二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.110 )
日時: 2011/11/30 23:05
名前: 翡翠 (ID: arh/BApH)

〜緤菜〜

麗菜の懐へと体を預ける。
腰にある太刀が目に入っていないわけじゃなかった。
良いと、そう思ってしまった。麗菜が私の死を望むのであれば、それを受け入れようと、そう思っていた。

が、太刀が私の体を貫く前に真紅の炎が私と麗菜の間に割って入った。
その神気を私は知っている。……紅蓮のものだ。

「あ……」

私は何を言うのでもなくその場に立ち尽くす。
そんな私の前に長身の背中が現れる。そして、そのすぐ後ろには小柄な影。昌浩も居た。

二人が来なければ太刀に私は貫かれていただろう。
だけど、それが怖いという風にはどうしてなのか感じることが出来なかった。

「あなたを手土産にしましょうか」

麗菜の発した言葉に悪寒が奔る。
このままではいけない。そう警鐘が鳴り響くのにどうしてかその場を動くことが出来ない。それは、すぐ前に居た紅蓮も同じようで、ただ、二人を睨み付けていた。

昌浩は、拳を握り締め、息を殺しているかのように見える。
この状況をどうにかしないと。
分かっている、頭では理解出来ている。
それでも、体は反発するかのようにまるで動かない。

麗菜の視線が昌浩を捉える。


その時だった。
この場にもう一つの神気が顕現する。
それは、私達の知ったもので——青龍のものだった。