二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 6/1up! ( No.157 )
日時: 2011/07/22 15:13
名前: 葵 (ID: GSWgO850)
参照: あっははははははは〜ぁ……

 31話 復讐相手来る!


 次の日……。
 朝起きても、やはりまだ幻術からは醒めていない。
 六道 骸がこんな生温い事をしてくるとは思えなかったが、私は母達と一緒にいられる事が嬉しくて、何度も幻術という事を忘れかけた。
 否、忘れて此処で暮らしたいと思ってしまえる程。
 幻術の中でも良いから、私は此処で暮らしたかった。

 母達が一緒にいるという、奇跡。
 忘れてしまった筈の、母達の香りに、母達の温もり。
 全てを思い出せた事……本当に嬉しく思う。
 それと同時に、此処を出てしまう時がいつかは来るのだと名残惜しくなってしまう。


「あら……お醤油を買い忘れたわ。明日香、悪いんだけどお使いに行ってくれる?」
「うん! いつもと一緒のお醤油だよね?」
「そうよ。ありがとうね、明日香」


 私は母からお金を受け取る。
 母はありがとう、と言った後に私の頭を撫でてくれた。
 何だか恥ずかしくなって、私は急いで家を出た。
 買い物袋を提げ、見慣れた道を私は淡々と歩く。


————何だろう、この嫌な予感は……。
私は……何かを忘れてる。
何かが分からない……それさえ分かれば……。

…………まさか!


 私は近くを歩いていたお婆さんを呼び止め、一つの質問を投げかけた。
 返って来て欲しくない日の答えが返って来て、私は血相を変えて今まで来た道を辿って、走る。
 けれど子供の姿のままなので、中々早く走れない。
 元の姿に戻れば少しは早くなるのだろうが、戻れない。
 小さな小石に躓き、私は盛大に転ぶ。
 近くにいたおばさんが、私を見て目を丸くさせていた。
 それ程、私の転び方は尋常では無かったという訳だ。
 だが、痛みなど今は感じている暇など無い。


「……母さんと父さん、を……」


————助けなきゃ。


 けど、今の姿の私に何が出来る?
 出来る事など殆ど無いのに……助けに行って何をする?
 ……それでも。


「か、あさん……」


 私は傷が痛んだが、急いで立ち上がり、足を引き摺りながら家に向かった。
 其処で初めて——私はこの事件の首謀者に気付く。



———————————



 家は妙にシンとしていて、入るのが怖い。
 私はなるべく音を立てない様にしながら、玄関の扉を開けた。
 中にはどうやら犯人がいたらしく、誰かと会話を交わしている。
 犯人の横には血塗れで横たわる、母さんと父さん。
 涙が出そうになったが、泣くと犯人にバレてしまう為、何とか押さえた。
 少し遠い位置にいる為、会話は途切れ途切れにしか聞こえない。
 が、何と無く単語単語だけは聞こえる。


「……はい。此処ら一帯の…………は全て殺しました」


 此処ら一帯の……何だろう?
 そもそも、こいつは誰の命令により動いている者なんだ?
 誰によって命令されているのかさえ分かれば、私の復讐者が分かる。
 私が憎み続けて来た……父さんと母さんを殺した相手。
 実質的には今この場にいる男が殺した相手なのだが、こいつはあくまで上からの命令で動いている者。
 こいつと連絡を取り合っている者こそが、全ての主犯格。
 妙に冷静に、私は素早く判断する事が出来た。


「分かりました。————百蘭様」


 百蘭。
 一体何者かは分からないが、こいつが全ての主犯格なのは殆ど間違い無い筈だ。
 万が一主犯格で無いとすれば、少なくとも“様”付けされているのだから主犯格の事も知っているだろう。


「決まった……」


 そう呟き、私は俯いた。


————キュリアを出て、百蘭の事を……。
百蘭と呼ばれる存在の事を、調査するべきなんだ……。


 六道 骸の思惑は結局分からなかったが、私は……復讐相手を見付けた。

 瞬間。
 私の影が伸び、私はその影に取り込まれた。
 辺りが真っ暗になり、私はまたしても意識を手放した。