二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナズマイレブン】〜試練の戦い〜え、参照6000? ( No.372 )
- 日時: 2011/03/25 14:03
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: ZgrHCz15)
- 参照: 1ページ目。今回はスパイみたいだww
蓮の提案どおり、埠頭へ行く4人の少人数グループが作られた。
チームのリーダー格である円堂、鬼道、そしてついて行くと言い張った風丸、鬼道の推薦により蓮。
ユウのスポーツショップに仲間を残し、蓮たち4人は埠頭に向かった。
川を北上するにつれ、家はどんどん減っていき、やがて工場が並ぶ工業地帯になった。工場の煙突からは黒い煙が天を汚すように立ち上がっている。
辺りの空気は心なしか汚れていて、煙っぽい気がする。辺りに木や草の類が見受けられないせいだろう。蓮たちは何度も咳き込んでいた。
また、汚れているのは空気だけではない。川の水も濁り、底が見えない。愛媛は人の心のようだ、と蓮は思う。
ユウの話によると、川や空気が汚染され始めたのは、子供が攫われるようになってからだという。今の環境は、愛媛の人々の心を映し出す鏡のようなものだった。子供を解放すれば元に戻るかな、と心内で呟き、埠頭に足を進める。
しばらく歩くと、ようやく埠頭が見えてきた。高い塀の向こうには、左右に広がる貸し倉庫。ペンキは真新しく、最近舗装されたばかりのようだ。ただ屋根だけは潮風でさびてしまっている。近くに荷物を持ち上げる赤いクレーンが寂しく佇んでいた。上空では、のんきにかもめが鳴きながら空を舞っている。日差しが強い。
倉庫の向こうは当然ながら海に面している。簡単に超えられてしまいそうな車止めの向こうに、工業用物質が溶け込んでいる色をした海水が揺れていた。日が反射して
円堂たちは、横に伸びる高い塀と塀の間に作られた、閉じられた鉄扉の間から中の様子を垣間見ていた。潮風が時折吹くものの、生ぬるく心地よくない。潮風で鬼道の青いマントがなびいて音を立てている。
蓮だけは、鉄扉の脇近くの塀上に設置された妙な看板に目が行っている。白地に『真・帝国学園』と明朝体で大きくプリントされた謎の看板。しかし、風丸に袖を引っ張られ、鉄扉の中を見た。
「あ、さっき逮捕された奴らがいっぱいいるぞ」
円堂が声を潜めながら鉄扉の向こうを指差す。海寄りの倉庫の扉の前には、先ほど逮捕された男と全く同じ姿・体格の男が立っていた。腕を組み前をじっと睨んでいる。こちらには気づいていないようだ。
さらに、波止場近くには、やはり同じ姿の男が十人ほど歩いている。パトロールなのか、波止場の道を行ったり来たりしている。
「何か守っているようだね」
蓮は水面を見ていたので、眩しさのため目を細めながら呟いた時。波止場を歩いていた男の一人がこちらに向かってきたので、円堂と風丸は鉄扉から見て左に、鬼道と蓮は右の塀に咄嗟(とっさ)に隠れた。四人とも強張った顔つきで互いを見やると、恐る恐る鉄扉の向こうに視線を送る。
男は倉庫の前に立つ男に何か声をかけ、倉庫の前に立っていた男と共に倉庫の中に消えた。
蓮は円堂と風丸を手招きし、円堂と風丸が素早く鉄扉の前を横切った。中の様子を窺う鬼道と蓮の横に来ると、同じタイミングで安心したようにため息をついた。
「ああ。あの倉庫に、木暮が閉じ込められていても不思議ではない」
落ち着いたところで鬼道が蓮に同意するように言った。鬼道の横から港の様子を観察している蓮が、波止場前をうろついている男を指差し、何気なく言葉を零す。
「あの男たちって、複製かなにかしたロボットみたい」
再度倉庫から男たちが出てくるのを見つけ、蓮と鬼道は身体を塀の方に引いた。鬼道は塀に背を当てながら腕を組む。
「あの石といい、あの連中といい、エイリア学園には、高度な科学技術があるようだな」
「本当。でもロボットくらいなら人でも作れそうだよね」
〜つづく〜