二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: -ONE PIECE- 月追う兎* \オリキャラ募集中!/ ( No.35 )
日時: 2010/12/26 21:40
名前: なまくら将汰 ◆yKq/Ct0zKs (ID: /gSTfiqf)

[>Episode16 -さよなら-

デイルは先ほどとは違い、薄い水色のYシャツに紺色のネクタイをして黒いひざ下のズボンを履いていた。

「準備万端だぜ!!」
「ワン♪」

チップも嬉しそうにデイルの横に寄り添う。

「チップも連れて行くの??」

問いかけるマール。

「ああ。いいだろ?ルフィ」
「もちろんだ!その犬おれも気に入ったしな!!」

そしてデイルを仲間に入れた麦わら海賊団とジョフ、マールはメリー号が待つ港へ向かった。

他のクルーに続いてメリー号に乗り込むデイル。

「デイル・・・元気でね」
「マール姉ちゃん」

メリー号が少しずつ、進み始める。

ジョフとマールが自分を見ていて、デイルは今までがまんしていた涙があふれそうになる。

それをぐっとこらえて、デイルはわざとらしく大きく笑った。

「おれ、ぜってえ母ちゃんよりもすげえ海賊になって帰ってくるから!お宝いっぱい持って帰ってくるから!!」
「デイル・・・・・・」

マールはデイルが涙をこらえているのを分かっていた。
だから自分も涙を流さないようにと強く思っていたが、ついに一雫の涙がマールの目から零れ落ちた。

「デイル・・・っ!行かない、でよ・・・」
「っ・・・・・・」

マールがはじめてデイルに言ったわがままだった。

「あたしを置いて・・・いかないで」
「ごめん。それは聞けない」

デイルはついにうつむいた。
あんな風に自分を引き止める家族がいたことを再確認した。
それと同時に、もうこれ以上マールの泣き顔を見ていたら、いままでせっかくがまんしていたものがあふれてしまいそうで・・・。

「おれ、絶対戻ってくるよ。安心して・・・・・・」
「デイル!!」

今まで黙ってデイルを見つめていたジョフが叫ぶ。
反射的にデイルの顔が上がる。

「行ってこい。ラフィアの夢を・・・ルフィくんたちと一緒に・・・必ず叶えてここに戻ってこい!!!」
「おじさん・・・っ!!!!」

もうだめだ。
デイルがそう思ったのと同時に、彼の深緑の瞳から涙がとめどなくあふれる。

「おじさんっ!!マール姉ちゃんっ!!!」
「デイルうっ!!」

マールの顔は涙でグジャグジャだった。

「おれ・・・おれ・・・!!」

言いたいのに、うまく言葉に表せない。

ふと、懐かしい母の言葉がよみがえる。

『大切な人に、何か言いたいけどうまく言えないときはこう言うのよ・・・』

デイルは涙をゴシゴシと乱暴にぬぐって、それからとっびっきりの笑顔を見せた。

「ありがとう!!!2人とも、本当にありがとうっ!!!!!」
「デイル・・・」

どんどん小さくなるデイルを見つめているジョフの瞳はうるんでいた。
そして泣き崩れてしまったマールを抱きしめ、言った。

「さあ、帰ろう。今日の夕飯はデイルの大好きなハンバーグにしよう」
「・・・・・・うん」

マールはやっと、少しだけ笑った。