二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.328 )
- 日時: 2012/01/25 22:18
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 正夢デエト これこそ真のラストである
頬が赤く染まる。正夢でよかったと笑う。
#04 もう、夢じゃない
時が止まった。これは、チャンスじゃないのか。
毎日、夢の中だけで本当にいいのか? 夢だけで、夢だけで終わらせたくなんかない。さよならだなんて、言いたくないよ。想ってるだけじゃ、伝わらないのにね。勝手に届いたら、奇跡の中の奇跡だというのに。
そう、夢だけお姫様で。何もかも、想いを伝えなくても私の言う通りで。君に愛の言葉を囁いてもらって、くすぐったくなって。でも、今日こそは。ほら、このまま沈黙が終わったって、だめでしょう? ほら、勇気を出して。
「私は、あなたの事が————」
さよならって、夢で逢う君に手を振って笑う。ごめんね、ありがと。
例え私が作ったとしても、大切にしてくれる王子様でいてくれてありがとう。今日で私は、君とバイバイ。今日で私は、この現実を見つめていくの。この世界でお姫様になるの。明日からずっとずっと、目の前に居る君と一緒に笑うの。
夕日の中を二人で歩いて、ただ何となく恥ずかしくって、笑って。これが、私が望んだこと。夢の中で見ていた光景。勇気一つで、変わったりするものだ。
「なあ。明日、一緒遊ぼうぜ。町内一周しよう」
照れ臭くて、嬉しい空気の沈黙を破ってから君ははにかんだ。それを聞いて、私はフワフワと、感情が浮遊して高揚する。ついでに顔も紅潮して、ゆるゆるな顔で「いいよ」と一言だけ言う。
——幸せな時間は、なんだか小恥ずかしいと思った。
翌日。朝から君と一緒に出かけた。何キロメートル歩いたかは知らないが、すでに疲れつつあった。しかし、初めてのデエトって言うのは何もかもが楽しくて、その疲労すら忘れることができた。
昼頃、ファミリーレストランに足を踏み入れる。……デジャヴ、だろうか。この光景は一回見た事ある気がする。そりゃあ、この店には何度も来たことはあるのだが、それにしても同じすぎるのだ。
ご飯がきて、二人で食べる。ご飯の内容もどこかで見たことがあった。
店に食べに来ている人たちの声が騒々しい。二人で食べていると、君が口を開いた。
「お前が好きって言ってくれて、嬉しかった」
……え? ああ、そうか。これは紛れもなく、夢と同じなんだ。あの夢は、この時のためにあった正夢だったのか。
それなら私は、こういう他にはない。夢の中で言いそびれた、本当の気持ちを。
「私だって、嬉しい」
窓の外を見上げたら青い空。これは本当なのかってちょっと疑って、頬を抓ってみる。涙がちょっと出たけど、嬉し涙という事にしておく。
儚く消える夢の後は、正夢、君とデエト。
一緒に踊りましょうって笑っちゃって。ドキドキ鳴ってく鼓動を余所に、君と手を繋いで、舞って踊るの。きっと私たちが生きる世界を無くしたって、君と私は永久に踊り続けるの。
————幸せな感情が、溢れ出て笑い合う。
end / 正夢デエト