二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: -ONE PIECE- 月追う兎* \返信100突破!/ ( No.123 )
日時: 2011/02/06 21:46
名前: なまくら将汰 ◆yKq/Ct0zKs (ID: /gSTfiqf)

[>Episode37

「ナミすわぁーん!!おかえりいい!!」

メリー号に着けばサンジが顔を出した。
遅れてウソップ、チップもひょっこり。

「サンジくん、ウソップ!すぐ船出す準備して!!」
「どうしたんだよ、ナミ」
「いいから!海軍に追われてるの!!」

“海軍”という単語に反応し、ウソップは錨を揚げ始める。
そしてルフィ達も船に乗り込む。
縄梯子を上っている途中、デイルがふと後ろを見る。

「あ・・・・・・」

よく見れば砂浜に1人の少女。
それはこのキハト村に入るとき、この場所で出会った少女だった。
その藍色の瞳で、デイルをじっと見つめている。

「おいデイル、早くしろ!」

ゾロに言われはっとするデイル。
だが、もう1度彼女をよく見れば、腕には一筋の赤。

「アイツ・・・!!」

不思議な雰囲気をまとったその少女は、ただだまってデイルを見つめ、腕からは鮮血が流れ出ていた。
その姿を見、放っておくことができなくなったデイルは縄梯子を降り、少女の元へかけよった。

「デイル!!何してんだよ!」
「すぐ戻る!」
「ワンッ!!」

チップも主人の後を追うように船を降りた。

「おい、お前・・・大丈夫か?」
「ねえ」

鈴のなるような声で話し始める少女。
声を聴いたのは、初めてだとデイルは思う。

「あなたなら・・・見つけることができる?」
「え?」
「見つけたぞ!!!!!!」

意味の分からない少女の問いに、戸惑うデイル。
そこへ海軍が現れた。

「デイル!!!!」

クルー達の呼ぶ声。だがデイルは少女の言葉を一言でも聞き逃してはいけない気がした。

「ここには無かった。あなたなら見つけられるかしら?」
「・・・よくわかんねえけど、今は相当やばい状況だぜこれは」

そう言って自分のネクタイをしゅるりとはずし、少女の血が流れる原因をせき止める。

「なにが見つからないか分からないけど、おれ、お前を放っておけない気がする」
「・・・・・・・・・」

黙って聞く少女。その細い体をひょいと抱き上げるデイル。

「待てっ!!!」
「ちっ!」

海軍たちは銃を構え、デイルを狙う。

「打てえっ!!」
「やべっ!」

デイルが少女を守るため銃口に背中を向ける。

「やばいぞ!!」
「デイルっ!!!!」

クルー達の声にまぎれて、はっきりと聞こえる声。

「砂よ!私達を守りたまえ!!」

その声のあと、ズアッと風が巻き起こり、砂を巻き上げ、大きな壁をつくる。

「・・・え?」

その砂の壁は銃弾をはじき返した。

起こったことを、そこにいた全員が理解できなかった。
だが、今はそんなことを考えている余裕は無い。
デイルは足に力をこめ、貝笛を吹く。
するとチップが巨大化する。

「乗り込んだとこを打たれたらたまんねえからな。片してから行くわ」
「わう・・・」
「心配すんなって」

ニカッと笑ったデイルに応え、少女を背に乗せチップは船に飛び乗った。

「ちっ・・・無茶しやがって」
「ゾロ。お前はここで待ってろよ」
「了解、キャプテン」
「よおし!デイルっ!!!」

デイルが振り向けば、こっちに向かってダッシュしてくる船長の姿。

「ルフィ!おれ1人でも・・・」
「なあに言ってんだよ。おめえはさっきの傷もあんだろ?」
「まあ、そうなんだけどさ」
「2人で戦えばいいじゃねえか」
「そうだな」

全く強引さは変わらないな、と思うデイル。再び貝笛を吹き、ジャンプ・ラッシュを構えた。