二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.42 )
日時: 2011/03/27 22:33
名前: 勾菜 (ID: P2y76W7r)

〜麗菜〜

あの後、青龍が来てくれて、私は難を逃れた。

だが…私の命ともいえる緤菜は妖怪に連れ去られた。
それを、聞いた瞬間一瞬私の世界から音がなくなった。

だれがどこにつれていかれたって?

だんだんと意識がはっきりとしてくる。
それによって、現実がすべて私に降り注ぐ。

「いや…緤菜…独りにしないで…」
そう呟くと、何かが私の中で切れた音がした。

「……いやぁっ!せ、緤菜ぁぁっ!どっ、うしてっ…緤菜がっ!
 私が、もっと私がっ、しっかりっしてあげていたらぁっ!」

私は、狂ったように泣き叫ぶ。

「麗菜…」
うなだれた様子の物の怪が呼びかける。
だが、それすらも私の耳には届かない。

「いやよ…いや!緤菜…私をっ置いていかないでっ!!」

そこに、緊迫した様子の晴明が話しかける。
「麗菜殿…」

「…そうだ…緤菜を助けに…」
と、そこに静かな怒りを含めた声が私に掛けられる。

「やめろ。それこそ、命取りだ。」
「だってっ!…私だけが…ここにいることなんて、できないのよっ!」
「…晴明。」
なにやら、含んだ青龍の呼びかけに、晴明は応える。

「はぁ…わかった。いいだろう。……麗菜殿。ご無礼をお許しくださいね。」
「晴明、様?」
そう言うと晴明は小さく呪文を唱える。

「せ、晴明…様……何を…」
そこで、私の意識は途切れた。

私の頬には涙が一筋悲しげにつたっていった。