二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.812 )
- 日時: 2010/05/05 23:27
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ダイスキダヨ。ズット、ズット。イッショ。ネ、アリス。
*+第二百十七話+*
***[唖李栖視点]
薄々、気が付いていたんだ。
彼女が、輪廻が、時折寂しそうにするから。
分かっちゃうんだよ??
『怖い』
そう言った君の目からは、泪が零れ落ちている。
でもさ、
ダメだよ。
逃げちゃ、ダメだよ。
君を変えてくれた彼らを、
手放しちゃ、ダメなんだ。
「あ、寝ちゃった」
ソファでぐっすりと寝ている姉を見れば、自然と頬が緩む。
嗚呼、今は、4時か。
「部活、やってるかな」
左手が疼くんだ。
この状態じゃ、何するか分かったもんじゃないな…。
「ははは…」
乾いた笑いしか出ない。否、出来ないのだが。
「っ!! 仕方ない…」
きっと、目が覚めたら、輪廻は正気に戻っているだろう。
そういう子だからね。
本当は、もっと頼ってほしいんだけど。
本人が望んでないから、それは無理だろうな。
「あ、もしもし。今から、行っても平気ですか?? えぇ、色んな人と試合、したいんです」
僕はある人物に電話する。
『あぁ、構わねぇ。さっさと来るんだな』
プツンと、相手は電話を切る。
さて、じゃぁ、行こうか。
傍にあったパーカーとテニスバッグを持って外に出る。
***
「あとべー。何で、今日は6時まで部活なんだよー。疲れるCー」
ブスッとしながら、ジローは跡部に言う。
「急な客が来るんだとよ。まぁ、楽しめるんじゃねーの??」
ニヤッと跡部が笑えば、岳人は「マジ??」と呟いて。
「せやけど、そんな客人に負けへんで?? レギュラーは」
忍足が言うと、跡部は少し眉を寄せる。
「聞いてたのか、忍足」
跡部が言った途端だった。
風がサァーっと木の葉を揺らす。
そして、階段の上にはニヤッと笑っている男の子。
水色のパーカーが特徴的で。
もちろん、自分のだ。
ブカブカのパーカー。
これを、象徴する人物は、一人しか居ない。
「やっと、来たか。唖李栖」
跡部が言うと、みんなは唖李栖を見る。
だが、いつもの笑みはなく、ニヤリと笑っていて。
「試合、しようぜ?? 左手が、疼くんだよ」
唖李栖が言えば、跡部は勿論、全員が驚く。
口調にも驚いた。
だが、もっと驚いたのは、
“利き腕”
彼は、“右利き”だったはずなのに。
「今まで、嘘付いてた、ってコトだな」
宍戸の呟きに、ニコッと笑って唖李栖は答える。
「ねェ、俺を倒せる?? 答えは、“NO”だ。せいぜい、俺を楽しませてよ」
それは、本当に唖李栖なのか。
いつもの、笑顔は何処へ——————————————………。