二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 107章 水の闘志と炎の闘志 水の武将と炎の武将 ( No.249 )
日時: 2011/07/02 02:14
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

ベルの切り札、大火豚ポケモンエンブオーは、恰幅の良い体躯に、炎の顎鬚。鋭い目付き、大きな牙、雲文様の刻まれた胴と、全体的に厳ついポケモンだった。
「それじゃあ行くよ。エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らして砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。
「ズルズキン、受け止めろ!」
対するズルズキンは、先ほどのムーランドのギガインパクトにも匹敵しそうなニトロチャージを受け止める。
ズルズキンの特性は自信過剰。ムシャーナ、ムーランドを倒した事により、攻撃力が2倍に膨れ上がっている。本来攻撃力は、文字通り攻撃する際の威力なのだが、ズルズキンはそれを応用して受け止める際の力に変換している。
「エンブオー、熱湯!」
ズルズキンはエンブオーを受け止めたものの、エンブオーは熱く煮えたぎる熱湯をズルズキンの顔面に放つ。
流石のズルズキンも効いたのか、後ろに後退し、大きく仰け反る。
「ニトロチャージ!」
エンブオーはいきなり熱湯を食らって混乱しているズルズキンに、炎を纏って突撃する。足を踏み鳴らす動作がないので、多少威力は落ちるものの、ズルズキンを大きく吹っ飛ばした。
「ズルズキン!」
ズルズキンはまだ辛うじて立っていたが、それでも満身創痍。全身ズタボロだ。
「エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは足を踏み鳴らして砂煙を舞い上げる。そして炎を纏ってズルズキンに突撃する。
三度目の正直。このニトロチャージを受け、ズルズキンはついに戦闘不能となった。
「よくやった。戻ってくれ、ズルズキン」
イリスはズルズキンをボールに戻し、最後のポケモンが入ったボールを手に取る。
「……相手はエンブオー。こいつは早く使いたかったけど、ここまで我慢した甲斐があったな」
イリスは独り言のように(というか独り言)呟く。
「さあ、頼んだぞ、僕のエース。ダイケンキ!」
イリスが繰り出したポケモンは、蒼い体、イッカクなどの海獣のような意匠に、豊かな白髭。貝で作られたと思しき甲冑でその身を纏い、その兜は角の生じた法螺貝のようだ。
見た目もさることながら、その気迫にも威厳と貫禄があり、睨まれるだけで身が竦みそうである。
イリスの手持ちから、フタチマルの進化系でまず間違い無いだろうが、フタチマルやミジュマルの時の面影はほとんど見られない。まずもって、フタチマルとミジュマルの専用武器にして象徴のホタチが無い。まあ、4足歩行なのだから、手に何かを持って戦うという事は出来ないのだが。
「ふええ……何だか、凄いポケモンだね……」
ベルはダイケンキの気迫に圧倒されている。ダイケンキは貫禄ポケモン。一睨みするだけで敵を黙らせるほどの威厳と貫禄があるのだ。
「ダイケンキは見ての通り水タイプ。炎タイプのエンブオーには有利だ」
イリスは至極全うな事を言う。そのくらい、トレーナーなら誰だって分かるだろう。
「……でも、タイプ相性だけがポケモンバトルじゃないよ。エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らし、砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。
「ダイケンキ、シェルブレードで迎え撃て」
ダイケンキは前足の鎧と、兜の角に水のエネルギーで構成された剣を作り、エンブオーを迎え撃つ。
ダイケンキとエンブオーは少し競り合ったが、結局はどちらも互角に終わる。
「メガホーン!」
だがそこから攻撃を続けたのはダイケンキだった。ダイケンキは角で思い切りエンブオーの胴を突く。
「うぅ……エンブオー、アームハンマー!」
エンブオーはカウンターのように拳をダイケンキの体に叩き込む。
「退け、ダイケンキ」
ダイケンキはエンブオーの拳を受け、一旦距離を取る。
(エンブオーは技の威力からして物理型。ニトロチャージで接近して、アームハンマーや熱湯で叩くのが基本スタイルかな?)
イリスは考える。エンブオーのバトルスタイルを理解すれば、それだけで勝率は上がるのだ。
(だったらここは距離を取ったままで、遠距離から攻めるか、見た目で誤解されがちだけど、ダイケンキの本領は遠距離攻撃——特殊技だ)
イリスはとりあえず距離を保ちつつ様子を見ながら攻撃というパターンを取った。
「ダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキは猛烈な吹雪を発生させる。その威力は極寒地帯で発生するブリザードさながらだった。
「エンブオー、大文字!」
しかしエンブオーはそんな吹雪を、超高熱の大の字の炎で相殺する。
「さらにニトロチャージ!」
そして足を踏み鳴らす一連の動作を行い、炎を纏って突撃。
「ハイドロポンプ!」
それに対しダイケンキは超高圧の水流を放ち、エンブオーを押し戻す。
フタチマルの時は全力で放てなかったハイドロポンプだが、進化して体が大きくなり、ハイドロポンプを放つ際に起こる衝撃にも耐えられるようになった。
「……本当、イリスって強いなぁ……」
ベルは1人呟く。
「よーし。エンブオー、本気の全力で戦うよ!下準備はもう出来てるからね!」
「何が来るのかは知らないけど、僕のダイケンキはそう簡単には倒せない。王将を討ち取るのは、容易じゃないんだよ」
イリスとベル。どちらもトレーナーの魂とでも言うべきものに火がついた。
イリスは静かな水のような、ベルは燃え盛る炎のような。



今回は()を使ってみました。()はその人物が何を考えているのかを表しています。そして次回、次回ですが、次回はダイケンキの秘密を徹底公開!……というほど、大袈裟なものではありません。でも、あまり知られていない事ではありますね。ということで、次回もお楽しみに。