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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA...竜に仕える少女 ( No.73 )
- 日時: 2010/05/08 15:20
- 名前: こと (ID: Fn07flnU)
- 参照: http://名前戻したよ!
...十三章...【初めて殺した人の名】
七年後、僕は十二歳だった。
僕は主に色々な体術から知識まで教わって、すっかり力がついた。
ある日。
もの凄く嫌な予感がした。
僕は足音を忍ばせ、洞窟の出入り口に近寄る。
柄に手を掛け、刀を抜く。
金属と金属は激しくぶつかった。
相手の方を見てみると、そこには、同い年くらいの男がいた。
高く結い上げられた髪。青い着物。白い袴。白い襟巻き。
「君、名前は?」
男は聞く。
「仮の名前は【琴羽】」
「仮…?」
彼は僕の答えに少し眉を寄せた。
「僕は早瀬希里。よろしく?」
言葉と同時に、彼は僕に斬りかかる。
僕は彼の動きを先読みし、彼ごと刀を押しのける。
「わわ…っ」
彼はバランスを崩した。
その隙に、僕は彼の左胸に、刀を刺した。
「うがぁぁぁぁっ!!」
彼は絶叫すると、地面に背をつけて倒れる。
傷口からは、血がどくどくと溢れ出した。
「一つ…お願い、していい、かな…?」
「何…?」
「僕の代わりに、生きて欲しい。【琴羽】としてじゃなく、【早瀬希里】として」
「どういう意味?」
「さっき、君は、【琴羽】は仮の名前だと言ったよね」
「うん」
「なら、本当の名前は、【早瀬希里】にしてくれないかな?」
「分かった」
僕は彼の手を取って握る。
すると彼は、静かに笑って、そのまま二度と起きる事はなかった。
僕は彼の綺麗な白い襟巻きを取った。
それから、僕は【早瀬希里】と名乗るようになった。
それが、彼への精一杯の供養だと思ったから。
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