二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【銀魂】太陽と、
日時: 2010/07/13 15:44
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: 8e2lADcR)
参照: 名前変えました。元煌謎です。

初めましての方は初めまして。
二度目ましての方はこんにちわ。

スレ主の瓦龍、(Garilyuu)と申します。
元煌謎です※

此の小説は作り直しスレです。
前のスレのパスワードを忘れてしまった為、作り直しました。
んでもって、又もや設定が曖昧ですが、読んで下さると嬉しいです。
アドバイスや誤字脱字注意等でも良いので、気軽にどうぞ。

▼注意事項、
・オリキャラ主
・キァラ崩壊有り
・更新が遅いです
・最低限のルールは守って下さい(荒らし、中傷など)
・駄文
・トリップ系&ヒロイン愛されキャラです
・グロ有り

以上です。
一つでも「此れ無理!!」というものがありましたら、戻るを連打して下さい。


イメージソング「凛として咲く花の如く」>>027


▼menu、
>>001 登場人物1。
>>002 story00 ─→「太陽消滅」

【Episode01】
>>005 story01 ─→「逃亡者、」
>>006 story02 ─→「謎の果て」
>>007 story03 ─→「僕の居場所」
>>008 story04 ─→「太陽に絶望」
>>009 story05 ─→「君からの贈り物」
>>010 story06 ─→「狂い桜」
>>018 story07 ─→「朝陽+α」
>>021 story08 ─→「遥か遠くに」
>>026 story09 ─→「綺羅綺羅光れ」

▼番外編
>>032 ─→「謎謎」

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Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.5 )
日時: 2010/07/04 20:42
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 世界が変わるという事は、僕も変わるという事

▼story01 「逃亡者、」

暗く、足場の狭い螺旋階段。
打ちっぱなしのコンクリート作りで、手摺も何も無い。
下層は暗闇に呑まれて見えない程深い、円柱型の縦穴トンネルが広がっている。

此処は、時計塔の内部。

足音を響かせて走り続ける、僕等の影。
やがて僕は力尽きた様に、其の足を止めた。

「────ッ……はぁ、はっ……」

僕は震える膝を掴んで踏み止まり、肩で何度も荒い呼吸をした後、力無く壁に背中を預ける。
湟謎も立ち止まり、僕の前まで戻った。

「……っ……御免……」
「いや。」

湟謎自身も息を整え、暑いのかネクタイを緩めている。
彼を横目に、僕は尋ねた。

「此処まで来れば、安全?」
「俺達が安全圏に辿り着くには、地球を出なければならない。」

安全圏。其の言葉は、今の僕等には程遠い物だ。
僕等は逃亡者。
自分の使命を投げ捨てて、逃げてきたのだ。

「そっか。でも、奏羽と乙霧は大丈──」

僕が言い掛けた時だった。
幾つもの足音が、下層の暗闇から除々に此方に近付いている。

「案外早くバレたな。」
「上からも来るよ。」

上下から沢山の兵士等の足音が、トンネル内に木霊する。
足音から見て、数は100は居そうだ。
直に彼等は姿を現した。予想通り、100は居る。

「仕方が無いが、殺るしかないな。」

意を決した様に、勢い良く駆け出す僕等。
構えの体勢になった僕は、兵士に向かって突進する。
同時に、湟謎も携帯していた短銃の引き金を引く。
其れに怯えた兵士等は、投飛ばされ、闇の中に落ちて行く。
しかし、兵士の数は多く、限が無い。

「ったく、此れじゃ殺られるのが越智だ!」

常に冷静な湟謎でさえも、焦りが見受けられる。
そんな湟謎の頭上から、気付かれない様に降りようとする兵士がいた。
ハッと気付いた僕は、叫ぶより先に身体が動いていた。

「───湟謎、危ない!」

叫んだと同時に降りて来る兵士。
背を向けていた湟謎を庇って、咄嗟に前に出た僕は、兵士に腹を横蹴りされる。



「あっ………」



「────雅焔!!」

ふっ飛んで、階段の外へ落下していく僕の身体。
其の僕に必死に手を伸ばし、咄嗟に地を蹴る湟謎。


僕等ハ闇ニ引キ摺リ込マレル様ニ落チテ行ッタ。 
 ─鎖ナガラ其ノ姿ハ、闇ヲ舞ウ蝶ノヨウダッタ─


 丁度其ノ時、時計塔ノ針ガ
   11時58分ヲ指シテ、停マッタ─

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.6 )
日時: 2010/07/04 20:46
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 彼等を見た時、僕は何かを感じた

▼story02 「謎の果て」

僕は泥の中から掬い上げられる様に目覚めた。

夢さえ見ない深い眠りだったにも関わらず、何故か寝覚めが良い。
其の侭暫く、天井を眺めていたが、不意に其れが見覚えのない天井だと気づき、勢い良く起き上がった。

「———っ!!」

急な行動に、身体中が悲鳴を上げる。
身体の節々も固まってしまっているのか、ギリギリと痛む。

「動かない方が良い。」

聞き覚えのある人物に声を掛けられ、僕は咄嗟に振り返る。

「横腹を酷く蹴られたからな、安静にしとけ。」

其処には、僕の良く知る湟謎がいた。
良かった。僕等助かったんだ。と少し安堵したが、そもそも、此処は何処なのだろう。
時計塔から落ちた僕等は、何故助かったのだろう。

そんな疑問が溢れてくる。

僕は辺りを見渡したが、今居る部屋に見覚えは無い。
何時の間に、宿舎に来ていたのだろう。

僕が彼是、思案していると、部屋の襖が静かに開いた。

「気がついたか。」

部屋に入って来た男二人は、琥珀色と黒色の髪。
瞳孔がとても開いた彼に視線を向けられると、自然に背筋が伸びる。

「俺は土方。と、こっちは沖田だ。」

切れ長な目が印象的な土方さん。
短くカットされた髪は綺麗に整えられていて、男らしい。
何とも言えない色香を醸し出す彼を、世の女性達は放ってはおかないだろう。

「宜しくお願いしまさァ。」

そう気怠そうに言ったのは、沖田さん。
女性の様な愛らしい顔つき。こんな顔で微笑まれた日には、卒倒しない女性は居ない。
土方さんとは真逆のタイプだが、此方も死ぬまで女性には困らないだろう。


————————————もっとも、僕には興味の無い事だけど。


「アンタ、名前は?」
「あっ。嘉神 雅焔です。」
「俺は陸萄 湟謎。」

考え事をしていて宙を彷徨っていた意識を引き戻し、慌てて返事を返した。
僕に続いて、湟謎も自己紹介をする。

「そうか。雅焔と湟謎。聞くが、アンタ等あんな処で何をしてたんだ?」

あんな処とは、どんな処だろう。
僕は、彼等に逢う前に何処に居たのか。
記憶を思い出そうとすれば思い出そうとする程、霞の様に指の間をすり抜けていってしまう。

時計塔で兵士と戦って、湟謎を庇って、闇に堕ちた。
其処までは覚えている。では、其の後如何したのだろう。
何故、僕等は此処に居るのだろう。


先程から一番気になっていた事を口にする。

「……此処って何処なんですか?」
「江戸だが。」



「……え。」



 トンデモナイ事にナッテシマッタ。
  今迄、資料デシカ訊イタ事ノナイ、「 江 戸 」

 僕等ハ異世界ヘト迷イ込コンデシマッタノダッタ。


   此レカラ僕等ハ如何ナルノダロウ─

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.7 )
日時: 2010/07/04 22:21
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 僕等の居場所は、此処にもあった

▼story03 「僕の居場所」

「其れじゃあアンタは、別次元の世界からやって来たと。」
「はい。恐らく。」
「ちょっと信じられませんねェ。」

二人がうーんと唸る。
其れはそうだ。いきなり目の前の人間に異世界から来たと言われたら、信じる方がどうかしている。
何よりも僕自身が信じられないのだから。

「此処で待っとけ。近藤さん呼んで来るから。」

そう言い残し出ていった土方さんと沖田さん。
部屋に取り残された僕等は、改めて座りなおす。

「奏羽と乙霧も、此の世界に来てるのかな。」

奏羽と乙霧は共に逃亡者として逃げ回っていた、僕等の仲間の事である。
途中で逸れてしまい、其の上連絡が取れていない為、
心配だ。

「さぁな。でも、あいつ等は簡単にやられるような奴じゃない事は確かだ。」
「そう、だよね。」

彼の言葉で少し安心出来た。お礼を言おうかと思ったが彼はお礼の言葉は好きではないから、やめた。


近藤さんって、誰なんだろうか。
其れ以前に、此処は本当に過去なのか。
僕等は、如何なるのだろう?

次々に沸き上がる疑問をぐっと飲み下し、じっと待つ。
程無くして、土方さんと沖田さんが新たな三人目を連れて帰って来た。

「やぁ、待たせちまって済まないね! 俺は近藤、此処の局長だ。宜しくね。」

局長と言う事は、此処のトップだろうか。
差し出された手を緊張しながら握り返す。
皮が厚くて骨ばった、男らしい無骨な手だった。

「嘉神 雅焔です。此方は陸萄 湟謎っていいます。宜しくお願いします。」
「うん、雅焔ちゃんと湟謎君。トシから事情は聞いてるよ。取り敢えず楽にして。少し話をしようか。」

僕と湟謎の前に、三人は腰を下ろす。
其れから近藤さんは、より詳しい説明をしてくれた。


先ず、此の世界の成り立ちから始まり、真選組とはどういう処か。
そして三人はどういった役職か。
所々に冗談を混じえつつ、僕にも解りやすく優しく説明してくれた。


—────────優しい人達だった。


「当面の問題は、二人の処遇だな。」

一通り話が終わった後、土方さんが茶を啜りながら切り出した。

「そうだな。食い手が無いんじゃ、死んじまうし。かと言って、職を紹介する事も出来んし。」

僕等には住む家も身寄りも無い。
其れ以上に此の世界の常識すらも無い。

「どうしたもんか。ねェ、土方さん。」
「俺に振るな。」

ニヤニヤと笑う沖田さん。
其れを見て土方さんがガシガシと頭を掻く。

暫しの沈黙の後、近藤さんが僕を見詰て言った。

「雅焔ちゃん、湟謎君。此処は見ての通り男所帯のムサイ処だ。特に雅焔ちゃんには少しばかりキツイかもしれない。」
「はい。」
「どうだ。此処で君達を預かろう。」
「えぇ!?」

驚いて腰を上げた。
こんな僕を置いてくれると言うのか。

「勿論無理にとは言わない。只此処は真選組だから、自然と事件が色々舞い込んで来るんだ。」

君の世界に帰る方法も、見つかるかもしれない。
そう優しく諭してくれる近藤さん。

住む所を提供してくれて、更には帰る方法も模索できる。
こんな良い話は他に無いだろう。

少し迷った僕は、チラリと湟謎を見る。
彼は「彼等に甘えろ」という様な目で此方を見ていた。

「僕なんかが、お邪魔して良いんですか?」
「なぁに! こんな所で良ければ俺達は大歓迎さ! なぁ!」

近藤さんに答える様に頷く土方さんと沖田さん。

「有難う御座います。皆さん。」


僕等ナンカニ、何デコンナニモ優シクシテクレルンダロウ。
 緊張ノ糸ガ切レテ思ワズ目頭ガ熱クナル─


  神様ハ

   ─僕等ニ何ヲ求メテイルノダロウ─

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.8 )
日時: 2010/07/04 20:50
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 人には必ずしも心に闇と光がある

▼story04 「太陽に絶望」

「すまない。今部屋が余って無くてね。悪いんだが二人で使ってくれ。」

そう言って近藤さんが僕等に与えてくれた部屋は、全てが始まった此の部屋だった。
僕と湟謎だけにしては少しばかり広い此の部屋を借りたのだから、我が儘は言ってられない。

「とんでもないです。こんな立派な部屋。」

お世辞では無く、僕等が使うには立派過ぎる部屋だった。
テーブル、鏡台、小さいがテレビまでついている。
立派な其れは、例えるなら旅館の一室だった。

野垂れ死んでいたかもしれない僕にとっては、上出来すぎる程上出来。
近藤さん始め真選組の皆には本当に頭が上がらない。

「本当に、すみません。」

お礼の意を込めて、深々と頭を下げる。

「雅焔ちゃん。違うよ。」

顔を上げると、少しだけ怒った表情をした近藤さんが居た。
何が違うのだろう。

「そう言う時は、有難うだ。」

フッと表情を緩める近藤さん。
僕も釣られて笑った。
改めて僕がもう一度頭を下げようとした時、其れは沖田さんの一言で阻止される。

「そういえば、アンタの居た世界は如何なんでィ。」
「────え。」

ほんの一瞬、僕の思考回路が停止した。
何時かは話さなくてはならない、と思ってはいたが、こんなにも早いとは予想してなかった。
しかし、此れから僕は、此処でお世話になるのだから、話した方が良いのだろう。

「嫌なら話さなくてもいーぞ。」

土方さんが黙った侭の僕を気遣ったのか、そう優しく言ってくれたが、僕は首を横に振った。

「いえ、此れからお世話に為るんです。僕等の事を少しでも知っていた方が良いでしょう。」

そして一つ深呼吸をして、僕は全てを話す為、重い口を開いた。


僕が先ず話したのは、化学技術等の発達。そして、他の星の移住について。
最後に僕はまるで付け足しの様に、太陽消滅の事も話した。
翌々考えてみると、少し此処の世界と似た様なものがあるような気がする。

「太陽が消滅したァ!?」
「まじか。」

わいわい騒いでる近藤さんと沖田さんを横目に土方さんは尋ねた。

「お前等は太陽を見た事はあんのか?」
「いいえ。僕が生まれる前には消滅していたらしいです。」

僕がそう断言すると、暫しの沈黙が流れた。
其の沈黙を破ったのは、沖田さんだった。

「見てみますかィ。太陽。」
「え?」
「そうだ。そうすると良い。」
「えぇ?」

僕が声を荒げて言った時には、沖田さんは既に立ち上がって、襖の前に足を運んでいた。
そして、僕等に向かって手招きをする。

近藤さんと土方さんを見ると、そうしろと言う様な眼差しをしていた。
仕方が無く僕は慌てて立ち上がり、湟謎と共に沖田さんの方に急いだ。
未だ、心の準備が整っていない侭。




「此れが太陽でィ。」




沖田さんが襖を開けた途端、眩しい光が差し込んできて、思わず目を細めた。
襖の先にあったのは、此の世界には当たり前の、太陽。

眩し過ぎる太陽の光は、今間で闇しか感じてなかった僕等には少しキツい。
其れでも、当たり前の様に空に浮かぶ太陽に、僕等は釘付けとなった。


    初メテ太陽ヲ拝ンダ時。

   闇ニ染マッタ僕等ノ心ニ
     一筋ノ光ガ差シ込ンダ。
 

  神様、アンタノシタイ事ッテ何?

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.9 )
日時: 2010/07/04 22:07
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: そう人は真実には届きにくい

▼story05 「君からの贈り物」

僕は眩しいのを堪えて空を仰いだ。

空を仰いで先ず気付いたのが、青空を遮って通る空飛ぶ船。
次に気になったのが建物。
常に所々に明りの付いていた、ビル等を見る影もない。
其れ等の代わりに高層化しつつも瓦屋根だけは譲らない和風の建物が立ち並んでいた。

此処と元居た世界は、何処か同じで同じじゃない。
似ているようで、似ていない。


「最初は何処行きたいんでィ。」

近藤さんの要望で、共に江戸を観光をしていた沖田さんの声に我に返った。
行きたい処等、此処に来たばかりの僕にはよく判らない。

「うーん。特に無いですね。」

僕等は先程行った駄菓子屋で買ったお菓子をもさもさと食べながら、のんびりと町を歩いていた。
今は行く宛も無く、取り敢えずぶらぶらしている。

「じゃあ此処行きやしょう。」
「良いですけど。此処、呉服屋?」

沖田さんが餡ドーナツを口に入れながら入ろうと行ったのは、小さいが色々な着物が揃った呉服屋だった。
其の意図は判らないが服を見るのは元々好きなので、彼に続いて店に入った。

沖田さんは入るなり、此の店のオーナーらしき人に声をかける。

「旦那ァ。」
「あ、いらっしゃい沖田さん。今日は何をお買い上げで?」
「ああ今回は俺じゃなくて、コイツの選んでやってくれ。」

沖田さんは僕を指差してそう言った。
此処沖田さんの行きつけの店なんだ。
と、察すると少しだけ「かっこいい」と思った。

「お、沖田さんが女の子連れなんて珍しいねィ。真逆沖田さんの此れかい?」

オーナーさんは小指を上げて言った。
何コイツ何か腹立つんですけど。
何でこんなに嬉しそうなんだよ。


──────────殺したくなるから、やめろよ。
(僕の中の血が騒いじゃう。)

「そうでさァ。恋人同士でィ。」
「いや、違いますからね。」
「チッ。」
「チッじゃないですよ。何嘘言ってんですか。」

僕の事で変な事を周りに振りかけられると、此方が困る。
此れでも僕等は前の世界では逃亡者な為、目立つ事は出来るだけ避けたい。
此処まで追って来る可能性も高いからだ。
兎に角、僕は目立っては駄目だった。


─────→


気を取り直して、僕は並ぶ着物を見渡した。

「うわぁ、綺麗なのばっかだ。」
「どれか気に入ったのありやしたかィ?」
「んー? 全部綺麗ですから、特に此れってのは無いです。」

沖田さんの質問にそう答えると、彼は辺りを見回した後、一枚の着物を手に取った。

「なら此れは如何ですかィ?」
「わぁ。カッコいいです。」

其れは漆黒の生地に無数の蝶が刺繍してある着物だった。
帯も深紅で、全体的にクール系な着物である。

「へぇー、沖田さんってセンス良いんですね。」
「当たり前でさァ。気に入りましたかィ?」
「はい。凄く綺麗。」
「じゃあ此れ貰いやす。」
「えっ?」

僕が頷くと沖田さんは其の着物をお店の人に渡していた。

「え!? 良いです、沖田さん」
「俺が雅焔にやりたいんでさァ。受け取ってくだせェ。」

沖田さんはそう言いながら包んでもらった着物を渡して来た。
申し訳ない気持ちはあったが、沖田さんが折角買ってくれたものなので有り難く受けとる事にした。


「有難う御座います。沖田さん。なんてお礼すれば良いか。」
「お礼ねィ。じゃあ俺の事は総悟って呼んでくだせェ。其れから敬語もなしでさァ。」
「……うん。判った。総悟。」

僕が彼の下の名前を呼んだ時の総悟の笑顔に見惚れたのは秘密。


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