二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】
日時: 2011/08/27 12:43
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

はじめまして、♭(フラット)です!

バビロン【神様のメモ帳】をクリックしてくださって、ありがとうございます!

バビロンは、ボカロ曲をベースに進めていきたいと思います。

作者は基本アニメしか見ないので、原作様と相違点がありますが、気にしないで頂けると助かります!

あと、コメントをいただけるととても嬉しいです!ヽ(*´∀`*)ノ

オリキャラ出てきます!

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Re: 『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】 ( No.7 )
日時: 2011/08/27 19:36
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

 次の日。

「・・・・・・」

 椎名は学校を休んでいた。

 理由は分からない。でも、鳴海には思い当たることがあった。

(やっぱり、昨日のことに関係あるのかな・・・・・?まさか、平坂組につかまったんじゃ・・・・・)

 不安が募る。

「彩夏、ごめん・・・・・。今日は用事があるから、先帰るよ」

 一刻も早く椎名に会いたかった。

「えっ・・・・・。うん、分かった。じゃあね」

 そう言って、足早に学校を後にする。

 向かった先は—————————————。



「椎名日向の件だね」

 アリスは鳴海が入ってくると同時に、そんなことを口にした。

 鳴海は息を切らしながら事務所に入る。そして冷蔵庫からお決まりのドクぺを出してアリスに渡した。アリスはそれを受け取り、一気に飲み干す。

「学校にいなかったのだろう?」

「!どうしてそれを・・・・・・・?」

 いきなり核心づいたアリスの問いにギクッとする鳴海。

「僕をみくびるんじゃない。昨日、少佐に頼んで監視カメラを設置してもらったんだ」

 少佐というのはNEET探偵団の一員である。

 アリスはパソコンに向き直ると、手際よくマウスを動かす。

 カチッという音が部屋中に鳴り響き、パソコンの画面に映し出された画像を鳴海に見せる。

「これって・・・・・!!」

 その画像は、まさしく椎名のものだった。場所は、看護師がいるところから病院だろか?私服姿の椎名はいつもどおりの椎名だった。

「すぐ近くの大きな病院だ。数分前の画像だから、今すぐ行けば会えるかもしれない」

 アリスはそれだけ告げると画像を消す。

「ありがとう、アリス。それじゃあ、行ってくる」

 アリスに礼を言い、すぐに走り出す鳴海。そんな鳴海を静かに見守った。




 事務所から病院までものの数分で着いた。走ってきたので予想以上に早く着いたし、息も切れた。荒い息を整えながら病院の中に入っていく。

 病院の中の人たちは、鳴海をいぶかしげに見た。学生なのに、どうして昼間からこんなところにいるのだ、とでも思っているのだろう。

 しかし、鳴海はお構いなしに看護師に尋ねた。

「あの、僕と同じくらいの男の子が病院に来ませんでしたか?」

「・・・・・・ええ、来ましたけど・・・・確か、207号室に向かったと思いますが・・・・・」

「ありがとうございます」

 鳴海は急いで207号室へと向かう。階段を3階上がってすぐの部屋だった。

 207号室の部屋の名前には「名風真人(なかぜ まこと)と書かれていた。

 入ろうとした瞬間———————————。

 中から人が出てきた。


 椎名?


 いや、違かった。


 見たこともない青年だった。

 髪の毛の大部分が茶毛で部分的に金色に染まっている。目つきが鋭く、しかし顔立ちは整っていて四代目といい勝負だった。


 その青年は、鳴海を見るとニヤリと笑い—————————————


「——————————————!!!」



 鳴海の体に電撃が走る。意識が遠のく。




 青年は、鳴海の体にスタンガンを押し当てたのだ。

Re: 『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】 ( No.8 )
日時: 2011/08/27 21:44
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

「なっ・・・・!!べ、別に君の心配などしていない!ぼ、僕はただ、君がそう短絡的に物事を判断するから、それに対しての批判の持論を並べただけで、別に君を心配していったわけじゃないっ!なっ何を笑っているんだ君は!」

 昨日の顔を真っ赤にしたアリスの顔を思い出す。

 ゴメン、アリス。心配してくれたのに余計心配させることになっちゃって。




 目が覚めたとき、鳴海が真っ先に見たのは、やはりあの青年だった。

 青年は椅子に座って一人チェスを楽しんでいた。

「お、目が覚めたか」

 軽い調子で鳴海に話しかける青年。鳴海は警戒を緩めない。

「ここ・・・・どこ?君は、誰?」

「おいおい、一気に質問してんじゃねーよ。そうだな・・・・・・。まずは常識的に自己紹介からか。」

 にやりと笑う青年の顔は、一見見るとどこかのアイドルのような顔立ちだった。

「俺は、汐崎恭弥(しおざき きょうや)。お前、藤島鳴海だろ?」

「っ!!どうして、僕の名前を・・・・・・?」

「ああ・・・・。日向が逃がしたカモだからな。」

「っ!!じゃ、じゃあ、もしかして、君はトリニティ・・・・・・?」

 色気のある声を発せなくなり、代わりに色気のある笑みを鳴海に送った。本人は自覚していないだろうが。鳴海にとって、今の状況でそれをやられると恐怖以外の何物でもないものが植えつけられた。

「俺がトリニティをつくった。カラーギャングなんて呼ばれてるけどな」

 ということは、この人はトリニティの大元の人なんじゃないのか?

 いきなり現れた大物に、動揺を隠せない。

「そんなに不安がるなよ。別に、お前を取って食おうってわけじゃないさ」

「じゃあ、どうして僕をここに?昨日の仕返し?」

「おいおい、カモに仕返しするほど、俺たちは小さくねぇよ。・・・・・・・お前、平坂組と関わりがあるんだってな」

「!!」

 突如平坂組の名前が汐崎の口から聞かされ、身構える。

 まさか、目をつけられている平坂組の人質にしようって訳じゃないだろうな?

 そんなことをしたら、四代目に殺される。

 目の前の人間よりも、四代目による恐怖が打ち勝った。

「・・・・・平坂組の人が、薬を盛らされたって聞いたけど・・・・・そんなことをして、ただじゃ済まないと思うよ?あの人たちは、怒らせたら本当に怖いんだから」

「本当に怖いってのは、自分の情報をすべて握られたときだけだ」

 なおも楽しげにチェスをする汐崎。

「情報は武器だ。全てにおいて、最大のな」

「武器・・・・・・・」

「そうだ、武器だ。もし、俺がお前のすべてを知っていると言ったら、どうする?」

 鳴海はふと考える。

「・・・・・・・あまり、現実味がなくて信じられないから何とも言えない・・・・・。でも、他人に自分の嫌なところまで知られるのは嫌だな」

「そうだ、そこだ」

 汐崎は、手で銃のポーズをとる。

「誰だって汚点てのは隠したいもんだ。お前だってそうだろう?たとえば、人とのかかわりが苦手な自分はいつも一人。そんなことを、知らない他人に知られるというのは、どれだけ屈辱なことか、俺には分かる」

 人とのかかわりが苦手な自分はいつも一人。

 その言葉が妙に引っかかった。

「うーん・・・。学校がヤダくなっちゃったのかな?あんまり目立った子じゃなかったし。」

 彩夏の言ったあの言葉だ。

「・・・・・・・・!もしかして、今までのカモって・・・・・」

「お、気が付いたのか?そうだ、自分に汚点のある人間だ。他人に知られたくないようなものをもつ人間だ。そういう人間ってのは、情報を隠すために何でもする。ここまで言えば、分かるよな?」

 そういう、ことか。

 情報を人質にして、僕のように馬券を買わせたり。

 いや、もっとひどいことだ。

 四代目の言っていた麻薬や臓器売買にまで手を染めさせたのだろう。

「あんた・・・・・・!自分のやっていることが分かっているのか!?」

「分かってるよ。自分のやっていることを自覚できないやつってのは大抵自滅するんだ。俺はそこまで馬鹿じゃない。話をもどそう」

 交差させていた足を逆に変える汐崎。

「俺が、なぜ危険を冒してまでやくざに薬を盛らせたかわかるか?」

 鳴海は無言で汐崎を睨みつける。手足を縛られていないのでいつでも飛びかかれる状態だったが、今はあえてしない。できるだけ情報を聞き出したかった。

「組に汚点をつけさせるためだよ。薬だったら、一回飲めばどうしても抜け出せなくてもう一度、俺らに薬をくれと媚びてくる。そう、これが汚点だ」

「汚点をつくって・・・・・何が楽しいんだよ」

「楽しい?違うね、お前は何もわかっちゃいないな。これは娯楽を目的としているんじゃない」

 指をピン、と立てる汐崎。

「汚点をつけることによって、さっきも言った通り、知られたくない情報が増えるんだ。誰に知られたくないと思う?組全体で言えば、他の組だ。ほかの組に弱みを握られたくない。常識の範疇の心理だ」

「分からない。だからなんだっていうんだ?」

「トリニティの噂が広まっている。非合法なものに手を染めている。組の者は思う。ひょっとして、他の組も同じことをされているのではないだろうか?だったら、他の組に自分たちが薬を盛られた情報が出回る前に、トリニティと組んだ方がいいのではないか?って」

 分かった。

 そうして、他の組からも同じような考えをもたらされて、トリニティはたくさんの組と手を結ぶ。ほかの組にはばれないように、内密に。もし、ばれたとしても、弱みを握っているのだから、なにも口出しできない。

 つまり、組に汚点をつけるということは、汚点をつけた側にとっては操りやすいということだ。

Re: 『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】 ( No.9 )
日時: 2011/08/27 23:30
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

「だから・・・・・・平坂組の組員に薬を盛らせたのか」

「まあ、そうなるね。ま、平坂組にはちょっといろいろあって、それだけじゃまだ俺の気が収まらないんだよ」

 そう言う汐崎の表情の変化に気付く。明らかに、平坂組に何か因縁を持っているような険しい表情になった。

 その顔に見とれていると、汐崎は話を続ける。

「俺がどうして、目立たない人間を引き込んだかわかるか?」

 汐崎の問いにはやはり答えない。

「そう言う人間はさ、裏を返せば誰かを見下したいんだよ。ま、消えてもそれなりの理由のありそうな人間ってのもあるけれど、そういう人間は今まで自分が優位に立ったことのない人間だ。そういう人間が、ヤクザみたいなでかい組織より上の位置にいたら、さぞかし見晴らしがいい。だから、その優越感に浸ろうと協力的になってくれる」

 ニヒルに笑う汐崎。

 しかし、鳴海はまだ理解できなかった。

「それで?」

「?」

「ヤクザを操って・・・・・・それでどうするんだ?」

「・・・・・・・」

 明らかに何かある、と鳴海は勘付いていた。

 ここまでしてヤクザにこだわる理由は今のところ見当たらない。それ以前に、ヤクザに固執しているようにも感じる。そう、平坂組だ。

「平坂組と・・・・・なにかあったんじゃないのか?」

「・・・・・・・」

 今度は汐崎がだんまりになった。笑みを消し、鳴海を静かに見ている。睨みつけるのではなく、どこに入り込もうか探るような目つきで。

「・・・・・・・お前、思ったより勘が鋭いんだな。意外だよ」

「質問に答えて。僕には知る義務がある」

「無ぇよ、そんなもん」

「君だけがほかの人間の情報を持つなんて、不平等じゃないか」

「それが、俺の特権だ」

 汐崎が、再び笑みを取り戻した。足を崩して立ち上がる。またスタンガンを充てられると思い、びくっと身構える鳴海。そんな鳴海に大きくため息をついて肩をすくめる。

「もう、スタンガンはやらねぇよ。そこまでひどい人間じゃない」

「スタンガンを充てるとこをから、もうおかしいと思うけど」

「それもそうだ」

 自嘲気味に笑う汐崎。最初と少し、印象が異なった。

「なあ。もし、俺が平坂組を壊すって言ったら、お前はどうする?」

「・・・・・・止めるよ。全力で」

「全力、ねぇ」

 汐崎は、チェスの最後の一手を出した。

 キングの前にクイーンがいる。チェックメイトだ。

「何も知らないで飛び込むっていうのは一番無謀だ。敵を倒すなら、まず敵を知らなきゃならない。これは戦いにおいて、大原則だ」

「・・・・・・・」




「なぁ、鳴海。・・・・・・・トリニティに入らないか?」




 突然の誘いに、頭が真っ白になる。

「・・・・・・・スタンガンを充ててきたくせに、よくそんなこと言えるな」

「アレは悪かったって。でも、今度は本気なんだ。お前アレだろ、何でもかんでも自分のせいにしちゃうタイプだ」

「・・・・っ・・・・・」

 汐崎の言う通りかもしれない、と鳴海は内心思った。

「だったら、俺のところにこい。お前のその一番の悩みの原因がなくなる」

「え・・・・・・?」

「トリニティの奴らには、もしヤクザや警察に捕まったら、全部俺の所為にしろって言ってある」

「・・・・・・・・・!!」

「これは、俺の我がままで始めて、俺の我がままに付き合わせて、ひどいことさせてんだ。あいつらが重荷を背負う必要はない」

 後ろを向いていたから、汐崎の表情は分からなかったが、深刻そうだった。

「失敗してもいい。俺が全部責任を持つ。それくらいの覚悟がなきゃ、ヤクザになんてケンカ売れねぇよ。・・・・・俺が、お前の居場所をつくってやる。だから————————来ないか?」

「・・・・・・・ダメだ」

「何?」

「そんなの、ただの自己満足だ」

「・・・・・・・」

「人のこと、言えないよ。君だって、一人で背負いこんでいる。それじゃあ、誰かを救ったことにはならないし、ましてや誰かの居場所なんて作れやしない。そうだ、最初から、ヤクザにケンカを売ることから間違っているんだ」

 汐崎は無言になる。そして、静かに扉を開けて、階段を上っていく。

「・・・・・そうだ。俺は居場所なんか作れちゃいない。みんな、ハリボテだ。でも・・・・・・・」

「でも?」

「・・・・・・・」

 そこから先は何も言わなかった。

 汐崎は、階段を上り始めていた。そんな後姿を見つめ続けた。

Re: 『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】 ( No.10 )
日時: 2011/08/28 09:42
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

 数分経って、鳴海もこの部屋を後にした。

 外を出て建物を見てみると、ここはどうやら廃ビルだったらしい。

「や」

 声をかけてきたのは、何と椎名だった。椎名はいつも通りの明るい笑顔で鳴海を迎えた。

「椎名!今までどこに行っていたんだよ」

「ごめんごめん。ちょっと、あの後平坂組がいてさ。戻れなくなっちゃって」

 あの時、というのは競馬場にいたときのことだろう。

 椎名に誘われて競馬場に行ったとき、平坂組に鳴海がつかまりこの件について知った。

「でも、名前は言わないでくれたんだね」

「え・・・・・・」

「ほら、俺の名前。正直、名前がばれたらもうトリニティにはいられないなーって思ってたから、助かったよ。ありがとう、鳴海」

「あ・・・・・・・」

『俺が、お前の居場所をつくってやる。』

 汐崎が言った言葉だ。

 鳴海は居場所なんか作れないといったが、本当に周りに助けてくれる人がいなくて、追い込まれた人にとっては、トリニティは居場所になっているのかもしれない。

「・・・・・・椎名は、トリニティが自分の居場所だと思う?」

 椎名は鳴海を見た。そしてにっこりと笑って———————

「分かんない」

「っ・・・・」

 ガクッと肩を落とす鳴海。

「でも、リーダーがいるおかげで、毎日楽しいよ。仲間も増えて。俺、単純に悪さしないで集まってワイワイする方がいいなぁ」

「・・・・!」

 そうだ、椎名はあの時僕を止めた。

 全員が全員、汐崎のやり方に同意しているわけじゃないんだ。

「どうして、あの時僕を止めてくれたの・・・・・・?」

「・・・・・・怖かったんだ」

 椎名の表情から笑みが消えた。

「トリニティに関われば、薬を売ったりしなきゃならない。そうすればヤクザと関ることになるから、怪我をするかもしれない。俺のせいでそうなるのは嫌だったんだ。実際に、そういう人がいたから」

「・・・・・・・・そっか。ありがとう」

 全部俺の所為にしろ。

 そんなことは、人の心理で出来るのだろうか?

 少なからず、椎名は汐崎のせいにし切れていない。

 椎名は——————————汐崎を仲間だと思っているからだ。

「・・・・・・そういえば、病院にはお見舞いに行っていたの?」

「あれ?そんなこと俺言ったっけ?」

 ハッとしてしまった、という顔になる鳴海。

 しかし椎名はかまわず話をしてくれた。

「そう、お見舞い。リーダーは毎日行ってるよ」

「ええと・・・・・名風真人って人だよね。知り合い?」

「うん、まあそんな感じ。リーダーは昔からの大切な親友だって言ってる」

「大切な・・・・・?」

 毎日行っているくらいだからそうなんだろうな、と鳴海は心の中でつぶやく。

「鳴海も行ってみなよ。すっごくいい人だから」

「え・・・・・?あ、うん、分かった」

 どちらにせよ、名風とは会おうと思っていたことだから、次は病院に向かった。

Re: 『コメントください!』バビロン【神様のメモ帳】 ( No.11 )
日時: 2011/08/28 11:32
名前: ♭ (ID: Uvcwa5h/)

 さっきはスタンガンで意識が飛んだけれど、今回はもうそういうの無いよな?

 若干スタンガンをトラウマに持ちながら恐る恐る病院に入り、名風真人の部屋の前に来る鳴海。

 コンコン

「失礼します・・・・・・」

 入ると、そこにいたのはベットから窓の外を眺める人。

 こちらに気付いて、きょとん、とした顔をする。

「あ、ええと、初めまして、藤島鳴海と言います」

「・・・・・ふじしまなるみ・・・・・?ええと、どちら様?」

「あ、いえ、その名風さんの知り合いから聞いてきたんですけど」

「へぇー?俺の知り合い?もしかして、恭弥くんか?」

「あ、はい、そうです・・・・・」

 すると、名風は微笑んだ。

「そっか。恭弥くんの。また、紹介してくれたんだ」

「また・・・・・?」

「ああ、恭弥くんは俺が暇しないようにいろんな人を紹介してくれるんだ。ほら、俺は動けないからさ」

「動けない・・・・・・?」

 ハッとした。

 足を見る。

 タオルケットに隠れていて確証はないが、足があるはずのところにタオルケットのふくらみがない。それも両足。太ももから下がなかった。

「・・・・・・足、どうしたんですか?」

 不謹慎かな、と思いつつも尋ねてみる。

「あ、聞いてない?なんかさー、誰かに切り落とされたみたいなんだよねー」

「切ッ・・・・・そ、それ、大丈夫なんですか!?」

「うん?大丈夫大丈夫。別に死ぬわけじゃないんだし」

「でも・・・・・・一体誰に・・・・」

「うーん、よく覚えてないんだよねー、それが」

「えッ!?じゃあ、もしかして犯人も捕まってないんですか?」

「うん。ま、もう過ぎたことだしいいんじゃない?」

 なんて心の広さなんだ、と鳴海はあっけにとらわれる。

 いや、これは心の広さとかじゃなくて、もう、おかしいんじゃないかってくらいだぞ?

「過ぎたことでいいとか、そんなんでいいんですか?」

「ほら、今更そんなことを言っても、ってカンジ?もう、俺だって慣れたし、この生活」

「でも、親とか・・・・・」

「ああ、俺親いないし。見舞いに来てくれるのは恭弥くんとか」

 本当に気にしていないような口ぶりが、逆に怖かった。

 どうして、ここまで足を奪われて平然とし手られるのだろう。

「でも、本当に恭弥くんには悪いよな。赤の他人の俺をここまで面倒見てくれて」

「・・・・・・え?」

 赤の他人?

 大切な親友なのに、どうしてそんな言葉が出てくるのだろう?

「でも、普通いないよな?あったばかりの人間にここまでしてくれる人間。俺、恭弥くんのこと何も知らないのに、なんだか悪いなって思っちゃって」

「・・・・・・・」

「本当、飽きずに毎日よく来てくれるよ。すっごくいい人だよな」

「・・・・・・・」

「ん?どうした?」

 こちらのセリフだ。

 どうなっている?

 汐崎のことを何も知らない?そんなことあるもんか。だって、汐崎は名風のことを————————。

 言いそうになるが、口をつぐむ。

「はい、そうですね・・・・・・。あの、僕、これから用事があるので、帰りますね」

「ああ、今日は来てくれてありがとう。なあ、無理して顔を出さなくていいからな」

「・・・・・はい」

 部屋を後にして、頭を整理する。

 どういうことだ?

 汐崎と名風の関係は何なんだ?

 疑問が思いを馳せる。

 病院を出て数分——————————————。

「・・・・・・・!」

 暗い路地の奥で、誰かいる。

 白髪の男と茶毛で部分的に金髪の男。



 四代目と、汐崎だった。


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