二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.125 )
日時: 2011/04/18 18:36
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第11話 動物は最後まで大切にしてあげなさい。


「定春ー、どうしたアルか。具合が悪いアルか?」

 神楽は定春の餌皿に目を落としながら、具合が悪そうに寝そべる定春に訊く。
 新八も翔も心配そうに定春を見ていた。銀時だけはソファに座り、鼻をほじっていたが。

「この2日、ロクに飯を食ってないよな。どうしちゃったんだろうか」

 翔は炎神で定春をつつき、首を傾げる。

「具合が悪いアル。病院に連れて行こう」

「そんな面倒な事をしなくても、小十郎に手術でもしてもらえばいいじゃねぇか」

「私はそんな事はしません。真田の忍びに言ってください」

「何で俺様なのさ?!」

 いきなり話を振られ、佐助は驚いた声を上げる。
 新八も神楽も銀時を説得させて、定春を病院に連れて行く事にした。
 しかし、ここで問題が発生。何と定春は、その場から1歩も動こうとしなかったのだ。

「さーだーはーるー、マジで腹ん中をかっ裁くぞコラァ!!」

「止めてヨ翔! 定春が可哀想アル!」

「何でだよ、こいつなんか裁いた方がいいんじゃぁ!! 腹出せ、手術を開始する!」

 歩かない事に腹を立てたのか、翔は炎神を取り出して定春の手術を開始しようとした。
 無理矢理止められて、大変不機嫌そうでした。あれ、作文?

***** ***** *****

 動物病院。
 かなりの時間を待たされて、ようやく定春の番が回って来た。
 とりあえずレントゲンを撮ったらしく、医者は写真を明かりに照らして翔達に見せてくれた。

「何か変なものを飲み込んだらしいんだよねー」

「変なものって何だよ。普通のドッグフードしか食べさせてないんだけど?」

 銀時が半分喧嘩腰で医者を睨みつける。
 医者は写真を指差して、4人に分かるように説明した。

「これ、何ですかね? まぁ良く分からないんで、吐き出させます」

 写真に写っていたのは、何と人の手。
 4人の顔が紙のように白くなっていく。と、同時に翔が炎神を構えて定春に突き付けた。

「定春! 今此処で手術を始める!!」

「ちょっと?! 素人さんが何しようとしてる訳?!」

「黙れハゲ! 大丈夫だ、翔は死神だから上手くやれる!」

「死神だからとかそういうんじゃなくてー!!」

 ぎゃーぎゃーと言いあう4人をよそに、神楽は定春の口の中に手を突っ込んだ。
 ヌッと何かが口の中から生えてくる。それはまさしく人の手。
 ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! という悲鳴が病院内をこだました。


「で、そしたら何か人形を食った訳か……。なんか疲れた」

 翔は意気消沈のようなオーラを醸し出して、隣に座っている等身大の人形をつつく。
 変な顔をした人形が、ゆらゆらと頭を揺らしていた。
 その反対隣りに座る銀時と新八は、顔を下に向けて黙っていた。

「銀ちゃん。定春、今日は大事をとって病院に止まるアル。私も言ってもいい?」

「あぁ、そう」

 銀時は力なく答え、人形を抱えてフラフラと病院を後にした。新八もそのあとに続く。
 ただそこに残ったのは、翔と神楽だけだった。

「翔も帰るの?」

「俺は残る。定春は俺の子分だからな」

 定春にデコピンをかまし、翔はけらけらと笑った。
 すると、奥から桂がエリザベスを連れてやってくる。

「おうどうした桂。ついに頭のねじがやられて普通の病院じゃ手をつけられなくなったからこっちに来たのか? お前も動物か」

 翔が嘲笑うように桂に言う。
 桂は「違う」と答え、エリザベスを指した。

「エリザベスがおっさんを飲み込んだらしくてな。レントゲンを撮りに来たのだ」

「それはもうおっさんでしかないよ」

「何か加齢臭とかするし」

「それはもうおっさんでしかないよ」

 同じような事を2回言い、翔はため息を落とした。
 その時、何かしんみりしたような声が、3人の耳に届く。

「残念だけど、もう老犬だからねー」

「仕方ありませんね。おじいちゃんが気に行っていたんだけど……」

 病室を覗くと、今にも死にそうな老犬が診察台に乗っていた。
 翔と神楽と桂は、その犬に悲しそうな視線を送った。