二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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バトテニ−地獄−
日時: 2010/02/07 17:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 こんにちは。 亮です。
 前のスレのURLが使用禁止ワードになってるみたいですね((汗
 60話まで来て、キリもいいし、スレの整理をかねて新しく立て直しました。
 −無駄な感情−に更新している小説をこっちに移すだけなので、たいしたことはしませんが((笑
 19話を除く、8話からから26話までの
 データが消えてしまって無いので、多少分かりづらいかもしれません。
 ご了承下さい。
 こっちの整理に時間が掛かるので、新しい更新は−無駄な感情−のほうを見ていただけると助かります。
 ↑意味不明ですね・・・
 ま、どっちも更新する、というコトです。


 気軽にコメ・感想・アドバイスなどお願いします〜
 意味不明な表現や、誤字なども含まれると思うのでどんどん指摘してくださいねッ


 では、始まります。



 

 俺たちは、何処で道を踏み外したのだろう。
 何処で何を間違えたのだろう。
 どうして、あの日、俺たちは離ればなれになってしまったのだろう。

 
 キミは今、何をしている?

 
 この空の下。
 きっと何処かで生きている。

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Re: バトテニ−序章− ( No.6 )
日時: 2010/02/05 22:34
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 03 到着



「ここが合宿場かァ」(香澄)
「まさか無人島とはなァ」(桃)
「氷帝の跡部さんとかが企画したんじゃない?」(香澄)
「そうかもな」(桃)

「桃ッ香澄ちゃんッ こっち、こっち!」(大石)

「「はーい」」


香澄達は島にある宿舎へ向かった。
そこの食堂にはもう、氷帝の立海大も到着していた。


「お、青学が来たぞ」(宍戸)
「なんだ、マネージャーも来てるじゃねェか」(跡部)

「お、お久しぶりです、跡部さん」(香澄)

「あーッ 香澄ちゃんだーッ」(ジロー)
「なんや、香澄ちゃんも来てるンか」(忍足)
「ホント、お久しぶりですね」(長太郎)

氷帝レギュラーに囲まれて、ニコニコ笑う香澄。
本人は自覚がないが、誰とでもすぐにとけ込めることは香澄の特技かもしれない。


「・・・女に皆でよってたかって・・・たるんどる」(真田)

「香澄ーッ」(赤也)

「赤也ッ」(香澄)

「お、オイ! 赤也!」(真田)

真田の呼びかけにも応じず、赤也も香澄の方へ走った。

「まったく、赤也は・・・」(真田)
「イイじゃないか。初めくらい」(幸村)
「ゆ、幸村」(真田)
「合宿が始まったら、香澄ちゃんと話す暇もないんだから」(幸村)
「・・・そうか」(真田)

立海大のレギュラー達も、香澄を囲った。

そんな光景が、青学レギュラー達は気に入らない。
特に桃は、なんとなく不安を覚えていた。


・・・なーんかおもしろくねェなァ、おもしろくねェよ


香澄が皆の真ん中にいるのは幼なじみとして誇らしい気分になる。
だけど、自分以外の人にあのカワイイ笑顔を向けられるのは、正直おもしろくない。


「香澄は青学のマネージャーだぞッ 返せ!」(英二)

英二は1人、他の人達をかき分け、香澄の腕を掴んだ。

「アーン? ここに合宿に来たら、皆のマネージャーだろ?」(跡部)
「そーだ、そーだッ」(岳人)
「1人締めはダメッスよ!」(赤也)

「み、皆、何言ってるの?」(香澄)

「やーだよォ! 返して貰うからねッ」(英二)
「え、英二先輩?!」(香澄)

英二は強引に香澄の腕を引っ張った。
こうでもしなきゃ、アイツらから、香澄を取り返せないから。

「香澄、救出せいこーうッ ほいッ桃! 香澄を取られないように気を付けろよッ」(英二)

桃の耳元で、コソッと言った。

「え、あの、何言ってんスか! 英二先輩!」(桃)
「な、何よ? なんて言ったの? 英二先輩ッ」(香澄)

悔しいけど、香澄はいつも、桃のことを見てるから。


香澄はワケが分からなかったが、取りあえず青学メンバーのトコロへ戻って来られた。

安心できる場所へ、戻って来た。

氷帝の人も立海大の人もイイ人達だけど、やっぱり青学レギュラーの皆が大好きだ。


それにしても、氷帝の榊監督の姿も見えないし、立海の監督の姿も見えない。
この宿舎に入ってから、一度も大人を見ていない。

・・・何かが、変だ。

食堂の隅で、乾はそう感じていた。

Re: バトテニ−序章− ( No.7 )
日時: 2010/02/05 22:34
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

04 冗談



全国大会で共に戦ったライバル達。
顔を合わせるのも初めてではない。
そのせいか、青学、氷帝、立海大のレギュラー達は一緒に騒いだり、話をしたりしていた。

「香澄ちゃーんッ 宍戸がいじめるー」(ジロー)
「え」(香澄)
「な、何言ってやがるッ んなことしてねェつーの!」(宍戸)
「ァハハッ 分かってますよ、宍戸さんがそんなことしないことくらいッ」(香澄)

しょうがない人達だなァ
そう思いながら、優しい笑顔でそのままの気持ちを宍戸に言った。

思わぬ答えに、宍戸も、ジローも、顔を赤らめた。

そして更に騒がしくなる食堂。
笑い声が絶えなかった。
・・・・・・次の瞬間までは。


「うッ・・・」(リョーマ)

香澄の隣にいた、リョーマが倒れた。

「リョ、リョーマ?! どうしたの?」(香澄)
「香澄?! どうした?」(桃)
「リョーマが、急にッ」(香澄)
「越前?!」(桃)
「だ、大丈夫?! リョーマ・・・」(香澄)

リョーマを支えていた香澄も、ふっと倒れてしまった。

「か、香澄? どうしたんだ・・・!!」(桃)
「桃城?」(海堂)

香澄とリョーマをとっさに支えた桃も、それを見ていた海堂も・・・
食堂にいた全員が、次々と倒れていった。




昼の11時45分を指した。

「香澄ッ 大丈夫か?」(桃)

「ん・・・桃? 私、何で・・・」(香澄)

倒れていた者が、次々と目を覚ます。

「え・・・何? この首輪・・・」(香澄)
「分かんねェ ・・・でも、変だ」(桃)

「跡部・・・お前の仕業か?」(手塚)
「俺がこんなチマチマしたことを企画するわけねェだろ」(跡部)

状況が分からない。
場所も、前にいた食堂ではなく、古びた教室だ。



ドアが、勢いよく開いた。


「起きたか、お前ら」(竜崎)

入ってきたのは、竜崎先生だった。
この合宿には、同行しないと言ったハズだった。
でも、入ってきたのは、竜崎先生だった。

青学レギュラーは、目を疑った。

「な、なんだ・・・竜崎先生付いてきてたんじゃないですか」(大石)
「同行するなら、初めから一緒に来れば良かったのに」(タカさん)

2人の言葉を聞こえていないかのように無視し、食堂のホワイトボードの前に立った。

「りゅ、竜崎先生?」(香澄)




「お前達は、これから殺し合いをする。 BRに選ばれたんだよ」(竜崎)



“BR”・・・
バトル・ロワイアルのことは、合宿に来た誰もが知っていた。
友達同士で一定の期間殺し合い、最後の1人を決めるゲーム。
政府が作ったくだらないゲーム。
今はもう、使われていない政策だ。
香澄も、知っていた。

だけど、香澄は待った。

「先生、冗談キツイッスよ!」
誰かがそう言って、
「ハハ、びっくりしたろ?本気にしたか?」
先生が笑って、「冗談だよ」と言ってくれるのを。

殺し合いなんて・・・ウソだ。
冗談だ。
そうでしょ? 先生。
早く、早く、笑ってそう言って。

Re: バトテニ−序章− ( No.8 )
日時: 2010/02/05 22:34
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

05 悪夢




香澄の願いとは裏腹に、誰もが口をきけずにいた。
誰もが・・・信じられずにいた。
それでも、竜崎先生は淡々と説明を続けた。

「BR法は本来は中学3年生を対象に行われるが、今回のBRには関係ない」(竜崎)



「・・・ここにいる全員が参加者だ」(竜崎)



「せ、先生・・・」(香澄)

香澄は竜崎先生に呼びかけた。

だが、竜崎は冷たい目で香澄を見た。
もうそれは、昨日までの竜崎ではなかった。
選手を温かい目で見守っていた、あの目ではなかった。

香澄の頬を、涙が伝った。

「香澄・・・」(桃)


「ワケ分かんねェ、何なんだよ! こんな首輪取ってやる」(日吉)

氷帝の日吉が、反発した。

跡部は、首輪をさわろうとする日吉を見て、イヤな予感がした。
・・・そう言えば聞いたことがある。
BR法では首輪を無理矢理外そうとすると・・・

「止めろ、日吉」(跡部)

跡部の忠告も聞かず、日吉は自分の首輪を無理矢理引っ張った。

「オイ、俺様が止めろっつてんだよ」(跡部)

日吉は無視して、首輪をいじった。

竜崎は止めようともしなかった。

古びた教室に、「ピピピピピピピッ」という音が響いた。

「な、なんだよ、この音・・・」(向日)
「ひ、日吉ッ」(宍戸)


宍戸が日吉を止めようとした、ちょうどその時だった。
今までに聞いたことがないくらいの大きな爆発音が鳴った。
日吉の姿は・・・もうなかった。
ボロボロで血まみれの氷帝ユニフォームが残っているだけだった。

それは・・・“死”を意味していた。

「ひ、日吉・・・」(長太郎)

長太郎の顔から、血の気が引いていく。
1年の頃から一緒に頑張ってきたチームメイトが・・・今、目の前で死んだ。

イヤ、知っていて止めなかった竜崎に殺されたんだ。

「日吉———————————!!」(跡部)

跡部が叫ぶ。
どんなに叫んでも、日吉からの返事は、もう二度とない。

「ババァ、テメェ知ってて・・・知ってて何も言わなかったのかよ!」(跡部)

跡部は竜崎を胸ぐらを掴んだ。
同時に氷帝メンバーも、竜崎に詰め寄る。

それでも、竜崎は動じなかった。


「アイツのように死にたくなかったら、おとなしくしていろ」(竜崎)


そう言った竜崎の顔は、もう人間の顔ではなかった。

そして、その竜崎に逆らう者も、この悪夢を受け入れられない者も、いなくなっていた。



Re: バトテニ−序章− ( No.9 )
日時: 2010/02/05 22:35
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 06 数々の疑問



「邪魔が入ったが、説明を続けるぞ」(竜崎)



日吉の死を“邪魔”と言った竜崎が、香澄は信じられなかった。


人が1人、死んだんだよ?
先生、状況が分かってるの?
どうして・・・何もなかったかのように、平然としていられるの?

日吉くんは・・・何も悪くなかったのに、殺された。
私は、怖くて出て行くことさえ出来なかった。
跡部さんや宍戸さん達のように、怒りをぶつけるコトなんて、出来なかった。
後悔しても、仕切れない・・・

自分の命が、惜しかった。
自分の命を優先させてしまった。

香澄は、自分がどうしようもなく愚かに思えた。
でもそれは・・・ここにいる全員が同じだった。


もう、後悔はしたくない。



跡部は「チッ」と舌打ちをし、その場に静かに座った。


俺は氷帝学園テニス部の部長だぞ?
部員200名を束ねる、帝王だぞ?
その帝王が・・・人1人助けられねェなんてな。
情けねェ・・・ 
何が帝王だよ。 名前ばっかりの・・・

大人は何をやっているんだ?
これが、子供にやらせるべきコトなのか?
これが・・・今の政府なのか?


自分への情けなさと同時に、政府への怒りがこみ上げる。

跡部は、唯一の女、香澄の方を見た。
涙を流していた。
でもその涙は、ウジウジ面倒くせェ女の涙とは、どこか違った。

決意に満ちた・・・そんな涙だった。

大切な人・・・か。


「ルールを言うぞ、聞きのがすんじゃないよ!
 皆もよく知っているように、ここは無人島じゃ。
 BRのための島だから、学校・病院・民家は政府が設置している。勝手に入って休んでもいい。
 それから、1日4回、6時間ごとに放送をする。
 禁止エリアと・・・死亡者の放送だ」(竜崎)


竜崎は淡々と話す。
何度も聞いたこの声と話し方。
なのに、違う人の話を聞いているようだった。
もう、青学レギュラーの知っている、“竜崎先生”ではない。

「これから配布するデイバックの中に地図が入ったいる。
 地図にはA-1というようにアルファベットと数字が書いてあるから、
 禁止エリアの参考にするといい。
 禁止エリアになって5分をすぎてもその場を離れなかったり、
 期間は5日間。 もし、最終日に複数の人が生き残っていたら・・・」(竜崎)

竜崎は、ボロボロの日吉のユニフォームを見た。

「ヤツの様に、ボロボロになるぞ」(竜崎)

その言葉を聞いた長太郎は、涙を流した。
顔を隠してはいたが、宍戸も、ジローも、泣いていた。


「それじゃァ、1人ずつ、名前を呼ばれたら出発だ。武器はランダムだから、文句は言うなよ」(竜崎)

武器・・・
自分が、そんな物を持つ日が来るなんて、思いもしなかったな・・・

お父さん、お母さん、ゴメンね?
絶対に人は殺さないよ?
だけど・・・もう、会えないかも。


「1番! 芥川慈郎!」(竜崎)
「え・・・あ・・・」(ジロー)

「・・・行け」(跡部)

「う、うん・・・」(ジロー)
「後で、必ず会おう」(跡部)

ジローはデイバックを受け取り、駆け足で教室から出て行った。

「2番ッ 跡部」(竜崎)
「はい」(跡部)

教室から出て行く跡部は、堂々としていて、まさに帝王だった。
大切な人を守る。
跡部はもう心に決めていた。

「・・・3番、香澄」(竜崎)
「・・・はい」(香澄)

「か、香澄ッ」(桃)
「香澄先輩・・・」(リョーマ)

2人は心配そうに、香澄を見る。

そんなに心配しないで。
私は大丈夫だから。

「どこかで必ず会おう。私、桃達のこと、信じてるから」(香澄)

「香澄・・・」(桃)

信じてるよ。
だから、桃も信じて。




もう、後悔はしたくない。
だから、私は・・・
信じられる皆のためなら、自分の命を省みない。
信じられる皆のためなら、死ねる・・・

だから、ゴメンね。
お父さん、お母さん。 私、きっと死んじゃうから。

Re: バトテニ−運命− ( No.10 )
日時: 2010/02/05 22:39
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

          
          【一章】-運命-

         明日も明後日もその次も、普通に続いていくと思っていた。

         自分の命の期限を知る日が来ようとは、夢にも思わなかった。

         ほら、こうしている間にも、最期の時が迫り来る。
 
         決めつけられた、私たちの運命。

         これから、逃れるなんてムリなんだ。

 

 
 07 選択



俺が呼ばれたのは、青学の皆が出て行った後だった。

だから、誰がどこに居るか。
そんなことの予想が全く付かない。

どこに居るんだ? 越前、海堂。
何を思っていますか? タカさん、乾先輩、英二先輩、大石先輩、不二先輩、・・・手塚部長!

それと・・・無事で居てくれ。 香澄。

「信じて?」
そう言った悲しそうで、寂しそうな笑顔だった香澄。
でも、その笑顔からは“決意”の様なものも読み取れた。

信じるよ、香澄。
信じてるよ。
無地で居てくれるって、お前は誰も殺さないって、信じるからよ。

だから・・・どうかその“決意”が“死”ではありませんように。
“生きる”ための“決意”ですように。


教室を出てからずっと、誰にも会っていない。
桃は1人、香澄を探した。


「・・・どこに居るんだよ・・・」(桃)




香澄は森の中を1人でさまよっていた。

あの教室を出発してから、誰とも会っていない。
何処に居るの?
何をしているの?
何を・・・考えているの?
青学の皆、氷帝の皆、立海大の皆。
その中に、このふざけたゲームに乗っている人が居るの?

香澄は誰に問いかけていいか分からない問いを、胸の中で繰り返した。

誰かに会いたい。
出来れば、青学の誰か。
会って安心したい。安心させたい。
優しい人達だから、きっと心配しているだろう。


“信じられる皆のためなら、自分の命を省みない”

そう決意したはずなのに、怖がっている暇なんてないのに、
香澄は1人で居るのがどうしようもなく怖かった。
だからこそ、誰かに会って、身を寄せ合いたかった。

青学の人に会えば、信じられる皆に会えば、強くなれると信じていた。


“青学の人”=“信じられる”


これは香澄の中で、正しい方程式になっていたのだ。



ガサッ



森の中で、何かが動いた音がした。

・・・人が、居る。
誰だかは分からない。
だけど、人が居る。

1人で居るのが怖かった香澄は、誰かに会うことに恐怖なんてなかった。
・・・ただ、仲間を求めていた。

香澄は音のした方を見た。






“青学の人”=“信じられる”

この方程式が、壊れることになろうとも知らずに。


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