二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【inzm】終わる世界に花束を、【魔法物語】
日時: 2012/08/04 17:51
名前: 颯 (ID: YWR4Zzw2)

    「こんな世界、崩してしまえばよかったんだ」


     (彼女が泣いた、ある日ある時の快晴の花畑は、今。)



      『イナズマイレブン二次創作、リメイク。』



目次→

【序章A】
episode00_01>>001
episode00_02>>002
episode00_03>>003

〜NEXT〜>>004



【序章B】

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Re: 【inzm】終わる世界に花束を、【魔法物語】 ( No.1 )
日時: 2012/07/26 18:50
名前: 颯 (ID: g./NUPz6)






episode.00_01



【Tears of the moon was suicidal dance under the surface】


ざぁん、と白波を立てる群青の海は大きな商船を揺らし、陸から離れた紺碧の世界へとそれを誘う。
バタバタと忙しげに、賑やかに。甲板を行き交う乗組員に交じり明らかに違う雰囲気を醸し出す男が、ひとり。



「上流階級で26件、一般階級3件か……もう少し値下げするべきか?」

古びた革張りの帳面を片手に、全身で潮風を受ける男。
船乗りらしい軽く動きやすい服装ではなく、重々しい深緑の布で頭から爪先までをすっぽりと覆った様はお世辞にも善人には見えない。時折覗く明るい茶髪は太陽の光を受け淡く輝き、この海上であっても炎を連想させるような鮮やかな赤い双眸からは様々な感情が見てとれた。


頭上では灰色の渡り鳥がふわり、ひらり、と空を舞い、ゆったりとした時間の流れを告げる。

「……平和だなぁ。」

白いハトは万国共通で平和の象徴だったか。
渡り鳥を見てそんなことを思うなぞお門違いもいいところだが、一回入った変なスイッチは早々もとに戻るものでもないのだ。

特に彼、俗称《トキキザミ》に関しては。



「天咲、お前ホント老けたなぁ!!」
「……うるせぇな、綱海のクセに。」


何時の間にやら隣でニヤニヤと笑うこの船のトップ。
基、船長は海原を背に、思い出した様に、問う。



「……なぁ、あれからどれ位たった?」


(さぁ、今生ではきっと、彼女の正体を暴けるようにと。)


「あれから、……4年と、3ヶ月。」


:→玉砕した月の涙は水面下で踊る



Re: 【inzm】終わる世界に花束を、【魔法物語】 ( No.2 )
日時: 2012/07/26 23:21
名前: 颯 (ID: g./NUPz6)






episode00_02



【It's lonely fate of Our Lady Assumed dependent patients】


「……弱いねぇ、君。弱い弱い。そんなんで僕に勝とうなんて、気が振れてるよ」

“頭、大丈夫かい?”
皮肉十割でそう言う女は、白い指を一本立て頬にあてがう。
貼り付けた笑みとは裏腹に細められた青の瞳に温度はない。よって生み出されたピエロのような笑顔が魅せるのは、恐怖かはたまた絶望か。

鬱蒼と生い茂る木からなる針葉樹林。光を求めて成長、空に近づいた木々のせいでお天道さまはおろか、日光さえそうそう見えやしない。あるのは木と湿気と冷気と女。

そして、



「“革命”ねぇ……。発想は良いんじゃないかな?ただ、現実味に欠けてるだけで」








赤黒い血と、地面に倒れ伏す少年。

少年の手には銃が一つ。おそらく護身用であるソレはこんな薄暗がりの中でも、鈍く輝く。息苦しいのか浅く速い呼吸を続ける彼の目も鈍く、焦点なんて露程も合っていない。

「……かん、ばら……さ、」
「君、松風……だっけ?もっと強くなりなよ、そうすれば見える世界も変わるんだから」

少年の手から鈍い黒を蹴飛ばし、女は諭す様に言う。




「あれから少なくとも4年はたっているんだ、」



(いつまでも正義を振りかざしていたら死んでしまうよ?)




何処か悲し気に笑う彼女は、きっといつかの、



「バイバイ、松風。」


:→それは憐れ孤独依存症患者の末路

Re: 【inzm】終わる世界に花束を、【魔法物語】 ( No.3 )
日時: 2012/07/27 16:45
名前: 颯 (ID: 31IKLfxT)






episode00_03



【It was forgotten secret code was encased in a lie.】


地上に居てはならないのならば、海に。
海に姿を現していけないのならば、地上に。

そして双方どちらにも存在してはいけないのならば、




「だから僕は空に居るんだよ、生憎まだ死にたくは無いんでねぇ?」

黒縁眼鏡を外し、分厚い歴史書から顔を上げる。青い瞳をしたこの浮遊船の主は、自分の前に佇む輩にニコと笑いかけた。輩の腕には国際騎士団の印が入った、腕章。


そう、輩は民に仇を成す悪を挫くもの。


「実告……お前、」

まさか、と顔を歪ませた客人に男は頷く。心底楽しそうに笑いながら。

浮遊船がグワリと大きく旋回する。雨雲でも見つけたのか。



「僕は、“僕ら”は逃げ切るさ。もう4年と3ヶ月……なかなか引けないらしい国家には悪いけどね」

“国際的指名手配犯”の片割れは嗤う。





(やっと風が此方に向いたんだ、僕らは諦めないよ?)

「ねぇ?国際騎士団団長、……円堂守君?」

男の手の中で、逮捕状がグシャと音を立てた。


:→忘れ去られたのは嘘で固めた秘密の暗号。


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