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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 【二章】 家出、逃走:後半 ( No.184 )
- 日時: 2011/03/21 14:34
- 名前: ミズキュウラ・ドラッテ ひかわながる (ID: Ak1jHfcH)
気付いた時はもう既に辺りは暗かった。
今何時かは判らないけど、アレから凄い時間が過ぎたのは何となく判る。
天井が薄っすらだけど確認できた。
——あれ…?何で仰向け?
そんな疑問が押し寄せてきたが直ぐに気付く。
ああ、自分は酷く父に殴られたか蹴られたか或いは両方遣られたんだ。
肘を突いて起き上がろうとすれば身体が悲鳴を上げティファニーの顔が痛みに歪む。
服は異臭を放ち髪は滑りを帯びていて、このまま外には出られない。
何とか風呂に入ろうと考えたが、もし父が未だ起きているのなら命取りだ。
仕方なく足音を立てずに1階まで降りた。
家は全て真っ暗だと思っていたのにリビングだけは皓々と明かりが燈っていた。
父の足が見えるのは、水を飲んだ時睡魔が襲ったからだろう。
これはチャンスだと思い、ティファニーは部屋に掛けられてあったコートを羽織って家を飛び出した。
父さん。
小さい頃から嫌だった人。
DVで母は逃げ出した、私を置いて。
だから私は父も母も嫌い。
だからね、もう逃げることにしたんだ。
何もかも投げ出して逃げることに。
この家もこの街も私に優しくない。
なら切り捨てていく。
必要ないから。
彼が待っているから。
助けるって言ったんだもん。
私をこの家から助けるって。
だから、行くの。
あの『神様の木』の下で待っているはずの彼を。
ばいばい。
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