二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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TALES OF SYMPHONIA
日時: 2010/05/26 14:13
名前: 行進曲 (ID: leJCucM4)

どうも初めまして!
行進曲 と言います。

今回はテイルズオブシンフォニア(PS2・GCのゲームです。)を元に小説を書きたいと思っています。
下手くそなのですがどうぞ宜しくお願いします!


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Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.15 )
日時: 2010/06/06 21:34
名前: 行進曲 (ID: fREd0x4b)

「さあ、話しはここまでよ! 空で神が待っている!」

自然と体中に力が入る。
見つけた。ミトスを復讐鬼に変えた奴らを。

「スプラッシュ!」

アクエリアの足元から二本の水柱が出現する。
それらはまるで生き物のようにグレイ達に向かって動き出した。

「く!」

クラトスが水流を寸前のところで回避する。
もう一方の方はグレイとの距離を縮めて行っていた。

「……神威……。」

水流が地面に叩きつけられる。
水しぶきが遠くにいたジーニアス達にまでかかった。

「グレイ!」

ジーニアスが叫ぶが、彼の姿はなかった。
グレイは既にアクエリアの背後にまわっていたのだった。

(な……早い……!)

「雷迅。」

バチバチと音を立てながら剣が青白い光を帯びる。
二本の剣はアクエリアの腹部にしっかりと差し込まれた。

「きゃあ!!!!」

アクエリアの短い悲鳴が響く。
液化した彼女の体中に雷が流れる。

「くぅ……水……龍……!!」

アクエリアの手の中から札が一枚舞い落ちる。すると、それはすぐに水の龍へと姿を変えた。
グレイは剣を抜いた。

「この距離なら……避けられないわよ……!」

アクエリアは肩で息をしている。
グレイは目の前に立ちはだかる水龍を眺める。

「避けろ! グレイ!」

クラトスの声が聞こえる。
何故かはわからないが足が動かない。体が言うことを聞かない。
水龍はまっすぐグレイのいた場所に叩きつけられた。

「フフフ……アハハハハ!! 神官の力思い知っ……」

不意に足元に凍えるような寒さを感じる。
足元に目を落とすと、氷がどんどんと登ってきているではないか。

「な、何よ、これ!?」

氷はアクエリアの首元までで止まった。

「氷牙……。 液体は固体になった。
 お前はもう逃げられない。」

「く……アンタ……避けてたのか!?」

グレイは黙って剣をアクエリアに向ける。

「言え。 その神は何処にいる? 天界か?」

「ふん、言えないわね! さっさと殺しなさいよ!」

アクエリアがキッとグレイを睨みつける。

「なら……もう用はないな!」

だが、グレイの腕は動かなかった。
クラトスが彼の腕を掴んでいた。

「止めろ。 そこまでだ。」

「止めるな。 どの道こいつは危険だ。」

「……よく見ろ。」

「……。」

アクエリアはゆっくりと目を閉じた。そしてその後、目を覚ますことはなかった。

「ふん……逃げたか。 卑怯者が……。」

「しかし、グレイ。 これで敵が絞れたな。」

「そうだな。 ……天使と……神だ……!」

雨がやみ、雲も晴れて太陽が濡れた大地を照りつける。

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.16 )
日時: 2010/06/08 19:48
名前: 行進曲 (ID: TtFtbd5q)

随分と雨に打たれていたせいか、ジーニアスがくしゃみをする。

「とりあえず宿に戻るぞ。
 リフィルも休ませなければなるまい。」

「うん、戻ろう。」

クラトスがリフィルに肩を貸し、宿まで運ぶ。
グレイとジーニアスも彼を追って部屋に戻った。
リフィルをベッドに寝かすと、クラトスが早速話を切り出した。

「グレイ、お前が天界から盗み出したと言うのは何だ?」

ジーニアスもアクエリアが言っていたことを思い出す。

「天ノ書。天神砲を起動するための方法が記された天界の書物だ。」

「何故お前がそんな物を持っている?」

「天界にも神様はいる。
 その神様が今も根強く残る差別をなくすために世界を再生すると言って天神砲を開発させた。
 オレは以前のミトスの目指した世界を破壊したいとは思わなかった。
 天使達に訴えてみたが、だめだった……。
 そこで思いついたのが天ノ書だ。こいつがなければ天神砲も起動できない。
 そしてその間に……」

「神を探し出す、か?」

グレイが黙って頷く。

「そして、今回のこの1件で神官や神がミトスやマーテルについてなにか知っていると確信した。」

「だが、これからはお前も天使達に狙われることになるだろう。」

「迷惑なら今すぐここから立ち去る。
 人に迷惑はかけたくない。」

「大丈夫だよ!」

ジーニアスが笑って見せる。

「ボク達だって前に天使とは戦ったこともある。
 大丈夫、負けはしないよ!」

「……お前はいいのか?」

「私は構わない。お前と共にいればミトス達への手掛かりが見つかる。」

「分かった……ならお前達とはもう少しだけ共に旅をしよう……。」

「もう少しだけじゃなくて、もうずっと一緒にいようよ!ね!?」

そう言うとグレイは黙って部屋の扉を開ける。

「……どうだろうな。」

そう言い残してグレイは自室へ戻って行った。

「お前もそろそろ寝るといい。
 私は見張りをしていよう。」

「……ねえ、クラトス?」

ジーニアスが暗い表情になって口を動かす。

「このまま隠していていいのかな……。
 ボク達がミトスを……。」

「……お前にその気があるなら話してやればいい。
 話した後は……自力で努力してアイツを納得させればいい。」

簡単に言った言葉だが、クラトスにそう言われて何となく嬉しかった。
自分を信頼してくれているんだと。
いつか、また彼には打ち明けよう。
彼にとっても辛いだろうけど、ボクにとっても辛い。
同じ気持ちを分かち合えるボク達ならきっと分かりあえる。
 
「旅立ち」 終了

〜あとがき〜
大変遅れましたが、ソフィアさん、鑑定有難うございました!
アドバイスを参考に小説を修正しました。
またいつか宜しくお願いします!

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.17 )
日時: 2010/06/14 21:18
名前: 行進曲 (ID: icsx9rvy)


第2章 「重なる」



眠れない。
グレイはゆっくりと起き、扉を開けてベランダへでた。
綺麗な星々が宝石のように夜空に散りばめられている。天界ではこんな星空は見れない。いや、星空自体見れない。

(お前とよく似てるよ……。姿は似ていなくても昔のお前とそっくりだ……。
 何でだろうな? あんなチビがお前の姿と重なって見えるなんてな。)

グレイがふと下を見下ろすと、クラトスが壁に寄り掛かっているのが見える。
見張りをしているのだろう。グレイはベランダから飛び降りる。彼の部屋は2階だが、上手く壁を使って地面に着地する。それに気がついたクラトスがこちらを見る。

「まだ寝ていなかったのか?」

「眠れないんだよ。」

「……そうか。」

そう言うとクラトスは夜空を見上げる。
それと同時に流れ星が流れる。

「流れ星か……。」

「アンタは、何か願うことがあるのか?」

「そうだな……息子が幸せに生きられるように……。
 私のような男にはならないように。
 それだけ私は願う。」

グレイが意外そうな顔でクラトスを見つめる。

「アンタ……子供いたのか?」

「とは言っても私はほとんど育てていない。
 それに私は妻の命を奪った……。多分息子はまだ私の事を許してはくれまい。」

「だったら、何で許して欲しいって願わないんだ?」

「私は許してほしいとは思っていない。
 私自身も、私を許し切れていないのかもしれない……。」

「……複雑だな。」

そう言った後少しの間沈黙がつづいた。

「……オレは両親とも人間に殺された。
 不幸の象徴だって……。」

昔天使は背中に生えている翼のせいでエルフからも、人間からも差別されていた。
エルフでも人間でもない。ハーフエルフでもない。自分達の知らない生物に対して人間達は恐怖感を覚えた。
そして、天使達への差別はより過激的な物となっていった。
人間やエルフに殺される天使も出てきた。
その中にはグレイの両親もいた。
天使達はある場所を隠れ家とし、そこでひっそりと暮らしていた。
そこにやってきた——と言うよりも迷い込んできた——のがミトスとマーテルだった。
彼らは天使達と力を合わせてその地を天へと打ち上げた。
そして、天界が生まれた。

「随分幼い時に両親は亡くなったらしくてオレは顔も覚えていない……。
 人間やエルフが憎くて憎くてたまらなかった。
 でも、ミトスのお陰で今はそんなことは思わなくなった。」

「だが他の天使達は……。」

「ああ、耐えられなかったんだ。
 もう、我慢の限界だって……。」

そう言うとグレイが背中から翼を出現させる。
透き通った七色に輝いている。

「こんな羽がなければきっとオレ達もエルフか人間……悪くてもハーフエルフにはなれたんだろうに……。」

「自らの生まれを憎んでどうする?
 ……己を憎むな。私のような男にはなってはならない……。」

「……そう……だな。
 うん……ごめんな。」

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.18 )
日時: 2010/06/18 20:48
名前: 行進曲 (ID: pqUQa2Av)

翌日、前夜の雨が嘘かのように晴れている。
まだ雨のにおいが微かに残っている。

「トリエット砂漠まであと少しだが、気は抜くなよ。」

最近は魔物も少なくなった。
ここでクラトスが気をつけろと言っているのはおそらく天使達の事だろう。

「ねえ、ユアンのところに行くよりも天界まで行った方が早いんじゃないの?」

ジーニアスが閃いたように訊ねる。

「それは無理だ。オレは天界では指名手配人だ。
 行っても捕まるのが落ちだろう。」

「そっか。」

ジーニアスが肩を落とす。

「見えてきたぞ、トリエット砂漠だ。」

彼らの眼前には果てのない砂漠が広がっていた。


ステンドグラスに囲まれた教会のような建物。
天窓から光が差し込んでくるのが眩い。

「報告に参りました。」

「頭を上げなよ。堅苦しい挨拶なんていらないからさ。」

黒いロングコートを着た白髪の男が顔を上げる。
その先には少女と少年が立っている。

「アクエリアの生命反応が消えました。
 恐らくは……。」

「彼女一人で仕留められるなんて思っていなかったさ。
 彼女の事はボク達に任せてくれていいよ。」

それより、と少年が続ける。

「彼らはトリエット砂漠を進んでいる。
 トリエットの町まではまだ距離がある。攻めるなら今のうちだよ。」

「しかし、我々には高速での移動手段はありません。 トリエットまでは恐らく一日はかかるかと。」

「私達が作り出す次元の歪に飛び込んで下さい。
 トリエット砂漠につながっています。」

「それは名案でございますね。
 しかしながらもうしばらくお時間を頂けないでしょうか?
 我が友を連れて行きたいので……。」

「ああ、構わないよ。
 でも、なるべく早くしてね。」

「了解。」

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.19 )
日時: 2010/06/20 14:21
名前: 行進曲 (ID: pzcqBRyu)


「暑い〜……。」

ジーニアスが力の抜けたような声を出す。
飲み水はとうに尽きていた。
この周辺には飲み水はない。トリエットの町まで行って今は給水するべきだろう。

「賛成!」

ジーニアスが俄然元気になる。

「あんまりはしゃいでると転ぶわよ?」

「そうそう!!眼前注意!!」

「危ない!!」

間一髪のところでクラトスが割って飛び込んだ。
巨大な黒い鎌がクラトスの頬に微かに傷を負わせた。

「何者だ?」

あくまでも冷静にクラトスは訊ねる。
黒いロングコートを全開にしている白髪の男はそれには応じず、後退して行く。

「今から死ぬ奴らに名乗る名前なんざ持ち合わせてねえんだよ!!」

男は鎌を肩に担ぐ。

「さあ!!このオレがテメエらをぶった斬ってやるからなぁ!!
 覚悟しとけよ!?」

と、その時、鎌の男の頭に石ころがコツン、と当たる。
一瞬周囲の緊張感が解けた。

「テメエ、何しやがんだよ!?」

「人に名を聞かれたのならきっちりと答えてやるのが礼儀だろう。」

重そうな鎧を——兜まで装着している——男が白髪の男の横に並ぶ。

「我が名はレグルス。4大天使の一人。
 そして、こいつはザメル。同じく4大天使の一人だ。」

「天使か。」

「神の命により、貴様等に制裁を与える。
 覚悟なされよ。」

「テメエばっかかっこつけてんじゃねえぞ!
 この野郎!」

ザメルが思いっきりレグルスの兜を殴る。
だが、逆にザメルの拳が悲鳴を上げた。

「痛ぇ……!!鎧兜外せこの野郎!!」

「なめてんのかアイツら……!」

グレイが刀を鞘から抜いた。クラトスは待て、と彼を止めた。

「ったく、まあいいさ。
 さっさとこいつらを狩って天界に戻るとしましょうか!」

ザメルの方が先に動き出した。
グレイに向かって重い鎌を乱暴に振り回す。

「テメエだろ?天ノ書を盗んだのはよぉ!?」

グレイの頭上に鎌が振り下ろされる。
攻撃できる範囲は広いのだろうが、モーションが大きく、グレイにとって回避するのは容易だった。

「だったら何だってんだ!?」

グレイの二本の剣が大鎌とぶつかる。

「天ノ書を盗んでどうするつもりだよ!?
 地上の人間やエルフどもを守ろうってか!?ああ!?」

グレイが大鎌をはじき返す。
隙ができたザメルの腹を切りつけようとしたが、素早く大鎌を地面に突き立て、逆にグレイの刀を弾く。

「それの何が悪いってんだよ!?」

「神の決定だ!!誰にも逆らうことなんざ許されねえんだよ!!」

ザメルが大鎌を横にスイングする。
グレイはそれをしゃがんで回避した。

「神がそんなに偉いのかよ!?何が世界を再生するだ! お前らがやろうとしてるのは破壊だ!!」

鎌を振りかぶった隙を見つけてグレイが足払いをする。
砂煙を上げながらザメルは砂地の上に倒れた。
グレイは間髪いれずに刀を振り下ろす。

「人類すべてが無機生命体になれば差別はなくなる

 差別は人の恐怖心から生まれる。感情を無くせば恐怖なんざ感じねえ!
 どこに不満があるってんだよ!?」

刀は鎌に防がれた。これだけ大きな鎌だ。確かに攻撃用だけでなく、防御用にも十分使える。
刀を弾いたザメルは跳ね起きて再び大鎌を振り回す。
グレイはそれを防ぐのでいっぱいになった。

「感情を失って幸せになれるかよ!?
 悲しんだり、辛い出来事が続く中で人は強くなっていくんだ!
 辛いことを感じず、乗り越えることもできないような奴は生物でも何でもねえ!!」



ジーニアス達はグレイを助けに行きたいが、レグルスによって邪魔をされる。

「奴は戦いに水を差されるのが最も嫌いでな。
 遠くに行くまで見守ってやれ。」

「そうはさせない!
 迸れ!ライトニング!」

ジーニアスがケンダマを振りかざすと空から一筋の雷鳴が落ちてくる。

「グレイブ!」

すかさずレグルスは岩石を出現させ、傘代わりにする。

「ここは…通さんぞ。」

レグルスが両手を左右に大きく広げる。

「グランドダッシャー!!」

地面に亀裂が入り、巨大な岩石が出現する。

「この強固な岩の壁を壊さぬ限り、あの少年の元へは進めんぞ。」



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