二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 氷と杏(BLEACH小説)
- 日時: 2011/04/27 21:52
- 名前: まろんけーき (ID: KrNEmkft)
クリック有難う御座いますッ!!
…私の小説を読みたければ、百万円払ってもらいましょうかぁ?(黒ニパ
・・・・・・。(沈黙)
Σあっ!
帰んないでください、冗談です冗談。
『戻る』なんて悲しいものは押ーさーなーいーでーー!!(ウザ
ふぅ…。
それでは改めまして…
クリック感謝です(ニパ/オイ。
いきなりこんな冗談ブチかました私のスレに留まって頂き、有難う御座います。
えー、このスレはBLEACHの夢小説的なものなのですが、オリキャラが出てきます。
つーか、オリキャラ×日番谷です。
私は恋次が一番好きなんですけど、なぜか日番谷。
まぁ、時間があったら恋次のも創ってみたいと思います。
それでは、どうぞ(^∀^)/~~~
******************************
オリキャラ設定
>>1
第一章『出会い』
第一節 >>2・>>3・>>6
第二節 >>16・>>17
第三節 >>18・>>20
◆訪問者サマ◆
・くろねこ。s
・圭s
・ユウs
・來夢s
・風s
・菫s
- Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.16 )
- 日時: 2011/04/06 20:24
- 名前: まろんけーき (ID: ez4qQ6a7)
第二章
第二節
『氷を溶かす心』(1)
「しっかし、ここは結構平和だな〜。」
西流魂街、第一地区“潤林安”。
様々な店が立ち並ぶ街道を杏は、冬獅郎と桃と歩いていた。
一週間前、冬獅朗に拾われた杏は、桃とばあちゃんの温かいご飯と、冬獅朗の持つ医学の知恵と経験で、歩けるほどまで回復していた。
“「最低でも1ヶ月?」
大体の治療が終わったらしく、意識を取り戻すと、三人が杏の布団の横に座っていた。
「あぁ。最低でも、一ヶ月は療養しねーと、傷は完全にふさがんねぇ。さっきみたいになりたくなかったら、おとなしくしてろ。」
冬獅朗が言うと、杏は明らかに不満げな顔をして見せた。
「えぇ〜?だって私、帰ったら仕事が待ってて忙し…」
「誰が帰っていいっつッた?」
「はい?」
「怪我が治るまでの1ヶ月は、ここに居ろ。」
「……いいの?」
目を見開いて、冬獅朗らを見渡す。
三人は、当然だとでも言いたそうな顔をしていた。
「……。ありがとう!」”
まぁ、一週間前にこんなやり取りがあり、今に至るわけである。
何かここでやりたいことがあるらしく、毎日外に出たがっていた杏だったが、冬獅朗がそれを今日まで止めていた。
「そうなの?これがいっつもだから、よくわかんない。」
桃が杏に問う。
「そうよ。だって、ここは第一地区。流魂街の中で一番治安がいいとこだもん。」
「そんなの、決まってんのか?」
それに順じて、冬獅朗も問う。
「そう。流魂街には一から八十まであって、一地区が一番良くて、八十が一番悪い。そう、きまってるのよ。」
「そっか…。じゃあ、私たちは恵まれてるんだね。」
桃の言葉に、杏は寂しげな笑みを漏らす。
「全部、運だけで決まっちゃうなんて、おかしいとも思うけど。ま、そっからどう頑張ってくかで、自分の運命が変わってくんじゃない?」
「?」
「自分の運命は、自分で決めるの。したいことがあるなら、すればいい。っていうか、『したいことがある』ってことは、生きてく中で一番大事なんだと、私は思う。」
杏が言った後、一陣の風が吹いた。
同時に、雪が風に流されて舞う。
冬獅郎と桃は、静かに杏を見た。
どこから来たのか、何をしてる人なのか。
二人は杏のことを何も知らないのに。
なぜか、彼女の言葉は、素直に胸の奥に入り込んでいく…。
それは多分、彼女が素直で、文字通り真っ直ぐだからなのだろう。
「杏ちゃんは、今、したいことって…ある?」
「ん。…今、やってること、かな?」
「?」
「あー、えっとー…。 私ね、ちょっとあることを調査しにここへ来てるんだけど。いっつもは仕事仕事ばっかりだったから、こういうのも、いいなーって。」
「あることって?」
「…ま、なんでもいーじゃん。ともかく、今してることが一番やりたかったことなのかもね。」
「そっか…。」
「桃は?何か、したいことって、あるの?」
「え…。…うーん、今はないかも。」
「そっか。まぁ、そんな焦ることでもないし、『今と変わらない』っていうのも、『この状態を保持したい』っていうことだもんね。」
「今みたいなのが続いたらいいなぁって、思う。」
桃がいうと、杏は満足そうに笑んだ。
「んじゃあ、冬獅朗は?」
急に話をふられ、冬獅朗は驚いたようなそぶりを見せた。
「……無いな。っつぅか、んなこと今まで考えたことも無かったし。」
したいことなんて、無かった。
だからといって、この状態が続いてほしいと願っているわけでもない。
考えたことが無いというより、考えることを、知らなかったといっても過言ではないだろう。
「そっかぁ…。」
そんな冬獅朗を見て、桃とは言葉の意味が違うことを悟る。
…が、あえてそれは言わないでおいた。
「…あー、お腹減っちゃった。ねぇ、桃。ここらに甘納豆売ってる甘味屋さんない?」
「え?うーんと…ちょっと遠いかも。甘納豆、好きなの?」
「うん!大好きっ!!」
「んじゃ、私買ってくるよ。シロちゃんと杏ちゃんは先に家に戻ってて!!」
「え?私も…」
「だーめ。あんまり長く歩いてちゃ、ダメなんでしょ?」
「う…。」
「じゃぁ、シロちゃん、ちゃんとつれて帰ってよー!!」
そう言い、桃は帰り道と真逆方向に走った。
- Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.17 )
- 日時: 2011/04/08 21:43
- 名前: まろんけーき (ID: Z7dY/o0y)
第二章
第二節
『氷を溶かす心』(2)
残された冬獅朗は、それを見送り、杏のほうを向き直った。
「…で、何で嘘までついて俺と二人になった?」
呆れ顔で、言う。
「あ、やっぱばれた?」
それに対し、杏はうしし、と無邪気に笑って見せた。
「まぁ、桃は気づいていねーみてーだったが。」
「桃は素直だからね。冬獅朗は気づいてくれるかなーって、思ったんだけど、正解だったね。」
「素直じゃなくて、悪かったな。」
「いやいや。洞察力が鋭い…って褒めてあげたのよ。」
ちっとも悪びれもせずに言う杏を見て、冬獅朗はため息をついた。
「用件は何だ?桃の前では言えないほどのことなんだろ?」
「あぁ…。いや何、別にそんなでも無いわよ。」
「……。」
杏が、不意に冬獅朗の目を見た。
「…あんた、自分の何がそんなに嫌いなの?」
冬獅朗が目をそらした。
「どうして、周りの人と関わりを持とうとしないの?桃は隣の家の子とかと普通に遊んでるのに、何で冬獅朗は家から出ようとしないわけ?」
杏は家の寝床で横になりつつ、皆の様子を見ていた。
ばあちゃんはいつも、家事をニコニコと笑いながらこなす。
桃はいつも、冬獅郎や隣の家の子等と遊ぶ。
冬獅朗はいつも、桃といるとき以外は独りで、空をぼーっと見つめていた。
杏はいつも、それを不思議に思っていたのだった。
「俺が他の奴らと関わりたくねぇわけじゃねぇよ。」
「?じゃ、どうして…。」
杏の声に、冬獅朗が振り向く。
その表情は、先ほどよりも険しかった。
「周りの声、聞いてみな。」
「?周り…?」
耳を研ぎ澄ます。
周りの活気に気をとられ、細やかな声など、気にも咎めていなかったのだ。
『ほら、あいつ…。碧緑の目に銀色の髪。』
『うわ、ホントだ…。ホントに人間か?』
『性分も冷めてるらしいぜ。氷みてーな奴。』
『怖えぇ〜。近くにいると、呪われちまうぜ。』
「……。」
杏は、思わず言葉を失った。
「ほら見ろ。ここじゃあ、皆そうだ。俺は特に何もしてねぇのに、ここの奴らは揃って俺を氷のようだと言う。皆俺を怖がってんだ。
そいつらに関わりを持とうとするって行為こそ、はた迷惑だろ?」
冬獅朗は、どこか寂しげに言った。
生まれ持った異色の容姿のせいで、何時でも何処でも冬獅朗は周りから蔑まれてきた。
そんな彼をちっとも怖がらず、手を差し伸べてくれたのが、ばあちゃんと桃だった。
だから彼は今まで、その二人以外に心を開くことは無かった。
「なーんだ。そんなこと。」
呆けた様に、杏が言った。
その声に、冬獅朗が顔をあげる。
「は?」
「ま、冬獅朗の容姿とか性格は、確かに氷のようだよ?だけど!あったかい心を持ってる。」
杏の言葉に、冬獅郎は胸がトクン、と鳴ったように聞こえた。
「ウチの知り合いが言ってたことなんだけどね?「心」ってのは、人が人と触れ合うとき。即ち、人と人が思い合うときに、その人との間にできるモンなんだって。
冬獅朗が悪口言われて蔑まれても、そいつらを恨みもせずただ単にそいつらの迷惑にならないようにしたいって思ってんだろ?
それは正真正銘、心だろ?しかも、他人が言ってるような氷なんて、溶かしちゃうくらいあったかい。それでいいじゃん。」
「……。」
杏の言葉に、冬獅朗は目を見開いた。
「ね?周りの目なんか気にすんなよ。今の自分を、精一杯生きろ。」
杏は、冬獅朗の頭をぐりぐりと撫でた。
冬獅朗は、静かに笑んだ。
「……ありがとな、杏。」
ボソッと、呟く。
その呟きをしっかりと聞き取った杏は、ニカッと無邪気に笑った。
「うし。帰るか。」
二人は、家への道を歩き出した。
今まで、誰も言ってくれなかった言葉。
『氷なんか、溶かしちゃうほど、温かな心』
杏の言葉が、ゆっくりと心に染みていくような気がした。
帰り道。
何度も通ったことのある街並みなのに、何故だか冬獅朗の瞳には、いつもより街に光が射して見えた。
- Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.18 )
- 日時: 2011/04/09 20:44
- 名前: まろんけーき (ID: IjQjsni6)
第一章
第三節
『氷と風』(1)
半分開け放たれた雪見障子から、ちらほらと降る雪が見える。
次々と降り積もっていく雪を見ながら、冬獅朗は布団の中でため息を一つつく。
朝から熱があったのを桃に見破られ、寝床へと強制的に戻されたのであった。
ピピッ、と小さな電子音が聞こえた。
脇に挟んでいた体温計を取り、数値を読み取ろうとするが、熱のせいか、目の前がぼやけてよく見えない。
どうやら、相当高いようだ。
「あ、熱測り終わったの?」
ちょうど襖を開けた桃が体温計を冬獅朗の腕から奪う。
「あちゃぁ〜。8度超えてるよ…。」
体温計の数値は、8度6分を指していた。
「マジかよ…。ったく、嫌んなるぜ。」
「まずは絶対安静だよ?シロちゃんの熱は長引くんだから。」
冬獅朗は、寒さに強いが、暑さに弱い。
そのため、彼が風邪を引いたときは、完全に治るまで、最低でも1週間はかかった。
「お粥。作ってきたから、食べてね?」
「あぁ。」
桃が冬獅朗の部屋から出てきた。
桃の帰りを待っていた杏が、桃に駆け寄る。
「どうだって?」
「うん。いつもよりは…いいほうかな?8度超えてたくらい。」
「マジで!?いっつもこんな感じなの?」
「うん。シロちゃんの場合はね。」
「…冬獅朗の…場合?」
何かと引っかかる桃の言葉に、杏は首をかしげた。
「シロちゃん、寒さには強いんだけど、暑さにはめっぽう弱いんだよね。何でなのかは、よくわからないの。」
「へぇ…。」
「…杏ちゃんは、何か知ら…」
桃が、杏に問おうと顔を上げたが、杏の顔を見て、言葉をとめる。
杏は、いつもと違う、真剣味を帯びた表情でどこか遠くを見ていた。
いや、正確には『見て』いるのではない。
杏はここに来てから、このような顔をすることが時たまあった。
そのときは何か考え事をしているのであり、心此処に在らず状態で、こちらの話など聞いているときなどなかったことを、桃は最近知ったのである。
杏が此処に来て、三週間が過ぎようとしていた。
桃は、そっとその場を退いた。
桃が去ったのにも気づかず、杏は思考回路をめぐらせていた。
最近、雪は強くなる兆しばかりを見せる。
もうそろそろ、春が来てもおかしくない季節。
それだというのに、ここら一帯はまだ、雪が降り続けているのだ。
そう、ここら一帯のみ…。
他のところも…というのなら、それでも信じ難いが百歩譲って認められる。
しかし、ここだけ…。
正確には、『この家の周辺のみ』なのだ。
「……この家の誰か…。いや、」
一度言葉をとめる。
信じられないというように、ゆっくりと顔を上げた。
「……冬獅朗…か。」
何ものをも射抜くような瞳を空へ向け、呟く。
その呟きを、ばあちゃんが聞いていたのを、杏は知らない。
杏は、冬獅朗の寝室へ入った。
- Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.19 )
- 日時: 2011/04/09 20:54
- 名前: 圭 (ID: jd/Z3uOx)
めずらしく、冬獅朗が熱を出しましたな(*´∀`)
更新がんばれーー!!
でわでわ(@´・ω・`)ノシ
- Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.20 )
- 日時: 2011/04/13 20:01
- 名前: まろんけーき (ID: Q9sui1jr)
第一章
第三節
『氷と風』(2)
桃が持ってきたお粥を食べ終えた冬獅朗は、布団に横になって寝ていた。
「おーい、寝てるかー?」
いつもと変わらぬおちゃらけた表情で、冬獅朗の目の前で手を振る。
反応がないため、本当に眠っているようだ。
杏は、一回深く深呼吸する。
そしてその手を冬獅朗の腹の上辺りに翳し、目を閉じた。
「…寒楼の手に渡りし氷の膂力。魁骸の旺牙、蔭雅の瑯獅。全てを瓢婁とする牙に安らぎを与え、蟠りを留めよ。」
静かに言霊を詠唱する。
身を劈く様な寒さが、心なしか徐々に和らいでいくような気がした。
「静まれ…氷輪丸。」
杏が目を開く。
ふっ、と唐突に外の雪が止んだ。
冬獅郎はまだ、目を覚まさない。
それを見て、杏は冬獅郎の胸に手を当てた。
「…コイツにはまだ、アンタの声は聞こえない…。お願いだから、大人しくしててね…?」
そういって、杏は冬獅郎の頭を撫でた。
どこか寂しそうな、悲しそうな顔をしていた。
暫くそのまま沈黙状態が続いていたが、ふと何かに気づいたように撫でていた手を再び翳した。
「コレ…風邪にも効くのかな…?」
語尾疑問形で杏が言う。
手に、ポウっと橙の淡い光が灯った。
その光は、静かに冬獅郎を包み込んだ。
荒く上がった息が少しずつ、ゆっくりと穏やかなものに変わっていった。
ほっと安堵の息を漏らし、暫くそのままの体制を保つ。
数分したところで、杏は橙の光を消し、立った。
その場を立ち去ろうとして、もう一度冬獅郎の方を振り向く。
「いつか必ず、迎えに行くから。」
そう言い、杏は部屋を出た。
最後の言葉は、誰に向けられたものかは解らない。
しかし、先程。
……氷輪丸。
確かに、杏はそう言ったのであった。
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