二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: <  脱線 ! >【銀魂】3うp。 ( No.28 )
日時: 2010/06/05 16:14
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:                ────もう暴れまくれ!!


< 四 ! >


『えー? 私歩くのー? 普通パトカーじゃないのパトカー!!』
「我慢しろィ、俺だってパトロールの途中だったんだから」

暴れもせず、ただ素直について来る黒髪の少女がそう不貞腐れた様に言うと、沖田もまた不貞腐れたように返事を返した。
屯所へと続く道程を見、少女は面倒臭そうに顔を歪ませる。

『何かガッカリだなァ。人生初のパトカー乗車体験出来ると思ってたのに』
少女はそう膨れっ面をし、ぽつりと呟いた。

「知ってるか? パトカーは乗らない方がいいんだぜィ」
沖田はテクテクと歩きながら、少女に皮肉っぽく言う。

『あっそ』と少女はどうでもいい様に切り返し、周りの商店などを見渡す。

するととある一店の店主であろう老婆と少女は目が合った。
老婆は少女の顔を見るなり、「ヒッ!!」と怯えた叫び声を発した。。
そして私に、

「二度とこの界隈をうろつくんじゃないよっ!! この化け物!!!」

と、涙目になりながらそう怒鳴り、店の奥へと逃げ込んでいった。
次に隣の魚屋の店主とも少女は目が合う。
魚屋の店主は肩をビクつかせ、すぐさま〝今日は閉店致します〟と書いた張り紙を店の外に貼り、シャッターを閉めた。

少女はどうでも良さそうな目をし、
『……嫌い方が露骨すぎだよね』
と声を漏らした。

商店の店主達を見ていた沖田は、
「なんでィなんでィ、随分な嫌われようじゃねェか、アンタ。化け物なんて呼ばれて」
と、ニヤニヤとした顔つきで言った。

少女はハァとため息を漏らすと、静かな口調でこう言った。
『別に、気にしてない』


< 第四訓 必要な人材はすぐ手に入れろ >


私の姿を見るなり、商店街の奴等は逃げ出すか店を閉める。
失礼極まりない。まったく、〝人類皆平等〟なんて言葉は、この世界に必要ないんじゃないだろうかと、そんな思想が頭に浮かぶ。

今ではこんなに丸くなったと言うのに。そんなに私が怖いのか。

まあ気にしてはいないが、いくら私が怖いと言っても、所詮私は女だ。
女の子のメンタルがどれ程傷つきやすいのか、きっと商店街の奴等は分かっていない。もう今にも泣きそうだ。

そんな事はどうでもいいとして。
私は今、何故か、大嫌いな真選組の1人と肩を並べて歩いている。
手錠をつけられなかったのが幸いだったのか不幸だったのか。
もしつけられていたら、きっと商店街の奴等の笑いものだっただろう。
けれど、手錠をつけないという条件で私はついて来ているのだ。多分。

逃げようと思えばいつでも逃げられるが、他に行くところも無いのだし、面白半分でついて行こうと思った。
だからついて来た。だけど、これから行くであろう真選組屯所への道のりが予想以上に長いことに、私は落胆するのであった。

この栗色の髪の優男。
私をどうするつもりなのだろうか。ただ私は拳銃を正当防衛の為に撃ったわけであって、悪い様には使っていないと思うのだが。
もともと護身用として持っている訳で、いざ、という時にしか使わない物だ、このハンドガンは。
あの悪漢はどうなっただろう。泡吹いて白目剥いてそのままなんじゃないか。
通行人が見たら驚いて泡吹いて白目剥いて倒れるのではないだろうか。それはないか。

というかあの悪漢を何故捕まえないんだ、この優男。

何故私だけだ。もう歩くの疲れたんだが。

「オイ」

『ん?』

急に優男が声を掛けてきた。
ずっと無言だったから、気まずかったのか。だけど唐突だ。少し私は驚いた。

「テメェ、名前なんて言うんでィ」

優男は足を止め、くるりと私の方を向く。

『あ、名乗ってなかったか!』
と、私はその事に今更気付いた。

『私は———』
名前を言いそうになった私は、名前を言う前に口を閉ざした。
不思議そうに見てくる青年。
『っとその前に、アンタから名乗ってくれないかな』

私は穏やかな口調でそう言った。

「何ででィ」
青年は納得のいかない顔をした。

『えーっと…、あれだ、ぷ、プランターの保護の為!!』

「プライバシーだろィ」

言い間違えた。嗚呼、もうだから片仮名って嫌になる。
訂正されたのも腹が立つ。もうあれだ、銃ぶっ放してそこら辺暴れてやりたいぜ畜生。

「…沖田だ、おら、お前の名前を聞かせろィ」

沖田、か。
沖田はそう仕方なさそうに言うと、私をギンと睨みつけてきた。おお怖い。

私達が話している周りは、私が居るせいか人っ子一人居なくなっていた。
沖田は私に早く早くと急かすような目でずっと見つめていた。
私は決心をし、いや、決心をする様な大きい事ではないけれど。

私は深呼吸をした。
そして、

『私の名前は————』

と、言おうとした、その時だった。


「……あれ? っかしーな、この辺で落としたっぽいんだけどなー、今週号のジャンプ」

< 続く ! >