二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN】 影はやがて、笑い出す ( No.67 )
日時: 2010/07/27 15:26
名前: 白柊 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
参照: http://何故か今回やってる曲はスラーが異様に多い。トロンボーンなのに。

#06 輪廻転生(マリside)

「……あぁ」

始まったらしい。
陶華と雲雀恭弥の戦いが。
雲の炎の波動と陶華の影の波動を感じる限り、そこそこ本気らしい。

……あくまで此処には情報収集に来ている程度なのに。

私は溜息をついた。
そもそもこの戦いこそが、計画なのだけれど。

ボンゴレは影を知らないらしい。

だからこそ、陶華と私にボンゴレの中でも強い雲雀恭弥と沢田綱吉をあてがっているのだろう。
未知の力は、最強でねじ伏せる。

…………無理な話だけど。

そもそもボンゴレは影を知らない。

そうだとしたら、勝つ事は無理だと思うけど。


「……や、安川……ちょっと良い?」

ふと後ろから声がした。
声の正体は沢田綱吉。恐らくアルコバレーノに指示をされて来たのだろう。
それにしては、遅かったけど。

私は振り返って彼を見た。
何処となく挙動不審な表情をしているけれど目には光が宿っている。
迷いの無い、光——————


——————〝存在〟



「…………どうしたの?」

特に一喜一憂する訳でも無く普通に問いかける。
沢田綱吉は特に感情や反応を求めている訳ではないらしく特には気にせずこちらを向いた。
本題を言うらしい。


「…………安川なら知ってるかもしれないけど……
俺が安川と同じで裏社会に居るんだ。……分かる?
簡単に言えば安川と小林にボンゴレファミリーに、入ってもらうって事だ」


「そうなんだ……陶華も……ね」

勿論結論は否。
敢えてそれを言わず、陶華の事に触れてみる。
想定もしない事なのか演技なのか。沢田綱吉は目に見えて驚いていた。

……演技だったら相当凄いな、彼は。


「……こ、小林の事は……お前も知ってるんだろ?
ボンゴレファミリーに入るかはいらないかだけで良いから、言ってくれ」

「無理だよ」

どうやら演技ではなかった様だ。
まぁ、あれだけ綺麗な瞳をしてる者だから演技や嘘はからきしな感じもするけれど。
……そして否の返答は彼の戦闘開始の幕だったらしい。


人のあまりいない教室で、彼は死ぬ気の炎を額に出した。





その炎は、なかなかに大きい。



彼は「だったら力づくで連れて行く」と言っていた。
どうやら、其処までしても情報収集したいらしい。

戦うのは結構久しぶり……だったっけ。


私は自分の後ろから、影を出した。
そして瞳を閉じ、開けた瞬間に紅紫色の炎が私を纏う。
戦闘なんて趣味じゃないけれど此処はもう仕方が無いだろう。


「ハァァァァァッ!!」

私が炎を纏ったと共に沢田綱吉がこちらに向かって飛んできた。
何とも早い戦闘開始だろう。
……強い殺気を感じられない以上、気絶させる事を目的としているらしい。

だとしたら、無理な話だけれど。


「……!?」

沢田綱吉は目を見開いた。
虚しく空を殴った拳を見つめている。

それは当然、私が目の前から消えたからだろう。

逆立った髪が少し風に揺れる。
その気配で彼は私に気付いたようだ。

反射神経で彼は教室の端へと身体を動かす。


「今のは幻覚か?」
「……そうだよ、幻覚」

私は笑った。
今の一回だけで幻覚と気付けるとはやっぱり凄いと思う。
超直感……だろう。

           ・・・・
最も私が使っているのは幻覚のみでは無いけれど。


「…………」

ボンゴレは炎を強くした。
そう、これこそが存在の強さ。
過去に六道骸が沢田綱吉に敗北した理由。

——————〝存在〟だ。

死ぬ気の炎や超直感などはボンゴレのボスが代々受け継いでいるものだ。

……幻覚を見破り、看破する力を持つ。

だからこそ、影のみを扱えば間違いなく敗北する。
今、恐らくボンゴレは幻覚を見破る力を有するだろう。
そして次私が幻覚を使い背後や左右に回った所を攻撃して有利な状況を作るはずだ。


「…………其処か」

沢田綱吉は前を向いたまま、拳を後ろにして後方を殴った。







はず、だっただろう。





其処に当然、私の姿は無い。





私は。




彼の前に、居たから——————





「……!!?」

突如前方から来た衝撃に、彼は身を硬くするまでも無く吹き飛んだ。
この辺は、以外に弱いのか……

まぁ、当然だろう。

彼は超直感で無数の幻覚の私を捉えた。
そしてその中で、唯一幻覚では無い私を見つけただろう。

……それで彼は私は後方に居ると思って殴った。

しかし残念ながらそれは私ではない。





〝存在〟をベースにして作った影。

対超直感用の幻覚である。





「…………戦いを、始めようか」


私は少し微笑んでみた。


彼の驚きとは、不似合いなほどに——————