二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【D灰】…空白の歯車…8/2up…? ( No.137 )
日時: 2010/08/09 10:10
名前: なさにえる (ID: G9UEx1he)

>>アリス

むふふ〜♪
どうなるんでしょうねぇ←

ハイネ「もったいぶるような話じゃネェだろ」

ひどいッ!?


>>風

うちのpcのせいなのかな……謎だ。

おぉう!!!マジですか。
変なこと書いて脳天にダーツ刺さんないように気をつけます←



            エクソシスト
     第5夜   Side.聖職者


さて、『毒蜘蛛』でまさに修羅場が繰り広げられている頃、エジプトのとある建物から現れた二人組がいた。

一人は青髪をオールバックにした長身の男、切れ長の紅い瞳は鋭い視線で周囲に警戒を怠らない様子で進んでいる。

「てっさいあさん、早いですって」

少し遅れて二人目の少女が建物から走り出た。
淡い赤茶色の髪にハシバミ色の瞳をして走る少女は、少し目を離したら勝手にいなくなっていそうな雰囲気を放っていた。

親子とも兄妹とも言えない二人組に共通するのは黒と銀を貴重にした服と胸元に施された複雑な十字架__俗にローズクロスと呼ばれるソレはヴァチカン管轄の黒の教団を示すマークであり、エクソシストの証明である。


「でもさ。こむいさんもなんでわざわざエジプトの研究機関にお偉い様が来るからってわたしたちよこしたんだろうね」
そう言うのはエクソシストのグロリア・カンパネルラ。さっきの敬語は何処へやら。今は普通の口調で話しかけている。

隣に立つ男__テッサイア・J・ロマーリオは何も言わない。

「……てっさいあさん?」
「…………」
「まだ、今朝のことで怒ってるの???」
「…………」










それは今日の朝方。
任務前に出来たフリータイムをテッサイアはジョニーを捕まえてチェスに興じていた時のことだった。

結果はテッサイアの優勢。
すでにジョニーのクイーンも落としてあとはこのままキングを追いつめるまでになっていた。

「どうするジョニー」

いつもの任務で見せる冷静沈着な面とは違う純粋に楽しそうな表情を目の前のジョニーに向ける。
ジョニーは眉間にしわを寄せて盤上を睨みつけるが突破口は見つからない。
「ん〜〜〜〜」
長考の末、ポーンをキングの盾に回したがテッサイアのルークがすぐにポーンを奪う。

それを見てジョニーの眉間には限界までしわが寄った。


 __もう少しだ__

そう考えて最後の詰めを頭の中で描いていた瞬間。

「だああぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「きゃあああぁあぁぁああぁ!!!!!!!」

突然、食堂に二つの悲鳴のような叫び声がふってきた。そして音源もまた文字通り降ってきた。

激しい音をたててチェスがおかれている机にラビとグロリアが倒れていた。


「どっ、どしたの!?二人とも」
ジョニーが驚いて尋ねた。

「い、いやぁ。ちょっと伸が上手く出来ネェから練習しようとしたらやりすぎたさ」
「いきなり突っ込んで来て避けようとしたら服持ってかれて気がついたら食堂に投げ出されてた」
じとっとした視線をラビに向けるグロリア。
「うわっ、なんさその視線!!!オレのせい!!オレのせいなんさ!!?」

「…………お前ら」
振り絞るような声でようやく二人はテッサイアの存在に気づき……その剣幕に思わず冷や汗を流した。

「てっさいあさん……?」
「どうしたんさ、テッサイア……」
おそるおそる聞く二人にテッサイアは二人が見事にめちゃくちゃにしたチェスを指差した。
駒はそこら中に吹き飛んでもとの配置が何処だったなど見当もつかない。

「「あ………」」

呟くと同時にこれから起こるであろう光景が思い浮かんだ。そして、、、




「……とりあえず、俺の勝利したであろうチェスの代償はこれぐらいで勘弁してやる」


散々皮肉を織り交ぜた説教を聞かされて、二人はようやく解放された。
まぁ、ソレで許した気配はみじんもなく__よりにもよってグロリアなどは次の任務まで一緒という始末で____




同じ任務でも雪、ブックマンと共に平和な様子でロシアにいったラビのことを恨めしく思いながらグロリアは現在に至る。
いつも任務はマイペースに自由にこなすグロリアだがさすがにこれはやりにくいものを感じていた。


  ……
「あと五時間十七分だ」
「なげぇ」
「文句を言うな」
「だってよ。これが文句を言わずにいられるか」
「あえて喋るな」
「な……」
「というか、永遠の眠りにでもついてくれ」
「無理に決まってんダロォが!!!もうそろそろもう一度キレるぞ!?」
「今度は私も容赦しないぞ?」
「__
  ……


なにやらもめている男女が横を通り過ぎた。

____ぐっとタイミング♪
     こういう出来事で、話題をふるんだ!!!____


「なんかもめてるみたいですね」
「…………」
「あの人たちカップルなんでしょうか」
「…………」


____あ、だめだ。日常風景で沈黙打開作戦失敗。____



聖職者がやることとは思えないことで頭を悩ますグロリア。そして、現在もテッサイアは一言も発さずに歩みを進めている。

「……」
「……」



____あ、やっぱこの沈黙無理。____


沈黙に絶えかねたグロリアはいつもの調子で話しかけることにした。



「てっさいあさ〜ん、とりあえず一度おおd____

__大通りに出ましょうよ__

そう続けようとしたがそう言い切る前に不意に立ち止まったテッサイアを見て言葉を飲み込んだ。



「て、てっさいあさん___?」

しかし、グロリアの言葉に応えずにテッサイアは突然ははしりだすと助走をつけて屋根の上に飛び乗った。

「ち、ちょ!!!てっさいあさん。屋根の上るなんてなにしてんですか!!!い、一応は屋根も個人の持ち物ですよ。不法侵入ですよ(多分)」

しかし、テッサイアは気にせず屋根をほとんど音をたてずに走っていく。別にアクマらしい騒ぎの声が聞こえるわけではないのだが___



「ちょっとまってくださいよぉ!!!」

グロリアは叫んで…………とりあえず、屋根に登って追いかけることにした。




屋根をかけるテッサイアの影を追って必死に走る。
途中何度かつまずきかけたがどうにか落下をまぬがれながら、立ち止まっていたテッサイアに追いついた。



「もう、てっさいあさん。いきなり何処行くんですかぁ」


そして、テッサイアが見下ろしていた通路を見て思わず言葉を失った。


その通路に広がるのは拡大を続ける血ノ海とモノ言ワヌ骸達……そして、中心に立つ黒髪に怪しいほどの輝きを放つ紅い瞳をもつ少女。

「随分騒がしい子が来たね。アンタもエクソシスト?」



顔に紅いシミを残した彼女は満面の笑みをグロリアに向けてきた。



____美シク
  ______妖艶デ__









                   __________危険ナ笑ミヲ