
 おっと、ひよりの前で言うことではなかったな。返って気を使わせてしまうところだ。
「いや、ひよりは謝る必要ないさ」
 そっと、俺はひよりの肩をたたき、階段を上っていった。


 「はーっ、こんなに疲れたのは初めてだ……」
 俺は布団に入るや否やすぐに睡魔を受け入れる。ただ、今日のことを少しだけ振り返って……——

Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.19 )
日時: 2009/10/31 09:44
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

「うわーッ! 綺麗ー! 」
 今日びハルヒとクリスマスの町を行く。周囲はサンタの格好をしたお爺さんやら、分厚いトナカイの着ぐるみでのビラ配りなど、ソレ一色であった。
「そーだな……」
「ほらほら! 景色ばかり見ない! エスコートしてって言ったでしょ? 」
 くったくのない笑顔でハルヒは俺の右手を握り、自分も見ろ! と言わんばかりに俺に顔を近づける。
「お、おう」
 しかし、目の端に最も映るのはカップルの横列。いや、俺みたいな例もあるのだから、その全てがカップルとは言いがたいが、ともあれ北高校の生徒に今会うのは御免こうむる。するとハルヒは……——

「あ! あれテレビカメラじゃない? ホラ! アナウンサーが身振りしてる! 」

 テレビカメラを見つけた途端、一目散にそれめがけて走って行った。
「お、おい! ハルヒッ! 」
 悲願空しく、俺の語りは破られる。まさかあそこまでするとは思っても見なかったのだ。
 ハルヒはキャスターのマイクをぶん捕って全国区にピースをしてしまった!

『みくるちゃーん!!! 有希ー!!! 古泉くーん!!! 観てるー?!! 』

そんなこんなで約30分、俺のみがディレクターにこってり叱られ、陽々と行くはハルヒ。俺が叱れていることにはまるで無関心のようで……
「全く、何やってるのよ……もう7時回っちゃったじゃない! 」
「誰のせいで、俺が怒られたと思っているんだよ。ったく、今日は散々だぜ……」
 俺は後者をハルヒに聞こえないように呟く。
「ん? 何か言った? 」
「い、いや何も。それより、行きたい店ってのは? 」
「うん。ホラ、あれよ」
 ハルヒの指す方向を見ると、そこにはハルヒに似つかわない何とも可愛らしい呉服店が堂々とそびえ立っていた。
「……で、まさかと思うがあそこで俺にクリスマスプレゼントを買えと……? 」
「…………」
 赤くなるハルヒ。全く、いつものことだが、素直に欲しい物があるのなら、事前に言っておいてくれれば良いのに……
「わーったよ。買ってやる。ホラ行くぞ……」
「うん……」
 ハルヒはマフラーで口元と頬を若干隠し、それでも頬は赤らんでいることがよく分かる。俺はそっとハルヒの左手を握り、まっすぐ歩む。

 ちなみに……今、俺の所持金は2万円と少し。いつものオゴリで浪費する量の約4倍。なぜこんなにも大金を持って来たのか、実は自分でもよく分かっていなかった。
 もしかしたら、ハルヒへのクリスマスプレゼントを俺ながらに意識していたのかもしれない。

Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.20 )
日時: 2009/10/31 09:44
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

 こうして、俺はレジでの会計を済ませ、しばらく暖かかった俺の懐(ふところ)は南極への引越しをめでたく決定した。

「何で人に金払わせる時は容赦なく高い物を選ぶんだ……」
 悲しくて涙が出そうな俺をハルヒは満面の笑みで袋包みを大切そうに抱えている。
「男が身銭のことでグチこぼすと、情けなく見えるわよ? もっと大らかになれないの? 」
「そーゆーことじゃねーよ。お前が選んだ物に対して言ってるんだろうが」
「ん? コレ? 」
 ハルヒはそう言うと、袋の中を開け、これ見よがしに俺の目の前に出した。
「呉服店なんかに行くから、てっきり服を買うのかと思ったら……」
「いいじゃない! って言うか、いい加減その女々しい態度止めなさい! 」
 そして、なぜか俺はハルヒに怒られる。今、ハルヒが手に持っている物、それは『レランパーゴ』と言う漆黒の宝石の入った小振りのネックレスだった。後で気付いたことだが、見る角度によって、金色のすだれが幾つも垣間見える。
「ところで、『レランパーゴ』って? 」
 無知の俺は一応、その宝石について聞いてみる。
「『レランパーゴ』はスペイン語で『雷(いかずち)』って意味。不思議な力があるって聞いているわ」
 始まった……言うまでもないが、ハルヒはこういう類が大好きだ。
「不思議な力って? 」
「うん。持ち主が想う願いなら何でも叶えてくれるって言われてるそうよ。まぁさすがにそれは過大評価よねえ……」
 妙なところで現実的なやつだ。いや待てよ? ハルヒは世界を自由に変える能力を持ってる。あながちハルヒと不釣合いな宝石ではないのかもしれない。
「有り金全部はたいたんだ。大事にしろよ……? 」
「分かってるわよ。っていうか、本当に財布の中スッカラカンなの? 」
「あぁ、狙ったように南極へお引越しなされた……」
 そう。これで、正月までは無一文だ。
「それって、もしかしてこの宝石の力じゃない? 」
「は? 」
「だって、キョンがたまたま持ち合わせてた財布の中身が、私のずっと欲しかったネックレスとピタリ! 」
 なるほど……確かにそうかもしれないと、珍しくオカルトに関心する俺だが、仮に冗談だとしても今の俺には全く笑えるものではなかった。

「……せっかくだから付けてみろよ。より効果が上がるかもしれんぞ? 」
「それもそうね」
 そうして、ハルヒは普段しないネックレスに数分格闘しながらなんとか付け終える。そして……——

「どう……? 」
 恐ろしいほどハルヒの雰囲気と『レランパーゴ』の漆黒は似合っていた。
「あぁ、よく似合ってる」

 俺がそう言うと、ハルヒは「よしっ」と意気込んで、今度はハルヒが俺の手を引く。二人でゆく聖夜の空にサンタは今日一日だけ仕事をするのだろう。
 そして、俺へのプレゼントはハルヒと過ごすこの時間だったのかもしれない……——
 本当かどうかは誰もわからないが……

Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.21 )
日時: 2009/10/31 09:46
名前: song (ID: p17IpJNR)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630

 第五話 クリスマス クリスマス


「ふぁあ……」
 布団から目を覚ますと、窓の桟から心地の良い朝日が漏れてきていた。
「いい天気だ」
 俺は寝ぼけた頭で体を起こそうとしたがなぜが下半身が動かない。そぅっと目を下に向けると……——

「うわッ ! 」

 布団越しにひよりが俺の脚を枕にしてすやすやと寝ていた。
「……おーい、ひよりー起きろー」
 間延びした声で俺はひよりをさすると……
「ふわッ ! ご、ごめんなさい ! 」
 ひよりはパチと目を開けた瞬間に自分の行動が分かったらしい。
「案外寝相悪いのな……お前」
「こ、これはその……えっと」
 必死に説明しようとするが、結果答えるのは自分の寝相を物語るだけだった。
「いや、別にいいよ」
「あうぅ……」
 真っ赤な顔になったひよりは結構可愛い。そのひよりの姿を見て、俺は朝方にも関らず脈動が活発になるのを感じた。


 — 朝食時 —

「おはようございます……」
「おはよう。昨夜はよく眠れたかい ? ひよりちゃん」
 テーブルには母さんと妹がすでに座っていたが、なぜか父さんは鎮座していなかった。
「あれ ? 父さんは ? 」
 さりげなく俺は母さんに聞く。
「もうとっくに会社行っちゃったわよ。今日は帰りも遅くなるんだって。まだ、ひよりちゃんとしっかり挨拶できてないっていうのに……」
 それを聞いたはひよりは少しうつむいたように見えた。
「大丈夫だよ。ウチの親父は異論がなければそれについてしつこく喋らない。つまり、ひよりのことはちゃんと受け入れてくれてる」
 そして、俺は母さんの言葉にフォローを入れる。ひよりの表情も今ので晴れた気がする。
「ありがとう」
 ひよりはニコりと微笑んだ。
「おう」
 俺は軽く会釈し、朝食を前にする。
「さぁ、ひよりちゃんも食べて」
「はい。いただきます」

 ——そして、俺は母親の手回しの早さに本当に驚いた。

「そうだ。言い忘れるトコロだった」
「ん? 何? 」
 母さんは俺を見て何かを思い出したようだ。
「ひよりちゃんの再入学だけど、学校の先生は快く承諾してくれたわ。一度入学試験は受けてるし、今日からでも転入できるって」
「……マジか?! 」
 普通、冬休み前日に転校生を入れるか? 学校側も何考えているんだか……いや、新年を迎える前に入学しておけば、二年になってからも尺が取りやすいからかもしれないな。まぁ、俺の知る範囲ではない。
「ありがとうございます」
 ひよりは座ったまま会釈し、お礼を言う。
「それはいいけど、学校への交通手段は? っていうか、俺も自転車大破して足止めだけど……」
 俺はハシの動きを止め、ここで重要事項を述べた。
「しょうがないから、今日はバスでお行き。自転車はたぶん元に戻らないから、新しいのを買うしかないね」
「そーなるな」
 そう言えば、バスって手段もあったな。すっかり忘れていた。

 そんなこんなで、俺達はこれから同じ道を登校することとなった。さぁ、ハルヒにバレたらどうしよう。今度はデコピンじゃ済まないぞ。理由を言う前にボコボコにされそうだ。


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