二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.339 )
- 日時: 2012/02/06 18:31
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: B★RS4 ブラックロックシューター目線。後半は主人公。
私は私で、あなたはあなたで、私とあなたで、二人一緒で。
#04 歌
————歌が聞こえた。誰かに助けを求めているような、誰かを助けてくれるような、優しい歌声。どちらにせよ、暖かくて癒される。
最初から分かっていた。私が世界の中で存在していることを。世界から逃げても、世界から消滅したわけじゃないってことも。消えていないから、ここで立って光を見ているんだ。そう、消えていないから、この場所で、この優しい歌が聞こえるんだ。しばらくその歌を聞いていると、歌声は止まった。
「ブラックロックシューター、」
か細い声。あの子の痛そうな声と顔。ああ、こんなに辛そうな顔をして、こんなに必死になって、私に助けを求めていたのに、私は何一つ、聞こえていなかったのか。いや、聞いていなかったのか。
傷つけられて、閉じこもって。あの子は前を向こうとしてるのに、私は過去をひきずったままで。光の中に行きたくないって、人を信じられないって、弱音を吐いて、自分を傷つけていたんだ。
「もう一度だけ、前を向いて走りたいの」
あの子の声。青く澄んだ目に光が宿って、とても強く、眩しかった。
私の中の、全ての勇気が火をともして、目の前の道を照らす。私の勇気はあの子の勇気になっていく。崩れかけていた、壊そうとしていた道が形成されていく。あの子と私の心が、一つになっていく。
ようやく繋がった。離れていた一つの心は、そしてまた一つになる。黒く澱んだ私の心が、私の瞳が青く光を放つ。
「今までごめんね。でも、もう逃げないよ」
微笑みを浮かべた。微笑みが返された。
一面に青い空が広がって、夜が終わっていく。光に包まれる景色を見ながら、私とあの子は一つになっていく。
私のヒーロー。私を光の中へ出してくれた、もう一人の私。私は、今はもう一人じゃないよ。信じられる人がいっぱいできた。だからもう、声をあげて泣いたって構わないんだ。
ブラックロックシューター、だから見ていてくれる? 流れ星は、私の歌は、光を呼んできてくれたから、過去はもう終わり。今から始まるのは、新しい私の物語。前を見据えて走っていく、私の生きる道。
また光が見えなくなったとして、また闇の中から出られなくなったとして。また、傷ついて周りが見えなくなって、光を忘れてしまったとして。そうしたら、あなたも一緒に歌ってくれる?
————光へ導いてくれた、あの歌を。
end / ブラック★ロックシューター