二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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テイルズオブザワールド 一時休止
日時: 2012/03/13 20:49
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

こんにちは、アビスです。

テイルズオブザワールドのオリジナルストーリーです。
未熟ですか、どうかお付き合い願います。



その他掲載小説
・モンスターハンター・バロル・・・完結!
・モンスターハンター・バロル—根源との争い—
・フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜
・フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜
・怪談百記物語(複雑・ファジー)

〜人物紹介〜

カイン・D・サフィス

年齢:19歳

容姿:スラリとした容姿。青い髪に青い瞳。

詳細・・・・
一度、この世界を滅ぼそうと考えた事がある。言動は冷たいが、
子どもたちの面倒を見たりと世話焼きな処や、優しい処もある。

バトルでは体内のマナを様々なオーラに変えて、その場にあった戦闘法で戦う。
長剣の扱いに長け、足技も得意としている。



ルイル・ルーゼ・ルゼス

年齢:18歳

容姿:スレンダーな体型。赤い髪に黒い瞳

詳細・・・
カインが世界樹で出会った女性。常に明るい雰囲気を持ち続けている。
愛称はルイ。カインが付けたもので本人も気に入っている。
他の人と感覚が少しずれてて、妙な言動、行動をする事が多い。
魔術を扱えて治癒術も扱える。その腕は確かなものである。



ヴァイズ・オルナード・アヴェンチ

年齢:24歳

容姿:がっちりとした体型。緑泥色の髪に茶色の瞳。頭にはゴーグルをしている。

詳細・・・
レジスタンスの武器開発者で魔科学の第一研究者。
堂々とした態度で誰に対してもわきへだてなく接する。
頭が切れ、一聞けば五は知る。
戦闘では『グライダー』と言う風を操る戦闘用の人工翼で自由に空を飛び戦う。


エピローグ>>1-3
ファンタジア編>>4-10
ヴェスペリア編>>14-26
アルテマ渓谷編>>27-32
シンフォニア編>>33-

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Re: テイルズオブザワールド ( No.25 )
日時: 2011/03/30 20:57
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

—これがアクア・オーブだ。受け取れ—

ウンディーネはそう言い青色の結晶をカインへと明け渡す。

「急に素直になったな」

—黙れ。それとソーサラーリングはルゼスに持たせるようにしろ—

「え、私が?どうして?」

—・・・ソーサラーリングに触れてみろ—

ウンディーネに言われ、ルイがソーサラーリングに触れた。すると、

—チカッ!—

「あっ!また光った!」

ソーサラーリングがまるでルイに触れられて喜んでいるかのような反応を起こす。

—ソーサラーリングは使い手を選ぶ。
おそらくイアンもルゼスに渡すつもりで貴様に渡したのだろうな—

「なるほどな。ほら」

カインは自分の指からソーサラーリングを外すと、ルイに投げ渡した。

「っとと!・・・・・いいの?」

「お前が持ってた方が効率がいいってことだろ?だったら、お前が持ってた方がいいだろ」

「あったーーーーー!!!」

と、そこでカロルたちが戻ってきた。今までカロルたちはウンディーネの力でより奥地へと
行くこと出来るようになり、そこで清洋樹を探していたのだ。
どうやら、お目当ての物は見つかったらしい。カインたちの様子を見るなり、カロルは言った。

「そっちの用事、終わったみたいだね」

「ああ」

「そっか。それじゃあここを出ようよ」

「・・・その前にウンディーネ。お前に一つ聞きたいことがある」

—断る。自分で調べろ—

ウンディーネがカインの言葉に即答した。それにカインが冷静に言った。

「・・・・・俺が何を聞きたがってるのか分かるんだな。
ノヴァ・・・・・。ある男は俺をノヴァの生き残りだと言った。それにさっきのお前の口振りから・・・・」

—旅をしていれば、いずれ知ることになる—

ウンディーネはカインの言葉を遮る様に言い、そのまま姿を消してしまった。
カインはしばらくウンディーネがいた場所を見続けたが、顔を逸らす。

「時間を使ったな。行くぞ」

「いいの?なんなら私が説得してあげようか?」

ルイの言葉にカインは気にするなと言わんばかりに、首を横に振った。

「お前が言ったんだろう。俺は俺だ。教えてくれない奴に無理に聞くほど気にしてない」

————————————————————

洞窟からの帰り道、森の中を歩いていた一向の目の前に突然木の葉が舞い上がった。
カロルたちは驚いていたが、これにはカインとルイには見覚えがあった。

「・・・・すずか」

「はい」

木の葉から現れた小さな女の子、すず。以前からギンたちの捜索をお願いしていたのだ。

「この辺り一辺を隈なく探しましたが、カインさんが上げたような人たちは見当たりませんでした」

「そうか」

「すいません。私の力が及ばずに」

すずがしょぼくれた表情をして謝った。それを見てカインは薄く笑った。

「気にするな。そうやって、探してくれただけで結構だ。
後はもういい。旅をしながら自力で探す」

「そうですか。それではこれはお返しします」

すずはそう言ってカインに十字架を模られた小さな木彫りを渡す。
これは捜索をお願いした時に、カインがすずに渡したものだ。

「もし、そういった方々を見つけましたら必ず連絡します」

「ああ。助かる」

「では!」

すずが消えた後、カロルが木彫りを覗き込んできた。

「なに?これ?」

「家族の証しだ」

カインはそう言うと木彫りをポッケにしまう。

「すずに探して貰ってる連中とは血の繋がりがない家族なんだがな、
本当の家族みたいな繋がりが欲しいってだだこね始めた奴がいたんだ。
その結果皆でこの木彫りを作って持つことで、この木彫りが血の代わりに
俺らを繋ぐ物にしてくれるってことにしたんだ。それがこれだ」

「良いお話ね」

「そうでもない」

ジュディスの言葉にカインは興味なさそうに言った。
すると、ルイがはいは〜い!と手を上げた。

「私もその木彫り欲しい!!カインと家族!!」

ルイの言葉にジュディスが少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「あら。ルゼスならわざわざ木彫り作らなくても、もっと良い方法があるわよ」

それに賛同するように、ユーリも笑みを浮かべた。

「だな」

「え?なになに!?」

ルイは二人に詰め寄るが、二人は笑みを浮かべたまんま教えない。
それにルイが地団駄を踏んだ。

「も〜〜〜!!教えてくれてもいいじゃんよ〜〜〜!!
ねぇ、カロル!!教えてよ」

「え!?・・・・・ええっと。僕も分かんない」

ちょっと言葉を途切れさせて言うカロル。それにルイは目を細める。

「本当に〜〜〜!?」

「ほ・・・・ほんと・・・・・」

肩を窄めて答えるカロル。

「カ・ロ・ル」

ルイは満面の笑みを浮かべながらゆっくりカロルに近づく。
それにカロルは不吉な予感しか感じなかった。そしてカロルがとった行動は

「さいなら」

とっとと退散すること。

「あっ!こら!!逃げるな〜〜〜〜〜!!」

逃げるカロルを追いかけるルイ。それを見て、カインは一つため息を漏らす。

「あんな奴家族になってたら、五倍は五月蠅くなってたな」

Re: テイルズオブザワールド ( No.26 )
日時: 2011/04/27 13:39
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「お帰りなさい。・・・・どうでした?」

ザーフィアスに戻ったカインたちに一番最初に声をかけたのはエステルだった。
そのエステルが少し不安気な表情で尋ねてきた。
エステルも清洋樹が環境の変化で減っているのを知っていたのだ。
それに対しジュディスが笑みを浮かべて言った。

「無事に見つけて依頼主に渡したわ」

「そうですか!良かったです〜!」

手のひらを合わせて喜ぶエステル。と、ユーリが辺りを見渡した後言った。

「おっさんはいねーのか?ちと聞きてぇことがあんだけど」

「ほいほ〜〜い。何よ?モテる秘密でも聞きたいわけ?それはな!」

「聞いてねぇっての・・・・」

今にも語り出しそうになるレイヴンを止め、ユーリが真顔で言った。

「おっさん。何か俺らの事が外に漏れてるとかって情報聞いてねぇか?
おっさん、そういうの詳しいだろ?」

ユーリの言葉にレイヴンが心外だと言いたげな顔で言った。

「どういう基準にそう決めてるのよ??
けど、う〜〜〜ん、そうだな。スパイがいるだのなんだのなんて話はよく聞くけど、
まぁあれはうそだわね。で、何でそんな事聞いたわけ?」

「あ〜〜〜〜、いや。向こうのザギって野郎が俺の名前知ってやがったのが、
妙に気になってな」

知らねえならいいわ。と、ユーリは頭を掻きながら話を終わらす。

「そういや、まだカインたちの目的聞いてなかったな。
洞窟に行ったのは精霊に会うためだよな?どうしてなんだ?」

カインは別にユーリたちには話しても大丈夫だと思い、旅の目的を話した。
一通り話し終えたところでカロルが口を開いた。

「じゃあ、その精霊のオーブを集めれば戦争を止めることが出来るの?」

「イアンの言う通りならな」

「・・・・・僕たちが頑張る必要、ないんじゃない?」

カロルが少し呆けた声で言うと、ユーリが笑顔で言った。

「なに言ってんだよ。人間が起こした事だ。それで戦争を止められたって
結局はまた繰り返しちまうだろうよ」

「そうね。それに私たちにもやれることはあると思うわ」

「・・・・うん!そうだね!!」

よーーーーし!!と、カロルが元気一杯に腕を振り回す。
それを見てカインが口を開いた。

「今レジスタンスは仲間を集めてるって言ったてな?
トーティスの村に行って見ろ。仲間になってくれるかは分かんないが、
腕の立つ人間が何人かいる。声を掛けてみたらどうだ?」

「本当ですか!?わざわざ有難うございます!!」

エステルがお辞儀する。カインたちはそれに軽く応えて、部屋を出て行った。
部屋を出て外へと出たカインがさて、と言う。

「次の精霊の居場所を見つけないとな。ルイ」

「ほいさ!」

ルイがソーサラーリングを前へと翳す。すると、眩い光が放たれ南西の方へと向かった。
それを見てカインが地図を広げる。

「・・・・ここから南西となると、ユニゾンを抜けてテルカだな」

「テルカか〜〜。初めてだな〜〜」

「・・・・・そう言えばルイ。お前、俺と遭うまでどこにいたんだ?」

ふと気になってカインが尋ねると、ルイは分からないと答えた。

「行く場所も決めずにふらりふらりと旅してたからね。
でも、上の方からずず〜〜っと来たのはなんとなく分かる」

ルイが地図に指差し、上の方からなぞっていく。その上の方にある国はインヴェルだ。

「じゃあお前、インヴェル出身なのか?」

カインが尋ねるとルイは少し困ったような表情をした。

「う〜〜〜ん。分かんない!!」

カインは取りあえずルイの事は置いといて、出発することにした。
必要な物の買い出しも済ませ、ザーフォアスを後にした。

——————————アルテマ渓谷——————————

「落ちんなよ、ルイ」

「私そんなドジじゃないよーー!」

ユニゾンからテルカに行くにはこの渓谷を抜ける必要がある。
カインたちは今、狭く危険な路を進んでいた。真横は壁、真下は激流の川。

—ガラッ!!—

「・・・・!!!」

その上足場も悪く、今にも崩れてしまいそうだった。

「静かだな」

不意にカインが呟いた。

「そりゃあ、こんなとこじゃはしゃげないよ〜〜」

「お前のことじゃない。この渓谷がだ。モンスターの数が少なすぎる。
ここなら鳥類系のモンスターには絶好の場所のはずだ。現に巣はあちらこちらに見かける。
なのに・・・・」

辺りには風の吹く音と川の音。それぐらいしか聞こえない。

「何かあったのか?」

「でもそのお陰で通りやすくて、楽ちんだね〜」

その後も二人が歩き続けているとカインは立ち止まり耳を澄ました。
ルイも見習って耳を澄ませる。と、遠くから声が聞こえてきていた。

「・・・・・・ぁぁぁああ」

声はどんどん大きくなっていく。かなりのスピードで移動しているようだ。
声の主を探して辺りを見渡すと、ルイが上を指差して叫んだ。

「あ!あれ見て」

カインが上を見ると、小さな点が見えた。手をかざして見るとそれは

「ぁぁぁああああああああ!!!」

人が空から降ってきていた。しかもどう見ても落ちてきている。

「た・・・・助けてくれ〜〜〜〜〜〜!!!!」

Re: テイルズオブザワールド ( No.27 )
日時: 2011/05/10 20:42
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「ルイ!魔術であいつの下まで地面を伸ばせ!」

「う・・うん!」

カインの言葉にルイは手を前に翳し、地面を伸ばす。
だが、これだけでは落下の勢いでペシャンコになってしまう。

「風華招来!」

カインの周りに風が靡く。カインはそのまま手を上にあげる。

「お!お、お!おう!?」

と、その落ちてきた人の表情が変わる。自分の下から何か見えない力で
押し上げられているからだ。それにより落下のスピードが落ちてきた。そして

「ドヘッ!!」

地面に落下。カインたちが駆け寄り、様子を窺う。その人物は男性で、
取りあえず命はある様子だった。

————————————————————

「いててて!」

「我慢してよ」

暫くして目が覚めた男性。ルイが治癒術を施すが、中々直らない。
何か不思議な力で邪魔されているようだった。

「いや〜〜〜!それにしても助かったぜ。お宅らが居なかったら俺、確実にあの世行きだったからな」

男性はそう言って頭を下げる。

「それにしてもお前、どうしてあんな高さから落下してたんだ?」

「ああ。それはな」

男性がルイが治療中の右腕を上げて、袖を捲る。するとそこには
機械で造られた人工的な翼が装着されていた。

「こいつは『グライダー』。簡単に言うと手軽に空を飛べる戦闘用機械だ。
こいつの試運転してたんだが、どうやらモンスターと間違われて撃ち落とされてな。
で、そのまま落ちてたってわけよ。いや、本当に助かった」

そう言ってもう一度頭を下げる。

「モンスターを撃ち落とす奴がいる。ってことはこの辺りのモンスターはそいつに?」

「さあな。ところで、助けて貰っておいてなんだが一つ頼みたい事があるんだが・・・・」

手を合わせて懇願する男性にカインは尋ねた。

「何だ?」

「その撃ち落とされた時、左翼のグライダーが吹っ飛んじまったんだ。
この渓谷のどっかに落ちてる筈だから、一緒に探してもわえねーか?」

「どうして渓谷にあるってわかるんだ?川に落ちたかもしれねーぞ」

カインがそう言うと男性は立ち上がり演説するように言った。

「そんなのは勘だ。俺のマシンソウルが言っている。この近くにこの片割れがある!と」

それを見てカインは一つ暑苦しいと、ため息をついてからルイを見た。

「どうする?」

「私は別にいいよ。探してあげようよ!」

「決まりだな。だが、俺らも用があるんだ。テルカに行くついででいいなら探してやる」

カインがそう言うと、男は少し不思議そうな顔をした。

「テルカ?何、お宅らテルカに行きたいの?」

「だったら何だ?」

カインが尋ねると男性は自分に親指を立てた。

「だったら任せろよ!俺はつい先日までテルカにいて、この渓谷にはよく来てたんだ。
道案内は任せてもらうぜ!と、まだ名乗ってなかったな。俺はヴァイズ。ヴァイズ・クロウズ」

「俺はカイン」

「私はルイル。ルイって呼んでね」

ヴァイズは二人の名前を聞いた後、何か考え込んでああ、と言葉を漏らした。

「なるほど、お宅らがカインとルイか」

「??俺らを知ってんのか?」

「ああ。じゃあ、さっきの自己紹介に少し付けたしとくよ。
俺はレジスタンス武器開発者・ヴァイズだ。よろしくな」

————————————————————

「・・・・・で、このグライダーも魔科学で風の魔力を溜めて、それを放つことで飛ぶことが出来んだ」

ヴァイズが魔科学の発案者だとしったカインたちはヴァイズからいろいろ話を聞いていた。

「じゃあ、俺の普通の武器にも魔科学の力を加えることは出来るのか?」

「出来なくはねぇけど、そうするより一から作り直して直接組み込んだ方がパワーが出る」

—ギャオ!ギャアァ!!—

カインたちが話していると、そこにここに来て初めてのモンスターと遭遇した。
鳥類系で中々の大きさだ。

「ヴァイズ!片翼だけで戦えるか!?」

「俺は開発専門だが、それなりにはやれるぜ?」

ヴァイズはそう言い右腕を構える。

「風力最大!!行くぜ!!エアロスラッシュ!!」

グライダーから大量の風が放出され、ヴァイズはその勢いでモンスターに攻撃。

「あれ?」

攻撃!

「あれれ?」

と、いきたかったのだがこのグライダーはまだ試作品。それに修理はしたもののダメージを
負っているそれはヴァイズの意思とは別な方向に風が吹き荒れ、暴走する。
で、暴走した結果その行く末は・・・・

「え?」

「げぇ!!!」

暴走したグライダーに引きずられるようにヴァイズはそのままルイに突撃してしまう。
しかもそのまま崖から離れ真下は激流の川。

「「うわあああああああ!!」」

二人は叫びながらそのまま落ちていく。

「ルイ!!ヴァイズ!!・・・・・・!!!」

—ギャオオオウ!!—

「グフッ!!」

カインの意識が完全に二人にいった隙にモンスターがカインに突撃して、そのまま
その大きな脚でカインを掴んでしまった。
あっと言う間にカインは大空へ。そして二人は谷底へと落っこちてしまった。

Re: テイルズオブザワールド ( No.28 )
日時: 2011/05/13 20:48
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「うおおおおお!!」

「うわああああ!!」

二人は真っ逆さまに川へと落ちていく。と、下の方の崖に小さな足場を見つけた。

「頼むからちゃんと動いてくれよ。風力最大!!!」

グライダーから風が吹き荒れ、二人の進行方向が真下から真横へと変化する。

—ズゴン!!—

猛スピードでそのまま壁に激突する。そしてまた落下し、足場に到達する。
ルイは起き上がると頭をフラフラさせた。

「う〜〜〜〜ん・・・・・。真下に落ちたり真横に飛んだりするから〜〜〜〜〜。
頭が〜〜〜〜〜!くらくら〜〜〜〜・・・・・・ん?」

ふと横下を見ると、頭に大きなタンコブを作って気絶しているヴァイズを見つけた。
ルイはヴァイズの心配よりもまず、その大きなタンコブに触れる。

「うわ〜〜〜。すご〜〜〜い!!これ世界記録だよ!きっと」

ポンッポンッと触られ、その痛みで起きあがるヴァイズ。

「ってて!こらぁ!人のタンコブポンポン叩くな!」

「あ、起きた」

ルイはそう満足気に言うと、立ち上がり横を見た。
そこには大きな横穴が空いていて、中に入れそうであった。

「ここ入れそうだね」

「そうだな。・・・・・ちょっと待ってくれ」

早速中に入ろうとしたルイをヴァイズが止めた。
そしてヴァイズはその場でしゃがみ込み何かを拾った。

「・・・・・羽根?」

「ああ。しかもさっきの奴よりも相当でかいやつだぜ」

その羽根は大体50センチほどもある大きな羽根だった。
ヴァイズはそれを谷底に投げ捨てる。

「たぶん巣かなんかだろうな。激流にのまれる心配は無くなったとはいえ、こっちはこっちで危な気だぜ。
まぁだからといって、このまま上に戻ることもできねーからな。今のでこいつの出力も低下しちまったしな」

グライダーの調子を見ながら言うヴァイズ。グライダーは僅かに煙を上げ、バチバチいっている。
故障している状態で無理やりコントロールしようとした結果である。

「壊れやすいんだね」

「簡潔にまとめるな」

二人はそう言いあった後、その大きな横穴へと入って行った。

————————————————————

「・・・・・・・」

カインは未だに空の上だった。その気になれば足を切り落とすぐらいはできるが、
そんなことをすれば自分は落下してしまう。この高さから落ちれば命が危ない。
仮に助かったとしても重傷は確実。そうなったら二人を探しには行けない。
だからカインは巣に到着した瞬間に攻撃を仕掛けようと構えていた。

と、目の端に何かが光った。何かとそちらの方を向いた瞬間、顔の横すれすれを光の弾が通った。
それはモンスターに当たりカインはそのまま墜落し始めた。下は地面だが、このまま落ちたら命はない。

「ちっ!」

カインは体からオーラーを漂わせ、それを両手に集中させる。
そして地面にぶつかる直前、両手を地面に向けた。

「風華招来!!」

—ブオオォォォオンン!!—

カインの着地点の地面が風の力でどんどん削られていく。それによりカインの落下スピードが落ちる。
それでもカインは地面に激突したが、痛みを堪えてすぐに立ち上がる。
あたりは渓谷には珍しい岩がごつごつした広い場所だ。

「・・・・・今のがヴァイズを撃ち落としたっていうやつか。
・・・・そこにいる奴ら、出てこい」

カインは睨みを効かせて言う。すると、岩陰からぞろぞろと漆黒の兵隊が現れた。
カインも一度見たことある鎧、インヴェルの兵隊だった。
数は7人。背丈からして15前後といったところだろうか。
カインはそれを見て一度頭を振るう。そして自分に自問した。

(どうして今、あいつらの事が頭に過った?)

確かに目の前の兵隊の人数、背丈は彼らにそっくり。だがそれは絶対にありえないことだ。
カインは心の中でそうわりきり、漆黒の兵隊に刀を向けた。

「こんなところでインヴェルの兵隊が何やってる?」

カインの問いかけに誰も答えない。そんな中一人の兵隊が手を上げ、
一人の兵隊を指差す。そしてまるで「行け!」と言っているようにその指をカインへと向けた。

と、その指を刺された兵隊がカインに向かって来た。兵隊は剣を取り出しカインに切りかかる。
カインはそれをよけ、兵隊を切りつける。だが、それは鎧を少し傷付けただけで終わる。

「裂蹴蓮撃」

カインはそこからさらに連続で鋭い回し蹴りを繰り出す。その衝撃は内部にも届いたらしく、
兵隊は吹き飛ばされると、その場で膝をつく。
そこの追い打ちを掛けるように詰め寄るカイン。と、目の端に光弾を捉える。
頭を咄嗟に下げてそれを交わし、飛んできた方向を見ると3人の兵隊がこちらに銃を構えていた。

飛んでくる光弾を交わし、その3人も吹き飛ばすカイン。そしてすぐに後ろからの殺気に気付き
剣を構えると、先ほど仲間に命令していた男が剣と交わる。

「・・・・っつ!!」

カインは僅かに押され始める。カインは力は強い方ではないが、
こんな15歳ぐらいの者に押されるほどひ弱ではない。相手の力が異常なのだ。

カインはこのままでは押し負けると思い、刀をずらし相手の剣を流す。
それで相手は体勢が崩れた。そこを見逃すカインではない。

「昇龍撃」

まず初めに相手の顎を蹴りあげ、次に逆立ちの要領で腹を蹴り上げ、最後にそのままジャンプし
サマーソルトでもう一度顎を蹴り上げる。すると兵隊の兜と取れた。
兜が転がり、兵隊の素顔が露わになる。それは男で、それを見たカインは目を疑ってしまった。
いや、嫌な予感が当たってしまったと言った方が正しいのかもしれない。

「さすがに強いね。『兄さん』」

男はそう言うと兜を拾う。そしてカインの方を見た。

「見ない間に随分逞しくなったな・・・・・ギン!」

Re: テイルズオブザワールド ( No.29 )
日時: 2011/06/09 21:26
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

—ガチャガチャ—

「・・・・・!」

周りから聞こえる金属が当たる音。その方に目を向けると、
今まで兜をしていた漆黒の兵隊たちが取っていたのだ。
その素顔にカインはもう驚きはしなかった。

「やっぱりお前らか。生きててくれたのは嬉しいが、
それは一体どういうことだ?」

カインはギンに切っ先は向けながら言う。
漆黒の兵隊。それは村を襲い、惨殺の限りを尽くしたインヴェル軍の兵隊だ。
その鎧に身を包んでいるなどありえないことだ。

「どうしたギン。この俺に隠し事か?
家族の間で秘密は厳禁。悩みなら皆に話し、一緒に考え、朗報なら皆で喜び、一緒に笑う。
それが俺らが決めたルールだ。しかもお前が率先してな」

「・・・・それだから兄さんは甘いんだよ」

「!!!」

—ギィイイン!!—

後ろからの攻撃に素早く防ぐカイン。その攻撃してきた顔を見て、
カインは薄い笑みを溢した。

「まだ俺の稽古が必要か、トウヤ」

「その必要は・・・・ない!」

トウヤに吹き飛ばされるカイン。と、飛んだ方向に土の壁が出現し、
そこからカインに向かって棘が出現する。見ると、一人の女性が杖を構えていた。

「確かにお前には魔術の才があったな、シフォン」

カインは空中で体勢を整え、その土の壁を壊すべく刀に力を注いだ。

「劫火灰・・・・・」

「ブラスト・レーゲン」

カインの刀に纏った炎が小さくなってしまった。原因はカインの真下に写る魔法陣。
これでは目の前の壁を壊すことが出来ないと思ったカインは、地面に刀を刺し
足で踏ん張り止まろうとした。

棘の先ギリギリのところで止まり、一つ安堵の息を吐くと
その魔法陣を発動した人物を見た。

「さすが気優しいマリアだな。法術系の魔術はお手の物か」

カインは少し嬉しそうな笑みを浮かべながら言う。
どういうわけか知らないが敵側にいるギンたちだが、こうして生きていることは素直に嬉しい。
カインは一度目を閉じる。そして開けた時、その目は冷酷なものへとなっていた。

「・・・・・そろそろそこの岩陰に隠れてる奴、出てきたらどうだ?」

と、カインは言った傍から相手が出てくるのも待たずにその岩を切り捨てた。
そこには誰もいない。だがカインはそのままの状態で口を開く。

「わざわざ俺に会いに来るなんて、そんなに死にたいのか。ハイゼン」

カインの後ろには悠々とした立ち振る舞いでハイゼンがいた。
ハイゼンは鼻で笑うとそれに答えた。

「貴様にその実力があるのならとっくにやっているはずだろう?
それに貴様に会いに来たのではない。こいつらの出来を見に来ただけだ」

ハイゼンはそう言うとギンに近寄り、その肩に手を置く。

「ふざけた奴だな。あの時は殺そうとしたこいつらを今は育ててるとはな」

「あの時は気付かなかっただけだ。あの後森の中でこいつらを発見した時感じたんだ。
一人一人が中々の才能を持っていることをな。殺すのは惜しいと思って、連れ帰ったんだ」

「そいつらが素直に言うこと聞くたまか?」

「勿論洗脳させてもらった。今では喜んで人を殺す程だ」

「・・・・やっぱり愚図だなお前らは」

カインはそう吐き捨てると、刀を構える。それをハイゼンは手で制した。

「まだこいつらではお前には勝てないからな。ここは引かせてもらうぞ」

「そいつらは好きなだけ引かせろ。けどお前はそこで死ね!!」

カインがハイゼンに飛び掛かる。だが、その隙をついてギンたち7人が一斉攻撃を仕掛けてきた。
諸に攻撃を喰らい、地面に倒れるカイン。それを見てハイゼンは飛竜を呼び、それに皆を乗せ始めた。

「ギン、せっかくだ。そいつを始末しとけ」

「分かったよ。ハイゼンさん」

ギンは剣を取り出しカインの傍まで寄った。と、そこで動きを止めた。

「・・・・・どうしたギン。出来ないのか?」

それに不思議に思ったハイゼンが問い掛けるが、ギンは出来るとばかりに首を振るうと、
剣の切っ先を胸の中央へと持って行き掲げた。

「ばいばい」

ギンは最後にそう言い残し、剣を振り下ろす。カインの胸の中央に剣が真っすぐに突き刺さっている。
ハイゼンもそれを確認しギンにも早く乗る様に命じる。
ギンはカインを最後に数秒見つめた後、飛竜に乗って空へと飛び上がって行った。

————————————————————

ルイとヴァイズは暗い洞穴の仲を進んでいた。
所々魔物の死骸等が食い散らかされており、異臭も漂っていた。

「う〜〜〜〜。臭い〜〜〜〜」

「言うな、余計気になるだろう」

「あ〜〜〜〜〜!!臭い臭い臭い臭い!!」

「はぁ〜〜〜〜。カイン氏は何時もこんなルイ嬢のテンションに付き合わせれてたのか?」

ヴァイズはうんざりと言わんばかりの表情をする。
さらに暫く進んでいくと大きな空洞があるところに出た。天井はなく、真上から日差しが辺りを照らす。
ここは他の場所よりもさらに異臭が漂っていた。それだけの量の魔物の死骸があるのだ。

「幾ら食欲旺盛って言ってもこれはちょっと異常っしょ・・・・」

ヴァイズは思わず鼻を押さえながら近くにある死骸の状態を見る。
銃弾で撃ち抜かれた跡。これは恐らく自分が撃ち抜かれたものと同じものだ。
だが、それとは別に妙な傷跡がある。まるで何かに噛まれたような・・・・・。

—バサッ!バサッ!!—

「ルイ嬢!上を見ろ!!」

「ほえ?」

ルイが上を見るとそこから大きな鳥が下へと降りてきていた。
ドシーーン!と大きな音を立て地面に降り立つ大鳥。
その目は動く彼らを睨みつけていた。

「ありゃりゃ〜〜。もしかしてご機嫌斜め?」

「どう見てもそうっしょ!くるぜ!!」


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