二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.14 )
日時: 2011/04/20 23:16
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

〜禁断の恋〜後編

カイナやラグミナもきっと心配している。それに他のみんなも…
人間界にいるリアンは、何よりメイサのお説教を恐れていた。メイサが本気で怒ると、神すらも怯える。

「まぁもう寝よう?おやすみルミカ」

「おやすみなさい、ルミカさん」

「は〜いおやすみ。ふぁぁ…」

大きなあくびを一つ吐いて、ルミカは自分の寝室へと入っていった。

「私たちも寝よっか」

「うん」

ミリアムの使うという部屋に入ってみると、簡素な部屋だった。
緑色の絨毯に同色のカーテン。その明るいカラーの物たちに似合わない漆黒のベッド。

「どうしてベッドだけ黒色なの?」

「あぁ…それね?」

ミリアムの顔色が少し暗くなった。

「私、婚約者がいてね。その人からのプレゼントなの。最初はふざけているのかと思ったわ。黒色のベッドだなんて…でも、彼はこの色が好きならしいの。それで、同じ色を好きになってほしいと言うから…この服も彼からなのよ?」

哀しそうに微笑んで、彼女はこう付け足した。


『好きなわけでもないのに…』

彼は彼女を好いているのだろう。けれどミリアムは好きではないのだ、その彼のことを…
ミリアムは自分の着ている服を見つめる。リアンはその様子を見て、とても胸を痛め、同時に狂うくらいの嫉妬に襲われた。


——僕の方が、その男より何倍も彼女を好きなのに…!!


そして、その醜い心を紛らわせるように、リアンはミリアムを抱き寄せてしまった。強く抱いて、一言だけ

「愛してる、そいつよりも…誰よりも」

そう耳元で囁いた。

その瞬間、リアンの身体に鈍い痛みが走った。
ミリアムがリアンを思いっきり突き飛ばしたのだ。

目を見開いて怯えている。
そしてそのままリアンに聞いた。

「それって…友達としての、愛してるなの?…そうでしょ?」

「…違う」

カイナがいつかリアンに言った。『愛しているよ』と…
それはどういう意味なのかと問うと、今のリアンの気持ちと全く同じものだったのだ。

ミリアムはその否定の言葉を聞いて涙を零す。それはショックを受けるだろう。リアンには性別はないけれど、容姿は人間の女の子なのだ。しかも初めて出会った夜に告白をしてしまった…これが普通の男性であるならば、ここまで怯えはしなかったはずだ。

リアンはその涙を見て、自嘲じみた笑みを浮かべる。
それは、目の前のミリアムよりも悲しい表情だった。



その日はミリアムはルミカの部屋で寝てしまった。…実際には寝れなかったのだろうが。リアンはミリアムのベッドで寝かせてもらった。
羽根を隠しておく術の時間も切ったので、羽根を晒したままリアンは眠った。漆黒のベッドに広がる、美しい白色の羽根。この色はきっと、もうすぐ褪せていくだろう。



そしてこの時

リアンはあることを決心した。

それは、リアンにとっても

ミリアムにとっても

最悪の結果になることだった。


リアンがこのことを知るのは

全てが

そう、全てが終わってしまった後…———