二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.31 )
日時: 2009/12/10 18:06
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: GRPIh4JV)

「ああっ、兄貴がっ!」

 オレンの実が無いことがわかりおどおどしていると、トレジャータウンの時にスリーパーといっしょにいたスリープがやって来た。「兄貴」というからには兄弟なのだろう。自分の兄がやられたことがわかると、スリープの顔つきが変わった。怒りと悔しさに満ちている。

「兄貴がやられるなんて……。ちくしょう、よくも兄貴をっ。くらえ、<ねんりき>!」

「うわあっ!」

 スリープの目が青く光ると、私は全身に切れるような痛みを感じた。まるで、自分が雑巾になってしぼられているみたいだ。もう戦いたくないのに。もう戦いは十分。傷つけあうことなんて、もうたくさん。……スリーパーとの戦いでかなりダメージを受けていた私は、もうダメだと思った。視界が少しずつ暗くなっていく。それでも、最後の敵を倒さなくてはならない。

「う、う……。<でんきショック>……」

 最後の力を振り絞って出した電気は、さきほどのスリーパーの時に比べてかなり弱い。しかし、見事にスリープに命中した。あんなに弱い電気だったのに、スリープはうつ伏せに倒れる。兄弟だというのに、バトルの強さは正反対だ。やった。最後の敵を倒した。

 でも喜んでいる場合ではなかった。「やった」と思ったのもつかの間。私ももう限界だった。最後のスリープの<ねんりき>で、残りの体力を使い果たしたのだ。視界は完全に暗くなる。そしてついに、足に感覚がなくなって、ばったりと倒れた。待って、ここで倒れたらダ……メ…………。

「わあ、大丈夫ですか!」

 最後にルリリの悲鳴が耳に入った。それから頭の中がぐるぐると回りだし、意識は遠のいていった。

                     *

「ぎゃあ、冷たあい!」

 急に顔に冷たい水をかけられて、私はパッと目を覚ました。隣を見ると、ミニリュウが驚いた表情で座っていた。同じく水をかけられて起きたらしく、きょろきょろしている。水をぶっ掛けて起こすなんて、強引だなあ。
 そうだ、体の傷は? 体を見ても、どこにも傷などは付いていない。あんなに死闘を繰り広げたのに、まったくの無傷だ。体力も十分にあるのか、気分も清々しい。ミニリュウも全然平気なようだ。

 状況がよくわからなくて瞬きを繰り返し、正面を見ると申し訳なさそうな表情をしたルリリがいた。

「ルリリ、無事だったんだね! よかったあ。それより、この水は?」

「あっ、その……。すみません! ミーシャさんたちが倒れた後、すぐにギルドのみなさんが来たんです。それで、傷だらけのミーシャさんたちを見てぺラップさんがオレンの実をすりつぶし、水に薄めて『オレンのジュース』を作り、飲ませたんですよ。傷は癒えたようですが、ミーシャさんたち、なかなか起きなくて。それで、ぺラップさんが“水でもかけておやり”って言うからぼくが<みずでっぽう>で……。す、すみません。ぼく、助けてもらったのに」

「そうなんだ。ううん、大丈夫だよ。ちょっと冷たかったけど。それより、ルリリは怪我とかない?」

 ミニリュウが安心して微笑むと聞いた。

〜つづく〜