二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キミに追いつくその日まで 【テニプリ】 オリキャラ募集- ( No.134 )
日時: 2010/03/15 13:28
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 −第10話−



「あーお!」(英二)
「ヒャッ き、菊丸先輩!」(蒼)

試合が終わった直後、コートから出てきた蒼に飛びつく英二。
蒼は驚いて、身動きが取れない。

「何のつもりー? 菊丸先輩」(蒼)

若干あきれ気味に、蒼が訊く。
菊丸はニッと笑った。

「かーっこよかったよー、蒼。 初心者とは思えないよー、あのスマッシュ」(英二)
「勝てなきゃ、意味無いじゃないですか」(蒼)
「そうかにゃー?」(英二)

英二のお気楽な態度に、なんとなくいらだちを感じる。
英二は続けた。


「でもさ、めっずらしーよね。 蒼が自分から、スポーツで勝負しようとか言い出すなんてさ」(英二)


そう言われれば、そうだ。
自分が勝つことは、なんとなく想像できた。
テニス部になんて、入るつもりもなかったのに。

どうして、自分は・・・・

蒼は、まだコートの近くにいる葵を見る。
そして、自分にいつまでもくっついている英二を見た。

「どったの? 蒼?」(英二)

よく分からない、だけど。


「ちょっと、困らせてやりたかったの。 葵先輩を」(蒼)


蒼は、消えそうなくらい小さな声で呟く。
英二には、しっかり聞こえているが。

「でも、失敗した」(蒼)

「俺はね、蒼が負けて良かったって、思ってるよ?」(英二)

「え?」(蒼)

それは、どういう意味?
いつもの余裕そうな蒼は何処にもいなく、リーダーシップを取り皆を引っ張っていく蒼もいない。
英二のその言葉に、動揺を隠せない。

「・・・先輩?」(蒼)
「あのね、蒼。 聞いてくれる?」(英二)
「はァ・・・」(蒼)

英二は、深呼吸を1度した。

「俺はね、蒼のコトが好きなんだよ? 
 だから、同じスポーツをして、“トモダチ”から“仲間”になりたかった」(英二)

思いがけない言葉に、返す言葉が出ない。
蒼は黙っていた。



「でもね、もう“仲間”じゃ物足りない。 “恋人”になりたいって、思うよ?」(英二)



「蒼はどう?」と英二が訊く。

そうだ、自分はきっと、嫉妬していたんだ。
初めて会ったときも、自分を勧誘しに教室へ来たときも。
アナタの隣には、あの人がいた。

そんなコトが気になるのは、なんでだろうね?

答えは、もう、胸の中に。



「あたしも、です。 たぶん」(蒼)



まだ、自分の気持ちに確かな自信はないけれど。
たぶん、この、言い現すことの出来ない想いのことを、“恋”っていうんだよね?

「・・・たぶんって、何んだよー 蒼ー」(英二)
「“たぶん”は“たぶん” たぶん、好きなの」(蒼)

蒼に、いつもの調子が戻る。
英二に向かって、明るく笑った。

そんな蒼に、英二はタジタジなワケで。

「蒼にはかなわないにゃ」(英二)

蒼に聞こえないように、小さく言う。



「瑞生ー!! このユニフォーム、貰うねー」(蒼)
「はァ?! ナンデ!!」(瑞生)
「ほら、どうせあたしがレギュラーになるからv」(蒼)
「意味不明だろ! オレもレギュラーになるっつーの!」(瑞生)
「アハハー」(蒼)

笑って誤魔化しながら、開いているロッカーに自分の名前を書く。
そして、そのユニフォームを入れた。

「わ!! バカ!」(瑞生)
「えへへ」(蒼)

「コラ、2週間後のランキング戦に勝ってからだよ、ユニホームをしまうのは」(澪)
「そうだよー」(葵)

澪と葵が、笑いながら入ってくる。
その後ろには、バスケ部の蜜柑も。

「あ、蜜柑」(蒼)
「蒼ー お疲れ様ー」(蜜柑)

「「え」」(葵・瑞生)
「?」(澪)

「し、知り合いだったの?!」(葵)

「言ったじゃん、“昼寝仲間”って」(蜜柑)
「ウソでしょ! 名字で呼んで癖に!」(葵)
「そのほうが、おもしろそうだと思って(笑」(蜜柑)

蜜柑と葵が言い争いをしていると、後ろから蒼を呼ぶ声。


「帰ろー 蒼!」(英二)


部室の扉を開けながら、蒼は部員の皆を見渡す。
葵を含む、自分の、初めて仲間達。
そして。

「手、つなごっか?」(英二)


初めての、大好きな人。


このテニス部で、頑張ろう。
たくさんの新しいことを見つけられる、この仲間達と。