二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 真選組★波乱日記★ ( No.592 )
- 日時: 2010/09/15 22:27
- 名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)
第百十二訓【他人の前で慌てる奴ほど確り者】
「宙翔。あっちに金魚すくいがるよ。」
「紀新は、いつにも増してテンションあがってるな。」
金魚すくいの片隅で、御祭定番のラムネを飲みながら宙翔は言う。
「いや、僕より沖田隊長とか友里亜補佐の方が楽しんでるようね…。」
紀新は、遠くにある輪投げ屋を指さして言う。
「…だなぁ。ま、お祭りだしいいでしょ。で、金魚すくいやる?」
「もちろん。今年は、沖田隊長とも射撃対決やるけど。その前に——。」
「金魚すくいで一勝負やりますか?」
勝つ気にあふれた笑みを浮かべる宙翔は財布から三百円を取り出し店の旦那に渡す。
「望む所だよ。」
そう言って、紀新は浴衣の裾をたくし上げ金魚のいる水槽に紙でできた網を入れる。
「こちらこそ。」
その行動に続いて、宙翔も同じ事をする。
果たして、決着はつくのだろうか…?
「って、うぅ…もう破れちゃったよ。宙翔。」
えぇ!!決着早っ!!何、紀新君弱くね!?始まって、まだ一分も経ってないよね!?人の前振り返せよ!?
「紀新はいつまでたっても、金魚すくいが苦手だな。」
宙翔は笑いながら言う…って、逆にこの人もう既に二杯目でよ器!?
「…宙翔。去年から気になってたんだけど、その金魚達ってどうしてるの…?」
濡れた手を、手拭いでふきながら紀新は言う。
「…さぁ。如何してるんだろうね?」
「えぇ!?何、何で疑問形なの?まさか、ちゃんと育てて——。」
そう紀新が言おうと思った瞬間、宙翔の愛鳥——徠が宙翔の肩にとまった。
「徠、如何したの?あ、みてみてコレ俺がとった金魚だよ。」
徠の頭をなでながら宙翔は金魚すくいを続ける。
その刹那、徠の目が一瞬光ったのを紀新は見ていた。
「も、もしかして宙翔。徠に金魚さんあげてない…よね?」
まぁ、誰しもそう思いますよね。
「…さぁ?多分食べてないと…思うよ?」
何でそこを満面の笑みで言う!?逆に怖いよ!?
てか、何!?マジで金魚を鳥にあげちゃってるの!?
「そ、宙翔。何で、そこあえての疑問形で僕に言うの!?それ以前に、何多分って!!」
「そのまんまの意味だけど。あ、五十匹で良いです。」
そう言って、宙翔は捕った金魚の半数を袋に入れてもらい其れを受け取り手にかける。
「さ、次行くよ。紀新。」
宙翔はそう言うと先ヶ歩いて行く。
「ま、待ってよ!!宙翔ぉぉ!!」
小さな不信感を抱きながら紀新もまたその後ろについて行った。