二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  44話更新 ( No.94 )
日時: 2010/05/25 18:51
名前: アビス (ID: DqPUcKdb)

45話
   しくさのたからもの




あれから数日たったある日、ソニックたち4人はクルトと長老の元にいた。
ソニックとスタークの怪我は思っていたよりも深く、時間を喰った。
長老の話曰く「ガルドロスの性質によるため」らしい。

そのへんの話しも聞くべく、今こうして伺っている。
長老は4人を確認すると口を開き始めた。

「ガルドロスの攻撃は物理的も圧倒的じゃが、どちらかというと・・・そうじゃの、
精神を蝕む・・喰うと言った方がいいかの?」

「精神を蝕む・・喰うってのは具体的にどういうことだ?」

「簡単な事じゃ。人は体を傷つけられれば痛む。だが、人は心を傷つけられても痛がる。
その心を食らうことでその痛みを強く、明確にするんじゃ」

「うう・・意味がわからん」

ソニックが頭を抱え悩む。

「つまり普通の攻撃に加えて、ガルドロスは精神面にも攻撃してダメージを増加させてるってこと」

ミルナが丁寧に説明する。長老がその通りじゃと頷く。

「お主たちが怪我のわりに回復が遅れたのもそのせいじゃ。体の傷は正直わしらのが手を出さんでも
良いほどじゃった。じゃが、心は体を鍛えたからって強くなるわけでもないからの」

長老はそこまで言うと顎鬚をいじる。

「それで、お主たちはあれをまだ倒すつもりなのか?
正直言うと、あれはまだ幼体。本来の3割の力も出しておらんぞ」

「・・・随分とガルドロスに詳しいんだな、じいさん」

ガルドロスの事実を知って驚くと同時に、スタークが言った。
長老は真剣な目つきでスタークを見ると

「伊達に歳はくっておらん。ワシの頭には世間には知られていないような事柄も
知っているんじゃ。ガルドロスもまた然り」

「・・じゃあガルドロスは以前にも現れたことがあるのか!?」

ソニックは驚きの声をあげる。長老は頷くと

「そうじゃ。まぁざっと200年ほど前じゃな」

「・・・・・」

途方もないほど前の話だ。というより、長命の竜人族でも、200年生きてるなんてその方が驚きだ。

「正直言って今のお主たちがどんな武具を揃えたところでガルドロスは倒せんよ」

4人が感じていたが口にしていなかったことを長老が言ってしまった。

「お主たち、これを知っておるかの」

そう言って長老が取りだしたのは白く光る不思議な鉱石のような物だ。

「これは先日ある者たちが見つけてな。古龍が100年かけて体内で形成するとまで言われる
超貴重な宝玉『八尺瓊勾玉』(やさかにのまがたま)の勾玉じゃ」

自慢気に言う長老じゃが、スタークとサラが黙り込んだまま、それぞれある物を取り出す。

「な!?それは・・・」

長老が驚愕する。二人が取りだしたのは同じような形をした鉱石だったからだ。

「『天叢雲剣』(あまのむらくものつるぎ)の勾玉と『八咫鏡』(やたのかがみ)の勾玉」

長老が信じられない顔でいる。二人も同じだ。

「信じられん。神の涙とまで言われた物が3つも揃うなど。じゃが、それゆえに残念じゃ。
あと一つ『草薙剣』(くさなぎのつるぎ)の勾玉があれば、もしかしたらと思ったんじゃが・・・」

長老が唸る。その時誰の声でもない声がソニックの耳に入る。

—大剣の塚を見なさい—

誰の声か分からない。だが、ソニックはまるでその声に導かれるように大剣の塚を見る。
するとそこには何かが刺さっていた。それを引っこ抜き見ると
同じ形のした、黒く光る鉱石があった。それを見た長老が体を震わす

「おお、それは正しく『草薙剣』の勾玉」

「ソニック・・・何時の間にそんなのを?」

「いや・・・聞こえただろ?大剣の塚を見ろって」

ミルナあはスタークの顔を見る。スタークは首を横に振る。サラも同様に否定する。

「おかしいな。確かに聞こえたんだが・・・」

ソニックの悩みを余所に長老は高齢とは思えないほど笑っている。

「そんな事はどうでもよい!今ここに奇跡が起きたんじゃ。わはははは!!」

どうやら、この勾玉が4つ揃ったことがそんなにも凄い事らしい。
いまいち実感が持てない4人を前に長老は狂ったようにハイテンションだ。

「先ほどはああいったが、これがあれば話は別だ。これがあればガルドロス相手でも
対等に戦えるはずだ。まったく、ワシは本当についてるな!!」

何か口調まで変わっている。
大丈夫なのか?笑い終わった後一気に老けて、お陀仏とかになりそうな勢いだが

「よし、一週間待て!そうすればこれを最高の物に仕上げてやる」

皆の心配を余所に長老は4つの勾玉を持ってどっかに行ってしまった。
取り残された5人。クルトが流れを作るために咳をすると

「とりあえず長老の言う一週間の間、この里で自由にしていてください」

「大丈夫なのか?じいさんにまかせちまって」

スタークが心配そうな顔で尋ねる。クルトは多少困惑気味な表情だが

「はい。長老の技術は里の者の足もとに及ばないほど高いと言われていますから、
任せてしまっていいと思います」

そういうと、クルトもどこかに消えてしまった。
とりあえず4人は各々一週間好きにすることにした。



そういうことであっと言う間に6日目の夜。ソニックは自分の部屋のベットでぼうっとしていると、
ドアのノックがする。そして入ってきたのはミルナだった。

「ミルナ・・・」

「ちょっと話・・いいかな?」



スタークは人知れず夜の闇に紛れ鍛錬をしていた。この6日間ずっとだ。
明日は約束の日。今日も何時ものように鍛錬していると、草むらから僅かに気配を感じる。

「だれだ?」

スタークの声に反応して出てきたのはサラだった。

「あ・・ごめんスターク。邪魔しちゃって」