二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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雪のCLOVER 【銀魂】参照100突破!
日時: 2011/03/27 21:24
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

初めまして&こんにちは♪
白雪という者です☆

さっそくですが注意書きに移ります。


+荒らし・チェンメは即バック!

+神小説じゃないと読まないよ!!

+揉め事は禁止です!


これくらいですね。
では始まります!(二回目だ><)

*プロローグ篇* 『ずーっと一緒だよね?』 >>1

≪始まり小唄篇≫
>>3 *第一訓『お前触ったら汚れるアル』
>>4 *第二訓『やっちゃったよ…』
>>11 *第三訓『一家心中するぞコラァ!!』

≪箱庭王女篇≫
>>12 *第四訓『…次の回覧板…屁怒絽の森だぞ…』
>>13 *第五訓『ル○ンみたいアルヨ』 
>>15 *第六訓『二度と私を女扱いすんな!!』

≪雪華篇≫
>>20 *第七訓『ごめん。ありがとう』

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Re: 雪のCLOVER 【銀魂】コメください><; ( No.11 )
日時: 2011/03/08 21:55
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

第三訓『一家心中するぞコラァ!!』

雪亜はその後、三人に向かい合い改めた様子で話し出した。

「万事屋三人衆+一匹に二つほど頼みがある」

「おぅ?依頼か?報酬さえ貰えるんなら、どんなことでもしてやるぜ」

「銀ちゃん!久しぶりのお客さんアルナ!」

「ちょっとやめてくださいよ神楽ちゃん。…で、頼みって何ですか?」

「ん?あぁ、一つ目は私を何日かここへ泊めてくれってこと。二つ目は……———」

「ちょっと待て!ここのエンゲル指数半端ねぇのお前、歌舞伎町じゃあすっげぇ有名なんだぞ?それなのに更に食べ盛りの子供一人養えってか?一家心中するぞコラァ!!」

万事屋の命に関わると言わんばかりに銀時は大声を張り上げる。するとその様子を眠そうな目でチラッと見ると、雪亜は落ち着いて言う。

「報酬払うっつってんだろが。それに自分の飯代くらい自分で出せる。いいから二つ目の頼み黙って聞けやコラ」

「…スンマセン」

幼い少女の激しいギャップに迫力負けした銀時は、一言だけ誤ると、その場に正座をして雪亜の次の言葉を待つ。


「…はぁ…二つ目のお願いは、ここで私を雇ってもらえない?っていうことなんだけど…大丈夫?」


雪亜の口から飛び出た思わぬ台詞に、一瞬三人は唖然とする。…が、状況をいち早く飲み込んだ新八は雪亜に対して落ち着きのない様子で話しかけた。

「そ、そんなこと無理ですよ!万事屋はいつも三人でやってきたし…第一危ない仕事とかも結構くるんですよ?それなのにまだ年端もいかない少女をどうして雇うことができるんですか!」

「そう?私もう13歳だよ?子供というには大きすぎる年だし…それに私ある程度の奴らなら殺s…やっつけられるよ?」

「今思いっきり殺せるって言おうとしたよね?ある程度ってどうせ同い年のちゃんばら程度でしょ?」

「甘いな。この前は夜兎族の集団を全員私が倒した。金を欲していたな、あいつら…その前は攘夷浪士どもの喧嘩を止めたな。放っておけばよかったんだろうけど、どうしても江戸にきて力試し的なものをしてみたかったから…」

雪亜の恐ろしい戦記を聞いてしまった新八は、とりあえず大声で土下座をしながら謝っていた。

「…私は雪亜雇う、賛成アル」

「まぁ金もいらねぇみたいだし?俺も別にいいと思うよ?」

今まで黙っていた神楽と銀時が、声をそろえて賛成をしたことに、新八は驚きの色を隠せないでいた。

(まぁ銀さんが賛成するなら、別にいいか…)

心の中で自分に言い聞かせた新八は、雪亜の全身を改めて見渡した。

白く綺麗な肌。薄紅色の瞳と、同色の長い髪。右目の包帯からわずかに覗く深い傷。異風な格好に背中の大きな扇。

…確かに雪亜は、この年で数多の修羅場をくぐり抜けてきたのだろう。

「…これからよろしくお願いしますね、雪亜ちゃん」

その新八の言葉を聞いた雪亜の顔は、パァっと花が咲いたように輝いていた。…とても人を殺めてきた少女とは思えないくらいに。

「よろしくアルナ、雪亜!」

「足引っ張んなよ、よろしくな雪亜」

「うん、みんなよろしく。そして採用ありがとう」

こうして万事屋には新たな仲間、『冬芽雪亜』が加わり、いっそう賑やかな生活を送ることとなった、定春であった。

「クゥ〜ン…ワン!(出番少ないじゃねぇか!この駄作者が!)」

そして…大好きな定春に棘を刺され、深く傷を負った作者であった。



                                〜始まり小唄篇 完〜

Re: 雪のCLOVER 【銀魂】〜始まり小唄篇完結!〜 ( No.12 )
日時: 2011/03/12 13:16
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

≪箱庭王女篇≫

第四訓『…次の回覧板…屁怒絽の森だぞ…』

雪亜が万事屋へ仲間入りをしたその翌日—————

「ねっいいでしょ?ねぇってば!」

「ダメに決まってるだろうが!!いくらお前が強いからって…無理だ!!」

「そうですよ。ね?やめましょう!死にますよ!!」

「でも私はこの前一人で大丈夫だったアルヨ。だから雪亜も大丈夫ネ。あ、でも私よりは弱いアルヨナ?…どうするネ?」

「神楽よりは強い自信あるけどな!…絶対一人で行くんだーっ」

万事屋メンバー四人は揉めに揉めていた。

その理由はというと…時間は30分前に遡る。

『…おい、次の回覧板…』

『え?何か言いましたか銀さん』

『…次の回覧板…屁怒絽の森だぞ…』

『マジでか』

『誰?へどろって』

『茶吉尼の生き残りってぇの?存在がすごい』

『茶吉尼…それくらいなら平気だね。私が行ってくる!』


という会話から、あのヘドロの家に誰が行くかを揉めていたのだ。銀時たちは雪亜があの怪物のもとへ行こうとするのを必死に止めるが、当の本人は聞く耳を持たない。

「大丈夫って言ってんだろ?私が茶吉尼如きに劣るとでも言うのか?」

「そうゆう意味じゃねくてだなァ…じゃあどうなったって知らねぇからな!」

「ふんっ!10分で帰ってきてやる」

そう怒鳴り散らすと雪亜は乱暴に扇を背に担ぎ、玄関の引き戸を勢いよく開け、そして勢いよくとびだして行った。

「大丈夫ですかね…雪亜ちゃん」

「ほっとけほっとけ!あんな餓鬼。どうせ5分もしねぇうちに帰ってくらぁ」

「私心配ヨ。ちょっと見てくるネ」

「勝手にしろや」

大人気なく拗ねてしまった銀時をよそに、神楽まで番傘を持ち出て行ってしまった。


その頃の雪亜は『屁怒絽の森』へ丁度到着していたところだった。

「…お客さんどころか人っ子一人いないじゃないか」

「いらっしゃい。お客さんですか?」

「!」

いきなり鬼のような風貌の男が店の奥から顔を覗かせる。一瞬その迫力に引いてしまったが、いつもの落ち着きをすぐに取り戻すとヘドロに事情を話す。

「そうですか。万事屋さんに新しい従業員さんが…しかもまだほんの幼子じゃないですか。大丈夫なんですか?」

「幼子?人は見かけによらず。私をそこらの小童なんかと一緒にするな」

「ははっ!元気だけはあるんですね」

「ふん!生言うんじゃねぇや」

ヘドロに対して全く怯えを見せない雪亜を、遠くで眺めていた神楽は、雪亜が本当に只者じゃないということを悟っていた。

(でももう帰さないと…銀ちゃん拗ねたまんまアル…)

拗ねたままの銀時をそのままにしておくのも気が引ける神楽は、雪亜のもとへ駆け寄った。

「雪亜ーっ!もう帰るアルヨ!銀ちゃんの機嫌直しに!」

「あ、神楽。うん!そうだね!…じゃあね、ヘドロさん」

「えぇ。またいつでも遊びに来てください」

ヘドロは雪亜と神楽ににっこりと微笑むと、そのまま店の奥へ姿を消していった。

「怖くなかったアルカ?」

「なんで?普通の人だったよ…」

「?…雪亜?」

急に表情を曇らせた雪亜をみて神楽は不思議に思い、顔を覗き込む。声の沈んだまま「なんでもない」と答える雪亜の顔は、どこか孤独を抱えた寂しい顔をしていた。


「ただいまヨ〜!」

「…ただいま」

万事屋へ到着した二人は、出来るだけ明るく振舞った。もっとも雪亜は今の状態ではこれが精一杯なのだろうけど。

「おかえりなさい、二人とも。どうでした?雪亜ちゃん」

「ん?あぁ、どうってことなかったよ」

「そうなんだ…すごいね、雪亜ちゃんは」

「新八、銀ちゃんの様子はどうネ?」

「結野アナのニュース番組のおかげで機嫌が直ったみたい」

それを聞いてホッとした神楽は、雪亜の様子について新八にこそっと話した。

「雪亜が落ち込んじゃったアル」

「雪亜ちゃんが?どうしてまた…」

「それが分からないから相談してるネ。察しろダメガネ」

「!!!…で?僕にどうしろと?」

「どうもしなくていいアル。…でも、さりげなく雪亜のこと探ってみて欲しいネ。私たち、雪亜のことなんにも知らないアル…名前と年だけしか…」

「う〜ん…確かにそうだね。できるでけ詳しいことを聞いてみます」

「頼んだアルヨ!」

話を終えた新八と神楽は、銀時の隣でバラエティ番組を見ている雪亜の方へと歩いていき、声をかける。すっかり機嫌は直ったらしい。

「雪亜ちゃん!僕たち雪亜ちゃんのことあんまり知らないでしょ?だから今日色々と教えてくださいよ!」

「そうアル!私も色々知りたいアルヨ!ねぇ銀ちゃん?」

「ん?そういえばそうだな。じゃあ自己紹介でもしてもらうか」

そういいながらバラエティ番組のついていたTVを消すと、銀時は白髪天パをわしゃわしゃと掻きながら言う。

「そうだね。自己紹介…名前と年は知ってるね?産まれはトレフィア王国。育ちも同じだよ。あ、こう見えて私トレフィア王国第一王女なんだぁ!…母と父は私が幼い頃に亡くなって、今の私の家族は弟の美亜だけなんだ…だからアイツは次期国王なのに、急に城からいなくなりやがって!…だからここまでアイツを連れ戻しに来たんだ」

それを聞いた3人は、1〜2分ほどポカンと口を開けて固まっていた。が、すぐに銀時がその話に食いついた。

「トレフィア!?あの金持ち率の高い国か!?雪亜…様!ずっとここにいてもいいぞ!じゃねぇや。いいですよ!」

慣れない敬語を使う銀時に呆れながら雪亜は溜息を吐く。

「ずっとはいないけど…見つかるまではここにいるつもり。よかったら今度江戸を案内してね。まだ勝手が分からないものだからな」

「もちろんアル!」

「あ、でもここ(歌舞伎町)へは私の知り合いのお姉さんがいてね。その人と一緒でもいいか?」

「知り合い?誰ですかそれは」

「甘味処で働いてるらしいんだ。確か…『みかん』って名前の店だったと…」

「そこっ!俺知ってるぞ!!…あそこのバイトの子か…ツンってしてる奴だろ?ツンというよりツンツンツン…」

「明日そこまで案内してくれね」

そこまで語ると雪亜は「昼寝をしてくる」と言い、欠伸をしながらリビングを出て行った。

Re: 雪のCLOVER 【銀魂】〜箱庭王女篇〜コメ下さい><; ( No.13 )
日時: 2011/03/14 21:19
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

第五訓『ル○ンみたいアルヨ』


翌日————

「おい!起きろ低血圧!お前が明日甘味屋に案内して〜うっふん。って言うからわざわざこう、起こしに…」

「スー…スー…」

「聞けぇぇぇぇえ!!!」

銀時は自分よりも低血圧な少女を起こすのに四苦八苦していた。
でかい声を出そうが蹴ろうが殴ろうが目覚まし時計で殴ろうが、低血圧少女——雪亜はピクリとも動かない。

変わりに出会ったときと同様に、規則正しい寝息がスースーと聞こえてくるだけで…

(何なんだよコイツは…)

「銀ちゃーん。朝ごはんはまだアルカー?」

「神楽ちゅわぁぁん!!」

「銀ちゃん、二文字だけいいアルカ?…キモ。」

弱音をはいていたところに押入れから出てきた救世主を称えるように名を呼んだつもりが、かえって嫌悪感を与えたらしい。

『子供は正直』

その言葉を思い出し、銀時は雪亜を起こすのを一時停止して落ち込むことに専念した。
そして雪亜を起こすという重役は、その後に万事屋へ出勤してきた新八に任せられた。


「ふぁぁっ!おはようみんな」

「「「おはようじゃねぇ!!!もう昼過ぎだぁっ!!」」」

「う?お、おぅ」

結局昼を過ぎるまで目を覚ますことなく熟睡していた雪亜は、時計を確認すると寝起きからか、珍しく落ち着きのない様子を見せた。

「で?『みかん』って甘味屋へ行くんだろ?さっさと着替えと準備済ませろや」

「うん。じゃあ和室借りるよ?」

「んじゃ、俺らも準備すっか」


そして数分後、雪亜の着替えと準備もすぐ終わり、万事屋一行はさっそく雪亜の知り合いの働いている『甘味屋みかん』へ向かった。

「雪亜ご飯どうするアル?朝から食べてないんじゃないアルカ?」

「あぁ、向こうで軽くつまむさ」

その店は銀時曰く団子やまんじゅうだけでなく、軽食なども扱っているらしい。
万事屋から十分ほど歩いていくと、木造りの看板に『甘味屋みかん』と書かれた大きくも小さくもないこじんまりとした店が見えてきた。

「あそこか?古風で私好みの店だ」

「おう。いいとこだろ?中で食うか?外で食うk…」

「中がいい」

「即答かよ」

雪亜の風流もクソもない答えに銀時は、新八に助けを求めようと振り向いた。…が、新八はある一点を見つめて汗をだらだらと流している。
銀時も新八と同じ方向を見るべく後ろを振り返った。

「銀ちゃん、ニコマヨ中毒がいるネ。ドSバカも一緒アル」

「誰だそれは」

「腐れ警察アル」

「ふ〜ん。かっこいいね、顔」

「「「!!??正気か!!??」」」

「今日はやけにみんな声が揃うね。打ち合わせでもした?」

「してねーよ」

声が揃うのは万事屋三人が心が一体なのか、雪亜がそう思わせるほど天然なのか…
とりあえず真選組の連中に感付かれないよう、静かにそっと店内に入る。落ち着いた雰囲気に相応しい清楚な定員さんが、銀時らを迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

「四人で、席はすみっこの方にしてください」

「はぁ…かしこまりました。お席へご案内致します」

新八の小声と態度と席の要望に定員のお姉さんは少々引き気味だ。

「あの人じゃないアルカ?雪亜の知り合い」

「う〜ん…違うんだよなぁ、な〜んかこう、も〜っと髪がぁ短いの〜よ〜。んで〜、クールというか怖いというか…根は優しいんだけどっね♪」

「ル○ンみたいアルヨ」

雪亜は知り合いを探すために、席へついた後もキョロキョロと店内を見渡していた。
すると、少し幼いような青年の声音が耳に響いてきた。

「旦那ら、こんなとこでそんなちっこいの連れて何してんですかィ。お〜い、土方さん。旦那がとうとう誘拐犯になっちまいやしたぁ」

「ちょっとやめてくんない。わわっ!大串くん店内抜刀禁止!銀さんそんなことしてないから。…コイツは万事屋で雇った王女様。神楽が気に入って、給料いらないって言うから俺も気に入って…」

「なにネお前ら!お呼びじゃねぇんだヨ!!」

「うるせぇな。お前みたいなのに構ってる暇なんてこっちにゃねぇんだよ」

「んだとぉ!!」

「はいはいそこまで〜。神楽ちゃんも沖田君も店の中では静かにね」

沖田と呼ばれるこの少年——栗色の髪をさらさらとなびかせ、赤い瞳を持つこの少年は、神楽のいい喧嘩相手であり、真選組の一番隊隊長である。

「おい総悟。もう帰るぞ…万事屋?誰だそいつ」

覗き込むように小首を傾げる土方の耳に、雪亜の棒読みな言葉が響く。

「さっき説明したのに…真選組の奴らは随分と失礼なんだね。私をそいつ扱い…酷くね?」

「まぁまぁ雪亜ちゃん。すみません土方さん、この子は万事屋で雇っているトレフィア王国の第一王女なんです」

一方土方と呼ばれた黒髪直毛ヘアの凛とした男は、真選組の副長を務めている。

「王女様…その王女様をダシに使って金を稼ごうとしているわけだな?」

「大串君ったら人聞きの悪い…んで?肝心の知り合いの姉さんは見つかったのか?」

土方が抜刀しそうなのを片手で止めると銀時は雪亜に声をかける。そもそも今日の目的は知り合いのお姉さん探しなのだ。

「…う〜ん…あ!いたー!!!」

突然雪亜が椅子を立ち、ある一人の女性を指差した。

黒髪ショートヘアの甚平を着た女性。背は高く、その顔は意思の強さを形にしたような凛として綺麗な顔だった。

沖田や土方と別れた後、雪亜はその女性へと声を掛けた。

「朱雀お姉ちゃん!」





                            【続く】

Re: 雪のCLOVER 【銀魂】〜箱庭王女篇〜 ( No.14 )
日時: 2011/03/16 22:14
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

あげっ♪

更新しないとダメになってしまう…
でも今日は更新しませんっ☆←

明日にでも頑張って更新しよう…><;
コメこないかなぁw

まぁ自分が駄作すぎるのが悪いんですが;(開き直り!)

独り言すいません!
では失礼します♪

Re: 雪のCLOVER 【銀魂】〜箱庭王女篇〜 ( No.15 )
日時: 2011/03/23 22:21
名前: 白雪 (ID: wJNgr93.)

第六訓『二度と私を女扱いすんな!!』


「朱雀お姉ちゃん!」

店内で大声を出す雪亜を、周りのお客さんがじろっと睨む。
それに対して雪亜はまたまた大声で

「んだテメーら!やんのかゴラァッ!」

と中指を立て喧嘩を売り、ガン飛ばす。

「相変わらず威勢がいいねぇ、雪亜」

そこに突然、見知らぬ声が割り込んできた。
振り返るとそこには黒髪のショートヘアの女性が立っていた。感情のない声で雪亜に話しかけると、雪亜の表情がぱぁっと明るくなった。

「朱雀お姉ちゃん!やっと会えたね〜!!」

「うん、久しぶりだね。元気してた?」

「あのさ、花咲かせてるとこ わりぃんだけど、こいつがお前の言ってた知り合い?」

盛り上がっているところに銀時の機嫌が悪そうな声が割り込んできて、二人も機嫌が悪くなる。

「そうだけど?私が知り合いでなんか文句でも?」

「朱雀姉は怒ると怖いよ〜。すぐに抜刀しちゃうんだからさ」

「抜刀?その人刀使うアルカ?この天人の時代に」

確かにそうだ。
警察でもなければ攘夷浪士でもない彼女が、どうして刀を持ち歩いているのか……———

神楽のもっともな質問に、銀時と新八はそう思った。
改めて朱雀の格好を見渡してみた。

凛とした美しい顔立ちに、その顔にピッタリと似合う鼠色の煙管を咥えている。甚平を着ているが、それも彼女によく似合う。

そして唯一違和感を覚えたもの…
それは先程銀時たちが疑問に思っていた、腰に差した漆黒の刀。

「刀は自分の身を守るために持っている」

「ふ〜ん?どれほど刀を扱えんの?女のお前に」

銀時がそう呟いたその瞬間に、ギチャンッ!…と鋭い音が狭い店内に響き渡った。朱雀が銀時を斬り捨てようとしたのだ…
銀時は寸のところでその攻撃を木刀で受けた。


朱雀の攻撃は  早かった。
銀時じゃなければ死んでいただろう。


店の中にいたお客たちは、銀時たち以外みんな怯えて走り帰ってしまった。

「あ〜らら。お客様がいなくなったんですが〜?てかお前定員だろ?店内抜刀禁止。そんなんだと強くなれねぇよ、嬢ちゃんよぉ!」

木刀を握り締める手に力を込めて、銀時は朱雀の身体ごと刀を弾き飛ばす。
その力を利用して朱雀は空中で一回転し、綺麗に着地をしてみせた。

「…うるさい…二度と私を女扱いすんな!!」

「落ち着きなさい、朱雀」

氷のように冷たい声を放ち、暴走しかけた朱雀をとめたのは雪亜だった。その表情は先程の子供らしい顔ではなく、一国を纏めてきた王女としての顔であった。

「…ごめん、雪亜」

「あ、いや…その…ごめん。私もちょっと…ごめん」

「雪亜ちゃんの国って、どんなところなんですか?」

しゅんとする雪亜をかばうように新八が話題を切り出す。さすが気ぃ使いなだけあって、話題も少しは続きそうなものだった。

「箱庭の国って周りの国々から呼ばれてる。そして私は箱庭王女様〜!なんて言われちゃってさ。笑っちゃうよね…み〜んな私に媚び諂いやがる。機嫌をとって…美亜がいなくなってからは本当の独りぼっちになっちゃって…」

暗くなっていく雪亜の顔とその場の空気に耐え切れず、もう少し違った話題をと新八は再び話し出す。

「あ、あの…どうして箱庭の国なんて?」

「トレフィアは周りの国からは孤立していてさ、それに船も港に入ってこないし、そもそも港なんてないし…国から出る事ができるのは自分専用の飛行機かなんかを持っている人だけだよ」

「すご…」

「雪亜は、お金持ちアルカ?」

無邪気な笑顔を向ける神楽は、その場の空気を和ませてくれた。

「ん?まぁ金持ちな方かもね。一応王女だしさ」

「俺も金持ちに産まれたかったよ。不公平だよな〜神様はよぉ…」

その瞬間、雪亜の目の色が変わる。

「銀は、上に立つ者の苦労を知らないからそんなことが言えるんだ」

怒ったようにプゥっと頬を膨らます雪亜の頭を、朱雀はくしゃりと撫でると微笑んだ。

「変わらないね、その癖」

「癖?まぁいいや。てか何で上の奴らが苦労するなんて…」

「人の上に立つ奴っていうのは、みんながみんな左団扇ってわけじゃない。みな平等に、なんていってたら国が腐っちまうさ。上の者に対する下の者たちの信頼、その下の者たちをまとめる上の者の支配力。それらがなけりゃ国なんて簡単に滅びてしまうよ」

小難しいことを語りだす雪亜を見て、その場にいる誰もが 雪亜が王女であることに納得をした。
きっとこのような考えを大切にしながら、雪亜は自分の国を守っていたのだろう。

「なんか、すまねぇな。雪亜」

「いいよ。ま、私も私なりに苦労してるってことさ。分かった?」

「「「「分かりました」」」」

「な〜んでみんなそんなに声が揃うんだよ」


そうして暫く笑いあった後、万事屋メンバー+一人は、やっと『甘味処 みかん』を後にした。

その後奥の厨房にいた何人かのスタッフたちは、こそこそと話し合った後、警察へ連絡を入れることにしましたとさ。


*おまけ*

万事屋へ帰った銀時たちを待ち受けていたのは、黒い隊服を纏った真選組のお馴染みメンバーだった。
事情聴取を受けた後、苛立っていた銀時たちはとりあえず寝て気を静めることにした。

もちろん無罪だったが、土方がいつもの如く刀を銀時に向けたのは言うまでもない。

                          〜箱庭王女篇 完〜


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