二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.357 )
日時: 2011/04/21 22:49
名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)

「ごめんくださぁい」
 教会の[横]の家、からくり屋の老人の住む家を四人は訪れる。
 マルヴィナがノックし、そう声をかけたが、反応はない。もう一度、先ほどより声を大きくして叫んだ。
が、やはり誰も出てこない。
「あー、あるよな、こういうパターン」セリアスが言う。
「ぱたーん?」
「ほら、ノックしてもだれも出てこなくて、ドアを開けようとすると鍵が開いてる。
キィー、ってドア開けてみると、中で人間が倒れててうわぁぁぁなんてコトに・・・あっ、イヤ」
 サンディ含む四人の思いっきり冷めた視線に、セリアスは「冗談です」と頭を垂れ、片手をひらりと振る。
 が。


     かちゃり。


「はっ?」
 扉はすんなり開く。
「・・・・・・・あの、まさか、ねぇ?」
 マルヴィナがキルガに確認し、キルガはシェナに助け舟を出し、シェナはさぁ? と言うように肩をすくめる。
 その反応を見たマルヴィナは、手に微妙に力を入れ、一拍置いてから、一気に扉を押しあけた。開けたが。

「うっわぁぁぁぁぁぁあああっ!?」

 ・・・本当に叫ぶこととなった。[立っている]一人の男に。・・・しかし、目はどんより、隈が浮き出て、
頬がこけた、半死人のような形相である。一瞬ルーフィンが化けて出てきたかと思った。
「あぁ・・・ひとの耳元で大声出さないでください・・・僕はあんまり寝てないんですよぉ・・・」
 お前やっぱりルーフィンの親戚!? とセリアスは言ってやろうかと思った。
キルガとセリアスの反応は割と普通だったが、マルヴィナは扉を開けた張本人と言うこともあり、相当動揺していた。
「あ、あ、あ、の、そのぉ、か、からくり屋の、って、ここ、です、よね?」
 久々マルヴィナの敬語である。
「からくり・・・? あぁ・・・親父なら、後ろに」
 そう言って、ルーフィンもどきは(マルヴィナ命名)、一番後ろにいたシェナを——いや、シェナの後ろを指す。
「えっ?」
 シェナが問い返し、そういえばなんか後ろから気配が・・・と早口に思い、そろそろと振り返り。

「っきゃあああああっ!?」

 マルヴィナたちは、初めてシェナの悲鳴を聞くことになる。




「いやすまんすまん。驚かすつもりじゃなかったんだ」
 ヌッと、シェナの後ろに立っていたからくり屋のおじいさん(ほとんどおじさんに見える)は、
カラカラ笑ってそう言った。が。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かちかち」
 シェナの反応は変わらない。
 本気で驚いたシェナは、マルヴィナの後ろから彼女の肩をぎゅうと掴んで、
奥歯を必死に噛みしめ(相当鳴っているが)、真っ赤な顔で睨んでいる。ちなみに涙目。
「・・・あの、シェナ。痛い。肩」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・我慢して」
「無理」
「我慢」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 即答に即答で返され、何でわたしが申し訳ないような気分に陥るんだ? と自分自身に疑問を抱くマルヴィナ。
 ひとまずその二人をそのままにしておき、セリアスが訪ねてきた理由を話す。
キルガはマルヴィナに助けを求められて首をつかまれていた(多分さっきの恨みも込めて)。
「おじさんなら、マキナに会えるんじゃないか?」
「マキナさま、かい? そりゃな」
「・・・イヤ実は、マキナが部屋に引きこもっちまって」
「マキナさまがっ?」
 あぁそこの肩掴まれてる人付き合い悪い&がさつ女が怒らせて、とは言わず(言えず)頷くセリアス。
「ふぅぅぅむ。心配じゃの。分かった。儂も行こう。・・・もしかしたら、また悪い病気が出たのかもしれん」
 イヤそうじゃないんだけど、・・・とはやはり言わなかった。
「ほれ、行くぞ。・・・シェナ、いい加減落ち着け——どっ、わっ、だっ、痛い痛いシェナやめろろろっ!?」

 最終的に、セリアスがシェナに無言のまま五発叩かれた。