二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ある日の車の輔と雑鬼と昌浩 少陰
日時: 2010/08/03 13:19
名前: 勾菜 (ID: IlzFUJT4)

『ある日の車之輔と雑鬼と昌浩』
ここは、一条戻り橋。
雑鬼ーズと車之輔は、何やら会話をしていた。
「なぁなぁ、おまえさぁ…」
「孫にさぁ自分の言葉がわかってもらえないのってさぁ…」
「さみしくないのか?」
「なぁ?」
それを聞いた車之輔は飛び上がった。
(そ、そ、そんなことはございません!!
 やつがれは、やつがれは、式に下れただけで満足です。
 そ、それに式神さまが通訳をしてくださっていますから。
 でも、式神さまにご迷惑をかけているこの身が…
 やつがれが、人語を話せたら…
 ご主人も困らせないのですが…)
それを、聞くといきなり雑鬼ーズは『孫ーっ!!』と叫んで駆けて行った。
それを見た車之輔もかなり困惑していた。
(みなさん…どこへ…??)

        ♦   ♦   ♦

一方、こちらはいつものように夜警に出ていた昌浩。
(ちなみに、今日の夜警についてきたのは・・・
 物の怪・六合・勾陣・玄武だ。)
「うーん。今日は平和だなぁ。」
「ん…?そうだなぁ。」
ここで言う『平和』は、いろんな意味での『平和』だ。
そう…いろんな意味で。
「でもなぁ、俺的にはあいつらが来ないと面白みがないとゆーか…」
「何だとっ!!もっくんは、つぶされないからそんなことが言えるんだ!!
 毎日毎日毎日、つぶされるほうはうんざりしてるんだ!!」
「それは、昌浩が夜警に出なければつぶされないのではないか?
 我ならそうするのだが…」
……………確かに………
「あははははー、つぶされないうちにかえろー」
「…勾よ…これは、現実逃避か?」
「どうみてもそうだろう。」
「「………………」」
そのとき—…
「「「「孫ーーーーーっ!!!!」」」」
それと同時に4人(3人と1匹)が離れるのと、昌浩が反射的に上を向くのはほぼ同じ。
そして—
どさどさどさどさどさどさどさどさっっっっっ!!
「どわぁぁぁぁぁ!!!」
瞬時にできた雑鬼の山と潰れた昌浩。
どさどさどさどさっっっ!!
まだ、雑鬼の落ちてくる音がする。
「毎回毎回、不憫だなぁ、晴明の孫や。」
「—っ!!」
雑鬼の量が多くて、声が聞こえない。
「なるほど、これが潰れか…」
「我は、今すごいものを見ている気がする。」
どさどさどさどさっっっっ!!
また、雑鬼の落ちてくる音がする。
さすがに、見かねた六合がつぶされた昌浩を発掘する。
なんだか、この発掘作業は六合の仕事となっているらしい。
「ごくろうだな、旦那。」
「…なんだ、その『旦那』とゆうのは。」
「いや、別にぃ。」
しれっと、明後日の方向をむく物の怪をじとっとねめつけて六合は穏形した。
そこで、ようやく呼吸を整えたらしい昌浩は、物の怪をぎっと睨みつける。
「おのれ、もっくん…
 毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回、さっさと逃げやがって。
 ちょっとは、守ってやろうとかそーゆーこと思わないわけ!!」
「ぜんぜんっ、思わない♪」
即答…
昌浩はその場に轟沈した。
「第一、そんなものもよけれないようじゃぁ、まだまだだなぁ晴明の孫や。」
「孫ゆうなっ!!!!!物の怪の分際で偉そうに!!」
「物の怪ゆうなっ!!!半人前の晴明の孫!!」
「なにおぅぅ!!やるかぁっ!!物の怪!!」
「なんだとぉ!!」
かなり険悪な雰囲気。そこに、助け船が…
「やめろ、騰蛇。昌浩もだ。」
そして、勾陣は物の怪をつかむ。
「離せっ!!はなせったらはなせーっ!!!」
「断る。」
一方の昌浩は、六合に首根っこをつかまれていた。
「六合…おろして。」
「断ろう。」
「我はまた、おもし…じゃなくてすごいものを見た気がする。」
「雑鬼が、話があるそうなんだが、聞かなくていいのか??
 …騰陀じっとしていろ。木にくくるぞ。」
「……ちっ。」
「騰陀、何か言ったか?」  
     にっこり
勾陣の脅し技の一つといわれる、必殺笑顔。
それをもろに受けた物の怪は、冷や汗をながした。
「イヤ、ナンニモイッテナイデス;;」
一方の昌浩は雑鬼のはなしをきいていた。
雑鬼は、声をそろえて言った。
「「「「孫!!おれたちの頼みを聞いてくれよっ!!」」」」
その頼みとは—…

            つづく

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10



Re: ある日の車の輔と雑鬼と昌浩 少陰 ( No.18 )
日時: 2010/08/18 12:32
名前: 晶霞 (ID: QUoEIXRu)

こんにちは。面白かったです!
次の話も凄く面白そうですね

Re: ある日の車の輔と雑鬼と昌浩 少陰 ( No.19 )
日時: 2010/08/18 21:36
名前: 勾菜 (ID: LQdao1mG)

ご期待に添えるように頑張りますっ!!

触らぬ黒昌浩に崇りなし ( No.20 )
日時: 2010/08/18 22:24
名前: 勾菜 (ID: LQdao1mG)

『触らぬ黒昌浩に崇りなし その壱』

夜の大路を一人の少年と徒人には見えない一匹の物の怪が歩いていた。
しかし、少年—否、昌浩の足取りはひどくフラフラしていた。
そして心持、物の怪の顔色が悪い。
昌「…みぃーつけたぁー。…」
物「びくっ!!」
妖「びっくぅ!!お前なんかに俺様が捕まえられるものか…」
昌「ふふふ…いつまで逃げれるかなぁ?」

       *   *   *

「直丁殿。これとあれとそれの書写。あと、あそこにおいてある書物を全部かえしておいてくれ。頼んだぞ。」
そう言って去っていくのは陰陽生の一人だった。
書物の山を抱えていた昌浩は返事をして、塗ごめにかけていった。
実を言うと昌浩は、ひっじょーに疲れていた。
それもこれも、あのたぬきじじいのせいでもあった。

          つづく

Re: 『触らぬ黒昌浩に崇りなし その壱』 ( No.21 )
日時: 2010/09/05 18:49
名前: 晶霞 (ID: 7XXeC3xS)

勾菜さん、面白いですね。
続き、楽しみにしてます

触らぬ黒昌浩に崇りなし ( No.22 )
日時: 2010/09/08 21:54
名前: 勾菜 (ID: /qKJNsUt)

『触らぬ黒昌浩に崇りなし その弐』

「玄武や、ちと昌浩を呼んできてくれるか?」
「わかった。」
「うむ…ちと厄介なことになりそうじゃ…」
しばらくして…
「じいさま。失礼します。」
「おぉ、昌浩や。遅かったのぉ」
「…すいません。」
「…いや、そうそう。昌浩や、都でちィと厄介な妖が暴れておってなぁ…」
来た…
昌浩は、構えた。
「それでなぁ、じいさまがどうにかしてくれと泣きつかれてしまってなぁ…」
「はぁ…」
これは、もしかしなくてもぉ…
「とゆうことで、お前ちといって祓ってこい。」
「…わかりました。わかりましたよ。祓ってくればいいんですね。」
「なんじゃそのいやそうで、しかもめんどくさそうな口調は!」
物の怪は、このとき不穏なものを感じそろそろと後退した。
「うぅっ、世の皆々様方の日々の安寧を守ってやろうとは思わないのか?じい様は、そんな風に育てた覚えはないぞ…」
対する昌浩は、冷めた目で…
「育てられた覚えはないですけど、祓ってきますね。では、失礼しますね。ほら行くよ、もっくん。」
「おぉ…」
ばたばた…


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10



この掲示板は過去ログ化されています。