二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂 (何でも) ( No.87 )
日時: 2010/07/26 20:59
名前: スケさん (ID: PfIgrp5a)

第十二訓 居酒屋に来たらまず愚痴を


俺は常々思う。世の中は不条理にできている。

俺という存在…それはマダオでしかない事実。

この事実をどうにかして、俺の前から葬りたい。

だが、それは無職である自分にとっては変えがたい壁。

そう、壁なんだ。

壊す事も、貫通する事も、登ることも出来ない…マダオの壁。

最早、俺には成功という二文字は存在しないというのか———。

 ☆

「どう思う、銀さん?」

長谷川と銀時は、屋台の居酒屋で飲んでいた。

その会話の中で、長谷川が『俺って何?』と頭の中で不意に思ったのだ。

頭の中で自問自答をしている時に、ふと気になって銀時に考えていた事を話してみた。

その結果…「どうもこうも知ったこっちゃねぇよォ」と、あっさり言われたのだった。

「そっ…そんな言い方しなくてもいいんじゃないのォ!」

座っていた席を立ち、銀時に怒りの指を衝きつける。

長谷川の反応を見た銀時は、「まぁ落ち着け」という手の合図を出し、長谷川を席に座らせた。

そして、語る。

「い〜〜かァ長谷川さん。よく聞けよ、あんたにはダメなところが多すぎるんだよォ。」

「ダっ…ダメなところ?」

真剣な顔で聞く長谷川。

「そおォ…ダメなところが———」

「具体的に言うと?」

ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

もの凄く長い溜息が、銀時の口から噴出した。

「なっ何だよ!そのため息は!?いかにも『こいつダメだわ』って、表している溜息は!!」

「だって、実際あんたマダオじゃん。」

「悪かったよ…それで、そのォ具体的には?」

コップに入っている酒を一気に飲み干した銀時は、長谷川の悪い点を言い出した。

「長谷川さんよォ〜ぶっちゃけた話。あんたの生活を知っている俺だから言うけど………まずは、無職。」

グサッ!

長谷川の心を貫く見えない矢が飛んでくる。

「それと…おっさん。もうォ加齢臭なんて、目に見えそうなぐらいやばいんだもん。」

グサッグサッ!!

「あとは〜そうだな…さっきあんたが言ってた『成功という二文字』とか、言ってたよなァムリムリムリだって、

あんたには『成功の二文字』より『敗北の二文字』の方が似合いすぎなんだよォ。

もう、二人三脚してるもん敗北と。」

———グサッ!!!!

長谷川という男について語った結果…マダオ(まぁ頑張って生きていこう、ダメ男にだって大いなる希望はあるはずさ!)としてのアイデンティティーしか

見出せなかった———

それを聞いた長谷川は、顔がみるみると『泣きますよ!』の顔になっていった。

そして、自分のダメさを主張した。

「そうだよォーーー!俺なんてどうせマダオだよ!?一時のテンションに身を任せた時から…俺のダメ人生が始まったんだよォーーー!!!」

長谷川が愚痴を語り始める。

「あの時…バカ皇子なんて殴ってなけりゃァ俺の人生は順風満帆だった———

あの時———「黙らっしゃーーーい!!!」

「グハァァァァァァ!!!!」

銀時の鉄拳が長谷川の顔に直撃。そのまま長谷川が屋台から飛んでった。

「いっ痛ぇじゃねぇか銀さん!?まだそんなに愚痴言ってないよ!!!」

その場に座り込み、頬をさする長谷川。

「もういいよ…めんどくせぇよォ…アンタの愚痴に付き合ってたら、一年過ぎちまいそうだよ。」

「俺の愚痴をそこまで聞きたくないの!?」

とりあえず一旦席に戻った長谷川。

すると、何やら銀時が長谷川にある物を渡した。

「こっこれは?」

DVDのケースらしき物を受け取る長谷川。

「おっとォ、まだ中身は見ちゃあァいけないよ長谷川さん。まずは、俺の話を聞いてからな———」

続%