二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事  ‐Knightmare Of a Devil‐  ( No.103 )
日時: 2011/05/24 18:53
名前: キリン (ID: 7rIzYjoN)

第三四話;その執事、追憶


黒き闇のようなマントに身を包んだ男が目の前に佇んでいる。
足元には、瞼を閉じて、横たわるあるじの姿。
セレスティは男を睨みつけていた。


「どういうつもり?私の契約者を横取るなんて・・・・・。
 それに貴方、人間じゃないわね。
 返してくれないかしら、契約者の<魂>を」
「・・・・ふっ、君はまだ弁えていないようだ」


---------------自分の立場を---------------------


刹那の間に、セレスティは地に伏していた。
彼女自身にも何が起こったか理解できずにいた。
突然闇が襲ってきたかと思えば、体にとてつもない衝撃が訪れ
いつのまにか倒れていた。
ビリビリと体がしびれる。体が動かない。
必死に思考を纏めようとしていると、男がにやりと笑った。


『・・・・・・この笑み、知っている・・・・・・・・・・』


私が、最も嫌った男の、最も嫌った仕種しぐさ・・・・・・・。



ゆっくりと、セレスティに近付き、そっと膝をつく。
そして、セレスティの耳元で囁いた。


「さあ、君とも契約をしようか。
 人間と<私>、二つの存在との<二重契約>を」
「・・・二重、契約・・・・・・・」


虚ろな瞳で、セレスティは男を見つめる。
黒き闇はにこりと笑い、続けて言った。


「そう。これは<君>だからできることだ。
 悪魔の中でも<異端>の存在である君だからこそ・・・ね。
 さあ、どうする?<      >
 選択肢は、君の手の中にあるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」


名を、<真名>を呼ばれた。
忌むべき存在に付けられた忌まわしい名前。
兄以外に、呼ばれたくなどなかった名前。
・・・・・選択肢なんて、無いに等しかった。


「契約成立、だね。君の名前は今から<セレスティ>だよ。
 さあ<セレスティ>、どうすればいいかわかるね?」


そう言われ、重い頭を持ち上げて
膝を付き、契約の宣誓をするセレスティ。



「イエス・ユアハイネス。我が仕えるべき第一の主。
 ・・・主の目的のためなら、手にも足にもなりましょう」
「ありがとう、セレスティ。
 ・・・・ではこのお嬢さんを返してあげよう。
 勿論、私との契約は秘密だよ・・・・・・・・・・」


お嬢様は、星(ステラ)の輝きを放つ瞳に選ばれ、
それを持つ黒き闇(ノア)である存在は、セレスティ(私)を選んだ-----------




---------------------------------------------------------


眠っているセレスティの瞳から涙が零れた。
それを見ていたシエルとセバスチャンは、沈黙を守るのみ。
セレスティが隠していること。
否が応でも聞きださなければならない真実の訪れに、
二人は固唾(かたず)を飲むのであった。