二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 天駆ける十二星座ポケモン 第十四章終了 B・S団ボス登場! ( No.364 )
日時: 2011/06/26 21:33
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: cebg9jtM)

最終章

秀夜たち五人は言葉が出なかった。
まだ状況を飲み込めていなかった。
つい先ほどまで一緒にいた斬人が、B・S団のボスとして立っているこの状況が。
操られているのか、とも思ったが、目を見てはっきりした。
目の前に立っているこの男の目は、操られているものの虚ろな目ではない。
しかし、秀夜が言葉を出せなかったのは、それだけではなかった。
今、秀夜の頭の中では、今までの謎が次々と解けていった。

斬人と出会ったのは、秀夜たちがB・S団に目を付けられたその直後だった。
その時は何とも思わなかったが、今この状況を見ればはっきりする。
B・S団の由来は斬人の苗字だろう。「ブラッディ・スター」すなわち血塗れた黒い星だ。
B・S団の情報網が異様に広かったのも、斬人の一人行動が多かったのも、斬人がB・S団だったからと考えれば説明がつく。
なぜ斬人は、B・S団員の中で秀夜たちを殺そうとした者だけを攻撃したのか。
あんなに気の強かったトロピカルが、なぜたった一睨みで怯えだしたのも不自然だ。
更に、B・S団員は、ほぼ全ての者が斬人には攻撃しなかった。
そして何より、今目の前にいる斬人、いや、ザントの姿が証拠だ。
黒星 斬人は、B・S団の一番最初の刺客だったのだ。

「ここで、漫画などの悪役はよく『前々から言おうと思ってた』などと戯言をほざくものだが、俺はそんな事は言わない。俺はこの瞬間までお前たちに正体を現す気など無かった」
淡々とザントは言った。
「だが、途中で俺は気が変わった。もし俺との戦いでお前が負けても、俺たちB・S団はお前たちを処刑する必要は無くなった」
「…何だと…? どういう意味だ?」
やっと秀夜の口から言葉が出てきた。
五人とも全員、捕まったら処刑されると思っていた。そのために、B・S団と負けられない戦いを繰り広げてきたのだ。
「俺がお前に勝てば、俺は黄道台をお前から回収する。十二星座ポケモンさえなければ、俺たちの脅威は取り除かれる。十二星座ポケモンのいる所は全て確認済みだ。B・S団員をそこに派遣し、誰も石碑に入れないようにすれば、もはや十二星座ポケモンの脅威など無い」
ザントは不敵に笑う。
その時、五人はザントの椅子の後ろにあるものを見た。
金色に輝く、日輪のような環がついた台座。
その環には十二個の穴が開いている。穴の上には、十二星座がそれぞれ描かれていた。
「あれが…黄道台か…」
呟いたのは平治。
金色のその台座は、十二星座の力が収まるにはまさに相応しい場所だと言えよう。
「柊 秀夜!」
ザントが叫んだ。暗い瞳を見開き、口を歪ませて笑っている。
「世界を救いたければ、俺と戦え。俺がもし負ければ、俺はこの部屋を出る。お前の好きにするがよい。だが、俺が勝てば、お前は十二星座の珠を俺に手渡せ。B・S団最強の俺、ザント、その実力をお見せしようぞ!」
ザントは狂ったように吼え、高笑いする。
秀夜はザントの力を知っている。
秀夜のラグラージですら敵わなかった相手を一撃で叩き潰し、アルゼンチンでは梓を倒している。
恐ろしく強い相手だが、退くことは出来ない。
今ここで、最後の決着をつけなければならない。

続く