二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】光の軌跡、双子の奇跡 @オリキャラ募集 ( No.65 )
- 日時: 2011/02/17 20:31
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
- 参照: 左手が負傷して動かないと右手も動きにくくなった、どゆこと←
<<эпизод 10>>
-明日天気になぁれ-
シルクハットの男——トゥエル・ニコラルドは、男との通話を絶った後、違う奴らにも連絡を入れる。
「はいはいはいはい、ニコラルドだよ♪」
<<ニコか……。 何のようだ、さっさと言え>>
男のような口調をした女の声がした。
ついでに、後ろでギャーギャー言っている女の声も。
「あー……、お嬢さんがさ、この島に来てるんだって♪ とりあえずお嬢さん以外は始末していいから、お嬢さんだけを連れ帰ってきて♪」
<<ペルリの奴が喋っていてうまく聞こえん。 もう少しでかい声で言ってくれ>>
女——ヴォラ・ダーシャは呆れたように吐き捨てる。
ニコラルドは笑いながらヴォラに言う。
「小生にそんなメンドくさい事頼むなよ、今さ、ウキウキしてるから放っておいてくんねぇかぁ♪」
<<とりあえず、顔見知り以外を始末しておこう>>
そう言ってヴォラは通話を切った。
ニコラルドは持っていた子電々虫を握りつぶして歩き出した。
・・・
「また本当のお嬢さんが笑いかけてくれると嬉しいなぁ♪」
***
「ゾロ?! 何であんたがここにいんのよ!!」
ニコラルドから逃げてきたゾロとトーマは無事ルフィとナミの所にたどり着いた。
因みにウソップは船番をしていて、サンジとユーマは一緒に居る。
「やべぇ奴に出くわしてな……」
「やべぇ奴?? そりゃ強ぇのか??」
「とんでもなく強いよ……」
トーマが口を挿む。
「ほら、また出てきた」
ゾロの背中に負ぶさっているトーマは、後ろ側を指差した。
そこにはジーンズとノースリーブの水色のシャツを着た茶髪で左目の下に火傷の跡らしきものがある、巨大な双剣を肩に背負った女と、ツインテールの小さい女が立っていた。
「え〜?? あれが海賊ぅ〜?? 全然可愛くないしぃ。 ペルリぃ、めんどくさぁ〜い……」
「そう言うなペルリ。 ニコからの命令なんだ。 ……多分」
ダルそうに喋るツインテールの女を、茶髪の女が宥める。
「あ、でもアナタかわいいかも〜ッ!! オレンジちゃん、ペルリの好みよ!」
ナミを指差しながら自分の事をペルリと名乗る女が言う。
茶髪の女は小さく溜息をつく。
「ペルリって言うの!仲良くしてね♪」
思いっ切り可愛子ぶった女だが、これが素なんだろう。
茶髪の女はペルリの頭を叩いて言う。
「……敵と馴れ合ってどうすんだ、このタコ!!」
「ペルリ叩くなんてありえないいいいい!! 元々ヴォラは気に食わないのよ、フリル嫌いとかありえない!」
ペルリ達はいきなり内輪もめし出した。
「てゆーかぁ、敵だったんだね〜ッ。 ごっめ〜ん☆」
効果音にてへっとでもつきそうな感じで自分の頭をコツンと叩く。
「な……、なんなのよあの女……」
ヴォラは「全くだ」とでも言わんばかりの顔をしている。
「じゃあ………………今から殺すね」
今までの雰囲気が嘘のように無表情になり、低い声を出す。
ヴォラも口角を上げ、背中に背負ってあった双剣を片手ずつに持った。
「いいテンションになってきたぞ……」
「ははっ、おめえ強ぇのかぁ?!」
「何にせよこんな所で剣士に出会えるとはな……。 ルフィ、てめえはあのチビ女の相手しろ!」
勢いよく地面を蹴った剣士二人の太刀筋は相成って、空気が裂けそうなほどの衝撃を周りに与えた。
「中々やるじゃないか! ……面白い、お前を倒したら俺は更に強くなれるかもしれない!!」
「へっ……俺も同じ気持ちだよ!」
ゾロとヴォラの激しい斬りあいの横。
トーマとナミは一緒にその場に居た。 ナミはゾロ達の戦いを心配そうに見つめている。
トーマは全然興味が無さそうに斬り合いをしているもっと奥の建物。
緑色で、煙突のある研究所のような建物。
それを見ていた。
「………………」
トーマは無言のまま立ち上がり、ゾロ達の激しい戦いを避けながら建物の方へと行っていく。
「ちょっとトーマ何処行くの!」
「散歩」
そう言って掴んできたナミの手を振り払い、前へ進む。
元々そういう性格なのだ。 人とは相容れない。
「散歩って……! あんた何かおかし」「アタシの事は放っておいてよ!!」
ナミの言葉を遮って言う。
「元々……っ、アタシは無理矢理連れてこられた訳だし……! あんた達と一緒に居たくないのよ!!」
「………………ッ」
トーマは怒った顔のまま5mばかり進んでいく。
そして、また振り返って言った。
「アタシの事、もう追いかけたりしないでよ。 いいね」
♪
——ニーコぉ!!
少女の声がする。
——おやおやお嬢さん♪ 何の用かなぁ♪
少女は笑った。 太陽のような、向日葵のような、明るい笑顔で。
ニコと呼ばれる男は、少し自嘲じみた笑いを浮かべる。
少女は、すぐそれに気付いた。 人の心情に、敏感なのかもしれない。
——どうしてそんな顔するの?? ニコには笑顔が似合うよ! じゃないと、私がニコラルドって名前を付けた意味がないでしょう? ほら、笑って!
十歳前後の少女は、男に笑いかける。
男は、少し歪だが笑顔になった。 少しだけ、晴れたような気がする。
——お嬢さんは凄いなぁ、言葉で人を元気に出来るんだねぇ♪
——私は、何もしてないよ! それも何もかも、ニコの努力だよ! 私はね、ニコに笑顔を咲かせる為に、太陽になったげる! 植物には太陽が絶対に必要って、お父様が言ってたの!!
自分を元気にさせる為の嘘だったかもしれない。
子供なんて、単純でそんなもんだ。
でも、
君に誓うよ。
君が傷ついたのなら、優しく撫でて、介抱してあげるよ。
君が誰かに囚われたなら、直ぐに助けに行ってあげるよ。
だから、それまで待ってて。
小生に恋をさせたんだから、責任は取ってもらうからね。
それは男と少女の、一時の幸福な記憶でした。