ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

　　２「志望大学」


　　夏希先輩は物理部に入ってすぐに、空いている机に超難解大学の、所謂赤本と参考書を開いて、勉強している


　　まるで「絶対受かる」なんて思っていながら


　　俺も邪魔しないように、パソコンに向かってOZのバイトに励む


　　しんと静まり返っている部室


　　あーもう! こんな時に何で会話が思いつかないんだよ!?


　　何はなす!?


　　「今日はいい天気ですね」は、絶対すぐ途切れるに決まってるし……


　　あぁ、不憫だ……


　　だけど





　　こんな空気も





　　悪くないかも











　　「ごめん、遅れた」


　　やっと佐久間がきた


　　「何してたんだよ」


　　「再試験だよ、俺今回の模試風邪で休んで受けれなかっただろ」


　　たしかに、俺と夏希先輩で本当に心配した


　　親がいなかったから俺が料理を作ったんだよな……


　　「あ、夏希先輩。精が出ますね、どこ狙ってるんですか!?　」


　　「東大」











　　一瞬、空気がピタッて止まった。そして


　　「えええぇぇぇ!?　」


　　俺と佐久間が同時に叫ぶ


　　その態度にちょっと拗ねたのか


　　「何よ、受からないとは分かっているけど……」


　　けど、何だろう


　　「やっぱり、同じ大学に行きたいじゃない」


　　「……あぁ、なるほど」


　　佐久間が納得したような顔でうなずく


　　俺と同じ、OZのバイトをしながら


　　でも、同じって——





　　そういえば、侘介さんが言ってた


　　「東大なんだぜ、俺」


　　あはは、そういうことか……


　　何かちょっと、複雑だな——


　　「健二君は東大の理学部志望なんでしょ? 私は文学部なんだけど」


　　「え、はい」


　　そう答えると、何故か顔を赤くしてまた机に向かう


　　「あれ、そういえば俺も東大……あぁ!!　」


　　気づいた健二は、もうすでに顔が真っ赤だ


　　それを見た佐久間が一言


　　「遅いっつの」