二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜
日時: 2011/07/28 16:37
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode=form

〜プロローグ〜

『俺、ずっとそばにいるよ!』

泣きそうだけど、精一杯気張った笑顔で、私の手を握ってくれた。


どうしてあの時、君の笑顔を思い出せなかったんだろう。

どうしてあの時、君の言葉を思い出せなかったんだろう。

どうしてあの時・・・

















『いつまでも、一緒にいるから!』

















あの日の約束、君は覚えてますか?

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Re: 守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜 ( No.16 )
日時: 2011/07/31 11:45
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode

           〜サッカー部へ!Part2〜

グラウンドへ戻ると、部員たちが外周を走っていた。先頭に立つのは、やっぱり守くん。キラキラした笑顔で、真っ直ぐ前を見つめてる。絶対に振り向かない。それはたぶん、みんなが自分についてくるって、信じてるから、なのかな。あの笑顔を見てると、さっきまで何かに悩んでいたことなんて、吹き飛んでしまう。ああもう!あれだけ悩んで、あれだけ肯定したり、否定したり・・・。なのに、守くんの顔をみたら吹き飛ぶなんて・・・。14歳、心の移ろいが激しい、久遠冬花です!

ベンチに行くと、春奈さんがタオルの用意、夏未さんがタイムを計っていた。
「お帰りなさい、お二人とも・・・って、冬花さん?!どうしたんですか、すごく可愛い!」
春奈さんの大声に、夏未さんが振り返った。
「あら、似合ってるじゃない。その色、あなたにピッタリよ。」
みんなに褒められて、思わずうつむく。そうすると、適当に転がっているサッカーボールが目に入った。すぐに、サッカーボール=守くんという連想が、頭に浮かぶ。なんて言ってくれるかな、守くん・・・。頬が熱くなるのを感じながら、唇の両端を上げた。
「冬花さん!」
「あ、はい!」
いきなり声をかけられ、地球から数㎝、飛び上がった気がした。もしその声の主が、守くんだったら、月まで行ってしまったと思うけど。
「悪いんだけど、部室にあるドリンクを取ってきてくれる?さっき行ったついでに、取って来ようと思ったんだけど、忘れちゃって・・・。」
秋さんが申し訳なさそうに言う。その時、私は、雷門中サッカー部のマネージャーとしての初仕事だ!と勝手に解釈した。
「わかりました!すぐに取ってきますね!」
変に張り切る私は、そう言うと、部室に向かって走っていた。
「棚の上にクーラーボックスがあるから、それごと持ってきて!」
背中に秋さんの声がぶつかる。よし、頑張るぞ!
私は、風丸くんほどじゃないけど、自分の中では最高のスピードで走っていた。

10分後・・・

お、重い・・・。重すぎる・・・。
私は、1つのクーラーボックスを肩から下げ、もう1つを両手で抱えていた。2つあるなら言ってよ〜、秋さん・・・。
しばらくすると、グラウンドが見えてきた。あ、シュート練習やってる。外周を走った後、そのままシュート練習に入ったのかな。それとも、私のドリンクが遅かったから・・・?
疑問と不安に駆られ、少し早足になる。
後少し、というところで、
「遠慮しないで、ドンドン来い!」
と言う守くんの声が聞こえて、思わず足を止める。ゴールの前には守くん。それに向き合うように立っていたのは、染岡くんだった。
「大した自信じゃねえか、円堂。・・・んじゃ、お言葉に甘えて!」
染岡くんは、そういうと、
「ワイバーン・・・クラッシュ!」
と、ゴールめがけて打った筈だったんだけど、
「オワッ!」
なんと、近くに転がっていたボールにつまずいて、全く違う方向に蹴ってしまった。・・・私に向かって!
「冬花さん!」
「マネージャー、危ないでヤンス!」
みんなの声が聞こえるけど、怖くて、足がすくんで動けない・・・!無抵抗な私に、龍をまとったボールは、グングン近づいてくる。もう駄目だ・・・!そう思って、ギュッと目をつぶった。だけど、
「マジン・ザ・ハンド!」
声が聞こえると、飛んでくるはずのボールも、いくら時間がたっても、ぶつからない。ゆっくり目を開けると、見えたのは青く輝くボールではなく、「1」と書かれたユニフォームだった。
「守くん・・・。」
「大丈夫か、フユッペ?」
そう言って、振り返ると、心配そうに私の顔をのぞきこんだ。丸い目、ちょっと日焼けした肌、オレンジの、バンダナ・・・。
ああ、守くんだ・・・。そう思うと、なぜか、守くんの顔がかすんで、体の力が抜けたような気がした・・・。
「お、おい、フユッペ!」
「「マネージャー!」」
「早く、保健室へ!」
みんなの、声・・・。だんだん、聞こえなくなってくる・・・。どうしたんだろ、私・・・。なんで・・・。

















目を開けて、真っ先に飛び込んできたのは、白い天井と、心配そうに私の顔を覗きこむ、守くんと、秋さんの顔だった。
「フユッペ!」
「目、覚めた?」
「私、いったい、何が・・・。」
ゆっくりと起き上がると、ここが保健室だということがわかった。冷たいベッドの感触。少しひんやりしている空気。なにがあったんだっけ・・・。
「冬花さん、いきなり気絶しちゃって、円堂くんに保健室に連れてこられたのよ。」
「守くんに・・・?」
必死に記憶をたどる。そうだ、私、覚えてる。グローブ越しに伝わってきた、ガッシリした手の感触。「フユッペ、フユッペ!」と、懸命に私に呼びかける、守くんの声。
思わず守くんを見やると、彼は照れくさそうに視線を逸らした。そして、スクッと立ち上がると、
「じゃあ、俺、練習に戻るから。ゆっくり休めよ!」
保健室のドアへと走る。
「あ・・・。」
と言いかけて、やめた。本当はそばにいてほしかったけど、守くんに、迷惑だと思ったから。自分のワガママに、付き合わせたくない。・・・そう思ったけど、やっぱりさびしくて。目を伏せた。
「あ、そうだ!」
守くんは、突然立ち止まると、振り返った。なんだろうと思って、顔を上げて見返す。
「フユッペさ、そのジャージ、よく似合ってるよ!」
その瞬間。私の心にも、綺麗な桜が咲いたような気がした。

Re: 守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜 ( No.17 )
日時: 2011/07/31 11:55
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode

Part1よりも長くなってしまいました。転校1日目だけで4話もあるって、すごくない?!

円堂くん、サラッと言ってしまいしたね・・・。秋ちゃんは多少なりとも、ショック状態に・・・。まあ、あなたには一之瀬くんがいるから、いいじゃないか!ということで!

次回!話が大幅に飛び、FF直前に!←飛びすぎだろ!
   円堂くんに体育館の裏に呼び出された冬花ちゃん!これは、もし   や、もしや・・・!

Re: 守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜 ( No.18 )
日時: 2011/08/01 22:10
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode

            〜突然の告白?!前編〜

それからしばらく経ち、今日はFF地区予選の3日前!私も、雷門中サッカー部のマネージャーの仕事にも慣れてきて、部員達にも、「久遠先輩」だったり、「久遠」だったり、それなりに慕われてきてる。何よりもうれしいのは、守くん。転校生の私を気にかけてくれて、教室案内をやってくれたのも守くんだし、方向が同じだからと言って、時々一緒に帰ってくれたりする。私がときめく強さも時間も、増えたのは、言うまでもない。
今は休み時間。私は、自分の席に座って秋さんに借りたノートを写している。別に風邪で休んだとか、そういう訳じゃない。転校初日からこの日まで、私は皆勤賞を取っている。ただ、「学校には来てるけど、ノートを取っていない」だけだ。
そう、守くんを思う気持ちと時間が増えたのはいいのだけれど、それが私の授業態度に問題を起こしているのだ。
守くんの席の斜め後ろになった私は、授業中、ほとんど無意識のうちに彼の横顔を見つめてしまっていることが多い。問題は、見つめているがために、ノートを取る筈の手が動いていないことだ。まぁ、見つめられている当の本人も、真面目にノートを取ってるんだか、わからない状態だけど・・・。

ノート写しが終わって、ふと前を見ると、守くんと豪炎寺くん、鬼道くんが、何やら話していた。と言っても、ほとんど守くんが口を動かして、後の二人はうんうんと頷いて、時々守くんにツッコミをいれる・・・みたいな感じ。考えてみると、あの3人は一緒にいることが多い。部活でもそうだし、廊下とかで見かけたりする時も、あの3人は一緒だ。時々、朝、並んで登校しているのを見ることもある。そんな3秒考えればわかることに、わざわざ3秒を費やしたりしないのは、そんな風景が当たり前になっているからだ。
こうしてみると、普段、口数が多い訳でなく、表情が豊かという訳でもない豪炎寺くんと鬼道くんが、いかに楽しそうかというのがわかる。頷いているだっだったり、呆れたりしているけど、何となく口元が緩んでいるような気がするからだ。「親友」という言葉が、あの3人にはピッタリだ。きっと、一緒にいて楽しいのが、「親友」なんだろうな。
そこまで思って、ハッとした。

私の親友は、誰?

秋さんや夏未さんと一緒にいるのは楽しい。だけど、その「楽しい」は、サッカー部のみんなと一緒にいる時の「楽しい」と、同じような気がする。クラスでも、特に親しい人がいる訳ではない。FF直前の今だって、クラスの女子からの呼び名は「久遠さん」だし、趣味とかテレビの話で盛り上がったこともない。もともと、人見知りで引っ込み思案な私は、自分からその輪に入ることもない。だけど、そうすると、親友どころか友達までいなくなってしまう。
余計に混乱して、親友、友達、親友、友達、親友・・・といった風に、一定のタイミングで「親友」と「友達」を交互につぶやく私は、いつの間にか、守くんたちから視線を外し、机の上に並ぶ、「久遠 冬花」と、「木野 秋」と書かれた、2つノートの表紙を見つめていた。
長い時間が過ぎた・・・気がした時、
「フユッペ?」
声をかけられて、顔を上げると、守くんがジーッ、と私の顔を見つめていた。
「守くん!」
びっくりして、大声を出してしまい、話声でにぎわっていたクラスが、一瞬静寂に包まれ、私に視線が集中する。全身の血が上るのを感じながら、小さな声(静かな教室では十分響いていたが)で
「・・・ごめんなさい。」
と言うと、また教室が話し声でにぎわう。ああ、恥ずかしい・・・!
「どうしたんだよ、フユッペ。ちょっと見てみたら、俯いてブツブツなにか言ってるし、声をかけたら大きな声だして驚くし・・・なにかあったのか?」
首を傾けて、守くんがいぶかしげに私を見る。「何もない」と言えば嘘になるけど、別に守くんに言うことでもないし、言うとしても、「私の親友と友達がわからなくなったの」なんて言ったら、守くんの性格上、「フユッペは俺たちの仲間だろ?」と言いだしかねない。
「ううん、なんでもないよ。」
笑顔で守くんにこたえる。守くんはまだ眉間にしわを寄せて、
「そうかぁ?・・・何かあったら、すぐ俺に言えよ。」
と言った。私のこと、心配してくれてるんだ・・・!そのことに、感動してしまう私。ああ、神様、守くんに心配をかけて、しかもそのことを喜んでいる私をお許し下さい・・・。
「うん。ありがとう、守くん。」
「ああ・・・。でさ、フユッペ・・・・。」
守くんは急に黙って、ソワソワし始めた。どうしたんだろう?すると、意を決したように、よしっと言うと、身をかがめて、
「放課後、部活が始まる前に、体育館の裏に来てくれ。」
そう私に耳打ちした。そうすると、
「じゃな。」
と言って、豪炎寺くんたちの下に戻った。
体育館の裏・・・ってなんだろう?サッカー部の話かな?でも、それだったら耳打ちなんてしないよね・・・。あれこれ思いを巡らせてると、休み時間の終了を告げるチャイムがなった・・・。

Re: 守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜 ( No.19 )
日時: 2011/08/01 22:11
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode

今度は前編・後編ものになってしまった・・・。つくづくごめんなさい。

桜、どうしたの?旅行にでも行ったのかな・・・。

Re: 守と冬花 〜ずっと、いっしょ〜 ( No.20 )
日時: 2011/08/02 11:09
名前: ニョキニョキ (ID: ikrpTGuK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel3/index.cgi?mode

           〜突然の告白?!後編〜
放課後、守くんに呼び出された私は、ジャージに着替えてから、約束の場所へ向かった。体育館の裏。ちょっと空気がひんやりしている感じがする、薄暗い場所だった。ゆっくりと進んでいくと、守くんが体育館の壁にもたれ、うつむきながら、何かを考えていた。
「守くん。」
そう呼びかけると、守くんはびっくりした様に、あわてて姿勢を正した。自分から呼び出したのに・・・。
「なぁに?何か話があるの?」
「あ、あのさ・・・えっと、その・・・。」
まただ。私をここに来るように言った時と同じように、ソワソワし始めた。視線が宙を彷徨い、体全体をもじもじさせてる。
「守くん?」
「えっと、その、あの・・・だから!」
「だから」という部分で、声が大きくなった。自分の背中が、ビクッ、と動いたのがわかった。
「俺さ、FFIの時から思ってたんだけどさ!」
そこで一旦言葉を切り、改めて私の目を真っ直ぐ見た。その瞳には、決意というか、心に決めたことが映っていた。























「俺は!雷門サッカー部のゴールも守るけど!・・・フユッペのことも、一生守りたい!」




















え?




















「俺、フユッペのこと、大好きだから!!」



















え?




















驚いて、言葉も出ない。頭の中で、守くんが言った言葉を、テープの様に繰り返し流す。
フユッペノコトモ、イッショウマモリタイ!オレ、フユッペノコト、ダイスキダカラ!
「ダイスキ」という言葉で、初めて頬が熱くなるのを感じた。守くんが、私のこと、大好きって言った。・・・大好きって!気温が30度ある訳でも、暖房がついている訳でもない、だけど、体全体が熱くなって、額から汗が流れるのがわかった。
やっとのことで、
「あの、その・・・守くん・・・。」
そう言ったけど、それを遮るように、
「フユッペ、あのさ。」
守くんが、赤い顔でうつむきながら言う。少し体を身構える。
「この返事は、FFが終わってから、聞きたい。」
「え?」
「もし、今ここで返事をされてら、ショックで立ち直れないか、うつつを抜かして、試合に負けるかのどっちかだと思うし、大会中に返事をされたら、絶対に俺、試合に集中できないと思う。だから!」
「うん、わかった。」
意外な程に、すんなり言葉が出て、自分でも驚く。守くんたちに勝ってほしい。その思いが、きっと私の口を、動かさせてくれたんだと思う。
「・・・いきなりこんな事言って、ごめん。FFの地区予選が始まる前に、けじめを付けたくてさ。しかも、いきなり言って、そんでもって返事はFFが終わってからとか、ほんと、勝手なこと言って、ごめんな。」
「いいよ、謝らないで。…早くサッカー部に行こう。キャプテンがいなきゃ、練習始まらないでしょ?」
私がそう言うと、守くんはそこで初めてサッカー部のことを思い出したように、
「そうだった!」
と言って、走り去ってしまった。告白はしても、やっぱり守くんは守くんなんだな。フフッと笑ってから、「告白」という言葉に、自分で反応して、カアッと頬を熱くさせる。告白・・・。私、守くんに告白、されたんだ・・・。ちょっと前のことなのに、まるで遠い昔のことの様に思えてくる。どうしてなんだか、わからないけど・・・。
自分を落ち着かせるように、フウッと息をはく。なんて返事をすればいいかな・・・。夏になる少し前。私は、初めて、人に告白された。しかも、私の想いひとに。


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