二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】幻想郷放浪記【オリジナル】 ( No.61 )
- 日時: 2010/10/09 22:04
- 名前: 昨日の今日 ◆7LxmAcs00. (ID: t51BWMGM)
俺はさとりをちらりと見た。
その顔はひどく疲れたように見える。
いままでも疲れることをやってきたのだろうが……深く気にしないでおいた。
「おじさんおじさん」
「ん、どうした」
「結局のところ、さとり様って何があったの?」
いきなりなんだと言うんだ?
さっきもそのことについては説明したし、そのこともお燐は納得していた。
「……なにって、さっき説明した通りだぞ? 俺が頭を撫でようとしたら、さとりが急に——」
「本当に? 本当にそれだけ?」
「……どういうことだよ?」
訳が分からない。俺が体験したすべてを話したつもりだ。
えーとね、とお燐は前置きをし、
「フラッシュバックなんて、そうそう起こるもんじゃないんだよ?」
「そりゃそうだろ。それだったら今までに何回も起こるはずだし」
「そう。つまり、そこまでに繋がる『なにか』があるはずなんだよ」
『なにか』?
確かにお燐の言うことは当たっている。
今さっきのフラッシュバックであれだ。
これまでにも『きっかけ』は幾つもあっただろうし、もしそうならさとり本人の体が持たない。
しかし、さとりは一切過去のことは思い出さなかった。
つまり。
「つまり、さとり様は極度のストレス、若しくはそれに準する『なにか』を受けたってことじゃないかな?」
「……まあ、確かにそうだな」
「で、その『なにか』が、過去に受けた虐待に繋がって、おじさんの差し伸べた手が、虐待をされる風景に重なったらとしたら……」
「さとりは、フラシュバックする?」
そう、とお燐は短く、しかしはっきりとした声で断言する。
「けど、私はさとり様がそういうことを受けているとは聞いてないから、おじさんなら知ってるかなって思ってさ」
「いや、俺もそういう事は聞いてな——」
待て。
俺は、前にもこういうことを聞いたことがある。
思い出せ。
さとり、フラッシュバック、ストレス、それに準する『なにか』、過去に虐待、父母が、妹が生まれ……
妹?
『私のお姉ちゃんが狙われているの』
「——ッ! そうだよ! こいし! さとりの妹が言ってた!」
「こ、こいし様が!? 詳しく聞かせて!」
俺はこいしに会ったところからすべて話した。
お燐は、神妙な顔で黙って聞いていた。
「さとり様が、誰かに……?」
「ああ、こいしは確かにそう言っていた。さとりが部屋を出て徘徊し始めたのがおかしいとか」
「……確かに、さとり様は部屋からあまり出ないタイプだったから……」
部屋に沈黙が流れる。そこで俺達は完全に手詰まった。
足りない。さとりを救うには情報が足りなさすぎる。
そもそもこいしの様な情報が希少なのだ。
その希少な情報さえ、『誰かに狙われている』ただ一つだけ。
聞き込みをしている間にさとりが狙われるかもしれないし、そもそもここには何人住んでいるのか分からない。
「……あーもう! さとり様がこんなにも困っているのに……!!」
「落ち着け。俺達が叫び声あげてどうするんだよ。まだ何かやれることがあるはずだ、何か……」
「……そうだよね。それに、幸せそうなさとり様の寝顔を壊したくないし」
「だな。ホント、いい顔で眠ってんな……」
ソファで眠っているさとりの顔を見る。疲れている表情だが、どこか暖かい感じの表情だ。
この顔を壊さない為にも、そして、俺自信の誓いの為にも——
俺達は、さとりを守ることを決意した。
遅くなってしまいました。申し訳ないです。
少しは上達してる……といいな。
今回は祝第四十話です。
今までは女性をぞんざいに扱ってきたおじさんですが、この事件をきっかけに色んな困った人を全力で助けることを心に誓います。
ここからおじさんの新たなスタート、ってわけです。
その一人目は、古明地さとり。彼女の暖かな『顔』を、いつもの『日常』を守れることは出来るのでしょうか。
これからのおじさんの活躍に期待!ってところで今日は締めさせていただきます。
ではではー。