二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 97章 再会 ( No.213 )
- 日時: 2011/06/20 23:55
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
ライモンシティ、ギアステーション前。
まだ夜明け直後のため辺りに人が居ない中、2人の人間がそこにいた。
1人は青い服に赤と黒の帽子を被っている少年。
1人はピンク色の髪の年端もいかぬ幼い少女。
「1日しか経ってないのに、なんだか随分と懐かしい気がするな」
「同感です」
少年の言葉に、少女も便乗する。
「というか、今まで僕らがいた所もイッシュ地方なわけだし、何が懐かしいってわけでもないんだけどね」
しかし少年はすぐに自分の発言を否定するように言う。
「たぶん皆、イッシュ中を駆け回って僕らのこと探してるだろうな……ライブキャスターが壊れてなければ、すぐに連絡が出来るのに」
少年は腕に付いている壊れたライブキャスターを見て、ハァと溜息を漏らす。
「そうなるとこちらから向かったほうが良いですかね? 行くとしたらPDOヒウン支部か、アララギ研究所か」
少女は少年を慰めるかのようにこれからのことを話し始める。
「そうだね……とりあえずは、ここから近いヒウン支部——いや、その必要は無いみたいだね」
少年は途中で言葉を切る。その理由は、前方から走ってくる人たちだった。
ライモンシティ、ギアステーション前。
イリスを捜索していたメンバーは、朝早くにこの場に来て、目的の人物を発見した。
「イリス〜!」
1番最初に少年——イリスに飛びついてきたのはベルだった。
「うわっ、ベル!? ちょ、何でそんなに泣いてんの!?」
ベルはイリスの胸に顔を埋め、号泣している。イリスからすれば服が涙で思い切り濡れるので迷惑極まりない。
「だって、だって……」
ベルはそこまで言うが、また泣き出して声も出ない状態になってしまう。
「イリス」
そこへチェレンも寄ってくる。いつも通り冷静だが、それでも喜びを隠しきれていない。
「チェレン、心配かけた。でも、僕らは大丈夫」
「見れば分かるよ」
チェレンは短くそう答える。そして無事かどうかの確認をしただけだと言わんばかり口を閉じる。
「おいこら、そこのモヤシ」
感動のシーンをぶち壊すようなドスのきいた声で寄ってくるのは、ザキだ。
「ザキさ——」
バキィ!
イリスは敬称も含めた名前を言い切る前に、ザキに殴り飛ばされた。
「兄さん!?」
ミキが驚愕に目を見開いている。
「ちょっと兄さん、いきなり何を——」
「良いんだよ、ミキちゃん」
ミキの言葉を遮り、イリスは立ち上がる。
「俺の言いたいことは分かるな?」
「はい、よく分かって——」
ドゴォ!
またもイリスは言葉を言い切る前に殴られる。今度はアッパー気味に。
「がっ……!」
さらにザキは腹にも一発入れる。
「分かってて俺の妹を危険な目に遭わせたのか?」
ザキは射抜くような目でイリスと目を合わせる。
「そういうことに、なります——」
ドガッ!
イリスはまた言い切る前にやられる。しかも腹に膝蹴り。
「ぐぁ……!」
イリスは激痛に顔を歪めるが、それでもザキから目を離さない。
チェレンやいつの間にか離れていたベル。キリハ、リオ、アデクでさえも彼を止めることは出来なかった。ザキはそれほどに鬼気迫る形相だったのだ。
「あと100発くらいぶん殴ってやりたいが、流石にこれ以上やると妹が泣きそうなんで止めてやるよ」
そう言うザキの傍ら、ミキは本当に今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「何か言いたいことはあるか?」
「……すいませんでした」
ガッ!
イリスはまた顔面を殴られた。
「うぅ、兄さん……」
ミキは涙を流しながら拳を握ったザキの腕を掴む。
「離せ、ミキ。やっぱりこいつは100発殴る。死んでも殴り続ける」
ザキはミキの腕を振り解き、イリスの顔面に殴り掛かる。
「1つだけ、言わせてください」
ピタッとザキの拳が止まる。
「……何だ?」
ザキは顔をしかめながらイリスに言う。
「僕は死んでも、ミキちゃんを守りますよ」
「…………」
ザキは黙り込んだ。それは、イリスの目を見て気圧されたのか、今一度チャンスを与えるためか定かではないが、拳を下ろす。
「んなこと、当然だろうが」
吐き捨てるようにそう言うと、ザキは下がる。
「とりあえず、僕らが助かったこととかは後で話すとして、場所を変えませんか?」
イリスは殴られて腫れ上がった頬のまま、何ともないように装って話を進める。
「……そうだね。それじゃあ、ここライモン支部にお邪魔しようか」
キリハはイリスがあまりにも平然としているので、合わせるしかなかった。
「それでは、それに私たちも同行してもよろしいでしょうか?」
後ろ、ギアステーションに繋がる階段から、2つの人影が現れる。
「ノボリさん、クダリさん」
現れたのは、サブウェイマスターのノボリとクダリだった。
「私たちバトルサブウェイとしては、プラズマ団の悪行を看過するわけにはいきませんので、ある程度の情報交換をしたいのですが」
「それは助かります。僕らとしても、あなた方の協力を得ることは心強いです」
かくして、PDO、ポケモンリーグに、バトルサブウェイも勢力に加わるのであった。
えっとですね、お知らせしなければならないことがあります。バトルサブウェイマルチバトルですが、これは作者都合により、番外か何かで行うことになります。しかしここで注意点。100章突破記念にそれをやることはありませんので、あしからず。では次回ですが、次回はついにライトストーンが出てきます。お楽しみに。