二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ポケモン二次創作 【虹色の天空】アンケート中です。 ( No.161 )
- 日時: 2011/01/10 00:59
- 名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)
第三十八章 〜南の孤島ニテ、出逢ウ〜
二週間程前の事。ラティ兄妹は、平和に南の孤島で暮らしていた。——それなりに。
ラティオス(以下ティオ)「全く・・・。ラティアス、先程で何人目だ?」
ラティアス(以下ティア)「さあ・・・春が来てから、三桁は上ると思われますわ。」
ティオ「そうか。いっその事、幻島のように見つからぬようになればいいのであるが。」
ティア「そうですわね。」
伝説のポケモン、ラティアスとラティオス。二匹が護る宝石『心の雫』を狙う者が後を絶たない。
勿論、兄妹を狙う人間も少なくない。
兄妹は、出来る限り人間を傷付けぬよう、追い払ってきた。幻影を見せたり、バリアーを張ったり。
ティア「心の雫が、人間の役に立つとは思えません。何故でしょうか?」
ティオ「さあな。人間の考える事は理解できん。だがラティアス。一つだけ言って置く。人間は信用するな。お前も、人間がどんな生き物か分かったろう?この数十年の間に。」
ティア「はい、お兄様。」
ティオ「・・・ん?・・・また来たな。今度は複数か。」
ティア「真ですか。今日は忙しいですわね。」
この、複数で来た侵入者が、全てを変えてしまった。
数機のヘリコプター。今までの奴とは違う、何かを感じた。
降りて来たのは、黒ずくめの人間に護られた。男——
それと。
男「R・・・出番だ。」
R(アール)と呼ばれたのは、男の子どものような年頃の娘。漆黒の髪を風に揺らしている。
目は美しい金だが、光っていない。死んだ魚のような目だ。
服装は、これまた黒い。が、男を護っている人間とは違い、裾にはレースをあしらったワンピースだ。
ティオ「・・・ラティアス。逃げるのである。『コレ』はマズイ。」
ティア「お兄様・・・?」
男「ラティオス!ラティアス!俺は、『心の雫』になんぞ興味ない。興味があるのは、お前達の能力だ。」
下っ端「サカキ様、準備が整いました!いつでもいけます!」
サカキ「そうか。R!いけ。」
R「御意。」
ボムボム!
娘がボールから出したのは、サイドンと、マタドガス。
R「地s」
彼女の一声がかかる前に、ラティオスは動いた。
ティオ「ラスターパージ!」
幾多の光の玉が、R目掛け飛んできた。普通なら、逃げるはずだが・・・
R「ヘドロ攻撃!」
ポケモンの技で、跳ね返してしまった。ラティオスの技を弾くのは、容易い事ではない。
ティオ「コイツ・・・【伝エル者】が何故!?」
ティア「お兄様、危ない!ミストボール!」
R「・・・」
サカキ「R!何をしている!早く捕らえろ!」
R「・・・地面タイプの技では、ラティオス、ラティアスには効きません。」
サカキ「!!そうだった!・・・では、マタドガスのみで何とかしろ。」
R「御意。」
ティオ「【伝エル者】!しっかりせぬか!何故、悪に力を貸しているのだ!」
ティア「この娘が、【伝エル者】・・・」
R「!!」
サカキ「R?・・・!まさか・・・」
男の余裕の仮面が消え去った瞬間を、ラティオスは見逃さなかった。
ティオ「ラスターパージ!」
サカキ「ぐっ!!」
下っ端「サカキ様!・・・R殿!」
R「・・・う・・・あ・・・」
ティア「・・・?」
ティオ「ラティアス!娘に向かって、【伝エル】のだ!己の意思を!」
ティア「お兄様?どう言う事なのですか?」
ティオ「いいからさっさとするのだ!」
ティア「——。攻撃を止めて下さいまし!」
R「・・・やぁぁ!!」
サカキ「っ!至急Rを回収!直ちに撤収!」
ティオ「待てっ!」
サカキ「・・・いずれ、報復活動を行う。覚悟しておけ。」
ティオ「・・・望む所である。」
ティア「お兄様・・・」
サカキ「では、手始めに。ラティオス、お前の大事なものを頂いていくぞ。」
ブワッ!
ティア「!?あ、網が!」
ティオ「ラティアス!貴様・・・!」
R「———!」
娘が、男の服の裾を引っ張っている。目には相変わらず光は無いが、涙が溜まっていた。
サカキ「R、案ずるな。コイツは、実験には使用せん。」
R「・・・」
ティオ「ラティアスを放すのであるっ!」
サカキ「放す訳にはいかん。やっと、Rのコンディションが安定してきたと言うのに、貴様らが不安定にさせた。」
ティオ「そいつの為である。」
サカキ「お仕置きが必要だな。・・・R、引っ張るな。悪い様にはせんから。痛い痛い!怪力は健在か・・・」
R「・・・」
いつの間にか、ラリアートを決めようとしていた娘を引き剥がす。
サカキ「全く・・・。ラティアス。お前には、兄と離れて貰う。」
ティア「そんなっ!!」
ティオ「ラティアスっ!貴様ッ!」
サカキ「・・・残念な事に、俺はポケモンとは会話できん。出来るのはRと、俺の息子だけ。」
R「・・・」
サカキ「暫くは、俺のやりたいようにする。」
ティオ「妹を、何処に連れて行く気だ。」
サカキ「あ、悪いようにはせん。Rが怖いからな。」
ティオ「言葉が通じぬ・・・くそっ!」
ティア「お兄様ー!」
サカキ「では行くか。」
ヘリコプターが飛んでいく。ラティアスを乗せ。Rと言う謎の娘も乗せて。
ラティオスは、飛んでいく方向から、行き先がカントーである事を知るしか出来なかった・・・
Rの目が、助けを呼んで居るように見えたのは、気のせいではない。
次回へ続く